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21話「フォース-森②」

『あの!』


俺たちの前に身長の小柄な少女が立ちふさがっていた。


「ん、なんだ?嬢ちゃん?」


ゴウキが一歩前にでて応対する。


少女がビクビク震えている。


「ゴウキ、可愛そうですよ」

「あぁ!俺が何かしたのかよ」

「そのような怖い顔を近づけられて怖がるなというのが無理な話です。何か用でもあるのですか?」


『あの、その』


少女は震えながらソニーの横をすり抜けて俺の前にやってきた。


『糸使いのアオイさんですよね!』


大声で俺に聞いてきた。


「ぁあ?」

『やっぱり!私、ファンなんです!!握手してください!!』

「ぉぅ?」


グッ


なんだか圧倒とされながら握手をする。


『やった!有難うございます!!』


タッタッタッ


少女は名乗ることもせずギルドから去っていった。


ギッ


おかしいな、周囲のプレイヤーから殺気を感じる。

ゲーム内で殺気なんてものは出ていない筈なんだが。


『イケメン死ね』

『くそっ』

『リア充爆発しろ』

『いたいげな少女に・・・』


そんな声が周囲から漏れ聞こえてきた。


「モテる男は辛いですなぁ?」


ゴウキがニマニマ笑いながら小突いてくる。


「別に」

「珍しく照れてやがるぜ」

「まぁまぁ、誰しも唐突な事に思考が追いつかないこともありますよ。ブッククッ」

「解散でいいんだな?」

「あぁ。明日も森で狩りだ」

「ごゆっくりお休み下さい」



ピコンピコン


メール受信ボックスに一通のメールを受け取る。


-------------------------------------------------------------


from:運営から

to:アオイ


件名:ゲームの住人達へ

内容:拝啓

   この度、リアルを捨てゲームの住人になって頂けた事を御礼申し上げます。

   昨日、小型アップデートを行いました為、下記のリンクから飛べますので確認をよろしくお願いします。

   URL http://**********.**********.****.co.jp/**/*********_*********/**********


-------------------------------------------------------------


どれどれ


-------------------------------------------------------------


『フリースタイルオンライン』をプレイして頂き誠に有難うございます。

今回行った小型アップデートに関する事をまとめておりますのでプレイヤーの皆様方はよく読んで認識の方よろしくお願いします。


今回のアップデートのテーマ『リアル化』

前回と同様にリアル化を施す為に小型アップデートいたしました。


・延焼

 木々の多い、森などで炎系魔術の使用を控えてください。木に火が燃え移り大火事になる可能性があります。すでにファストの森の一部が延焼によって消失し数名の初心者がゲームオーバー致しました。木々は時間経過と共に復活致しますが、かなりの時間を要します。

 

・伐採

 木工師達の希望によって森の木を伐採する事が可能です。同じく木々の復活はかなりの時間を要しますので伐採のしすぎはご遠慮下さい。上記に伴い、各街の雑貨屋からピッケルの他に手斧が販売されています。鍛冶師スキルに手斧の製作スキルが増えました。


・スタンビート現象

 あらゆるフィールドでの環境破壊が原因でモンスター達が居場所を失いスタンビート(暴走)が始まる可能性を上げます。特に森での延焼は避けたほうが良いでしょう。スタンビート現象によって近くの街は安全ではなくなるので冒険者の皆様方は注意願います。同じく、荒野、砂漠、沼地等のフィールドも同様な現象が起きる可能性があります。


・オブジェクトの破壊

 いままではフィールド内のオブジェクトは不壊でしたが、壊せるように調整しています。木はもちろんの事、岩等も破壊できます。洞穴の壁はいままで通り破壊できませんのでピッケルのご使用はお止め下さい。

また、オブジェクトの破壊で武器などの耐久値も落ちる仕様になりますので無闇に破壊する事はお勧めいたしません。


・リーダー格の出現

 各フィールド内にはユニークボスの存在を認識していると思いますが、新たにリーダー格の出現を加えました。フィールドのモンスターが一定期間の内に討伐されていない場合、そのモンスターがリーダー格に進化し徒党を組む現象でございます。NPC冒険者の方も討伐クエストは受けておられますがプレイヤーの皆様も討伐クエストに参加なさって下さい。


・土、砂、枯葉、小枝、泥などの再現

 いままでフィールド内には極小オブジェクトは存在していなかった為、実装いたしました。


以上が変更点となります。今後とも『フリースタイルオンライン』のプレイを楽しんで下さい。

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ふむ、徐々にリアル化が進んでいるようだ。

今後とも細かな調整で自由度があがって行くのであろう。


「アップデート内容を見たか?」

「いろいろ制限されそうですね。特に魔法使いの方でしょう」

「くっ、俺のファイアーボールが森では使えなくなるなんて」

「延焼したら危険でごわすな」


中央広場には既にメンバーが集まって今回の小型アップデートについて話し合っていた。


「見たか?」

「あぁ。戦闘方法を変えないとな」

「ファイアーボールが一番の攻撃力を誇るんっすよ。使えないとなると育ててきていない風属性か水属性に分かれるっす」

「因みに風属性と水属性ってなんだ?」

「風属性魔法はウィンドカッター、カマイタチっす。水属性魔法はウォーターバレッド、水の銃弾っす」

「魔法の扱いについてはファイアーボールと同じ感覚なのか?」

「全ての魔法は同じ感覚で放てるっす。ただ威力がかなり落ちるんすよ。第一段階っすから」

「無理強いしないがSPは余っているか?」

「念のために余らせているっすけど、吃驚っす」


一応考えてSPは残しているのか。


「問題は風属性を取るか、水属性を取るか悩んでいる所なんすよ。情報が少なすぎてSPを不用意に消費したくないっすからね」

「土属性もあったはずだが?光属性や闇属性もそうだが」

「土属性は防御か阻害系魔法が主なんすよ。光属性や闇属性は派生してないっす」


・・・光も闇も何か条件がありそうだな。


「一応、土属性の攻撃魔法はなんだ?」

「第三段階でやっとのロックランス、岩の槍を指定した場所に生やすっす。でも他の3種と比べるとホーミングは狙えないっす」

「阻害系と防御系は?」

「取得一覧表から見える限りだと、第一段階のアースホール(落とし穴)、第二段階のアースウォール(土壁)っす」

「落とし穴はどんな効果なんだ?モンスターを落とせる深さなのか?」

「掲示板情報だと片足がハマるくらいのしか最初は作れないらしいっすね」


よく調べているようだ。


「土壁は?」

「土壁はまんま土の壁を一時的に作れるみたいっすね。でも耐久値が殆どなくて大体一撃で壊されるって書いてあるっす」

「なにか、思い当たる事でも?」


俺の過度な質問にソニーが質問してきた。


「最後はシュバルツの判断に任せるが土属性は戦闘に役立つ派生が多いと思っただけだ」

「土属性を取る魔法使いは不人気なんっすよ」

「まぁ、魔法使いの火力支援は馬鹿にできないからな。それはあくまでも周りに被害を出さない前提の話だったからだ。今日からそれを考えて使わないとダメだろ?」

「たしかに・・・」

「それで具体的には何かありますか?」

「なぜ、土属性には他にない支援と阻害が先に出てくる魔法だと言う事か・・・これまでの経験上、スキルの組み合わせによって強力な攻撃に変わると思う。魔力操作との組み合わせで飛距離ボーナスが発生している様にな?」

「たしかに一理あるな」

「例えば、俺の糸拘束術の効果終了を狙って落とし穴に落としてコンボを決めるとかな」

「確かにそれなら汎用性が高そうだぜ。フィールドをあまり選ばないしな」


ゴウキが同意してくる。


「落とし穴もレベルが上がれば範囲も深さも変化しそうだな」

「土属性魔法使いは落とし穴とロックランスのコンボを使っているっすね。落ちる事は殆ど無いと嘆いているらしいっすが」

「なんで、落ちないんだ?」

「穴が開いていたらモンスターは避けて来るらしいっす。だから無理やり落とすと書いてあるっす」

「スキルとの組み合わせ次第だな」

「しかし、蓋をするようなスキルはいまの所無いっすよ?」

「あぁ、俺もなんでこんなスキルが存在しているのかと思っていたんだ。糸使いのスキルの中に「落とし糸」というのがある。効果は落とし穴の蓋として糸を格子状にするだそうだ」

「なっ!つまり糸使いと土属性魔法使いのコンボ前提なんすか!?」

「そういう事だ。試してみるか?」

「試してみたいっす。プレイヤー同士でのコンボ技なんてロマンあるっす」

「ただ、俺と離れたとき互いに使えないスキルとなる。ずっと組むなら話が違ってくるが・・・」


ずっと固定PTとしてなり続ける根拠は今の所無い。SPを無駄に使うかもしれない。


「それでも落とし穴自体は有効なのは掲示板が語ってくれてるっす。土属性魔法使いになるのもやぶさかではないっすよ」

「そうか、なら俺も落とし糸を取得してみる」

「了解っす」

「では、シュバルツさんは土属性に変えるという事で、火力は落ちますが支援魔法で補う戦闘方法ですね」

「うむ。暫くは荷物になるかもしれないっすが頑張るっす」

「あぁ」

「頑張るでごわす」


ピピピッ


≪スキル:落とし糸をSP2消費して取得いたしますか?≫


YES


≪スキル:落とし糸を獲得しました≫


「落とし糸を使用するのにワイヤーじゃ出来ない。1本は専用の糸に変える」


右のガントレットは現在3本目のワイヤーを嵌めていたがLT糸のリールに変更する。この糸だけ攻撃力や耐久性が下がる為に支援専用の糸になる。


「落とし糸に使用される糸はこれになる訳だが、無限という訳じゃない」

「有限なんすか?」

「最大50m分の糸なのだが、数セットしか持っていない。糸としてこれが最高の糸になる」


右のガントレットの3本目をLT糸に変更する。


「落とし糸でどれくらい糸を使うんだ?」

「そこまで詳しく書いていない。使ってみて見ないとな。落とし穴の広さとかは分かるのか?」

「それも書いてないからやってみないと分からないっす」

「互いに試さないとダメが、オーガに試してみよう。付き合ってくれ」

「了解っす!」

「いつまでも付き合うでごわす」

「はい」


俺達は新スキルの試し撃ちを行うために草原にやってくる。


「アースホールっす!」


ボコォッ


シュバルツが新スキルを発動すると目の前の草原に直径50cm、深さ70cm位の穴が出現した。


「落とし糸」


ビュンッ


ザガガガガッ


糸が勝手に格子状に組まれ落とし穴の上に被さるように配置された。


消費魔力11となったが「落とし糸」の他に「切り離し」スキルも発動したようだ。


ザッザッ


足で実装されたといわれる砂を掛けて落とし穴を隠してみる。砂程度ならLT糸は耐えてくれるようだ。


「今ので5m分減った。10回まではスキルが発動できそうだが予備と含めると買い足さないとダメだな」

「1束で10回分の制限ですか・・・糸なんて雑貨屋に売っていましたっけ?」

「いや、セカンドのLT糸生産所まで行かなければならないな。あの時、補充しておくべきだった」

「毎回セカンドまで戻るのは辛いでしょう。往復8日間もかかりますよ」

「別の糸があればいいのだが・・・」

「裁縫師の方に頼べば糸を譲ってくれるんじゃないですか?」

「糸は戦闘用と裁縫用に分かれると思うんだが?」

「やってみないと分かりませんよ」

「そうだな。ただ、糸の問題が解決しても、ここの機構部分については鍛冶屋か武器屋に頼まないと作ってくれないな」

「後で考えますか」

「とりあえず、引っかかるか試してみるか」

「待ってたぞ。釣るか?」

「攻撃したと思わせるだけなら俺が釣る。用意はいいか?」


コクリ


俺の問いに全員が頷き俺は残ったLT糸で遠く離れたオーガに攻撃を仕掛ける。


プスッ


通常攻撃力に飛距離とクリティカルが入ったようだが、攻撃力が低すぎて大したダメージにはならなかった。


グォオオオ


オーガは雄叫びをあげて俺にターゲットして走ってくる。


ズボッ


グォ!? 


見事、落とし穴に嵌った。


【反撃可能、スタック10秒】


注視スキルが相手の状態を教えてくれる。


「反撃可能の10秒スタック状態だ」

「そりゃいい、前は任せたぜ!」

「オオオオォ」


ロンドが挑発で俺からターゲットを引き剥がす。


ガィイイン


攻撃範囲に入った途端オーガはロンドに攻撃をするが盾で防ぐ。


何度か戦闘を続けてLT糸を50m分使い果たして、罠としての落とし穴が有効だと言うことが分かった。

見えていなければモンスターは何処かのタイミングで引っかかるという事だ。


一旦街に戻る。


「落とし穴は有効っすね」

「10秒の移動妨害だけでも戦闘を楽に進められるぜ」

「難点は私達もどこに仕掛けたかは見分けが難しいという点ですね」

「俺とシュバルツしか分からない訳だからな」

「そうっすね。まぁ、俺達が注意を呼びかければ問題ないっすよ」

「そうだな」

「後は糸の事ですね。雑貨屋を覗きましたが糸を売っていませんでした。裁縫師の人達はどこで仕入れているのでしょうね?」

「裁縫師・・・これか」


実はサブ職業に裁縫師をセットしていた。

スキル習得一覧表に裁縫師が最初に手に入れるスキルを見ている。


・魔力糸

 裁縫師が布を縫う際に用いられる糸。

 糸使い用の糸として使えるが耐久値に難有り。

 攻撃力も無い。

 耐久値:25/25

 前提:キャラクターレベル3

    SP1の消費。

消費魔力:5


「まさか、こんな所にあるなんてな」


皆の前で読んでみたらゴウキがズッコけていた。


「灯台元暗しとはこの事ですね」

「あるあるだな」

「あるあるっすね。むしろ糸使いと裁縫師ってベストな組み合わせなんっすね」

「耐久値がLT糸と同等だからコッチでも使えるって事か。ただ、時間や金を取るか・・・魔力を取るかって事になるな」

「どうします?」

「セカンドに戻るよりいいだろ」



≪スキル:魔力糸をSP1消費して取得いたしますか?≫


YES


≪スキル:魔力糸を獲得しました≫


これで俺のSPは0となった。


「とりあえず実践だな」


LT糸を取り外して5本目の空きを作りだす。


「魔力糸」


クンッ


フォンッ!


魔力が減って淡く光る線が生み出された。


「これが魔力糸か」

「私達には見えませんね」

「そうなのか?」

「そうっすね」

「攻撃力がないからダメージは入らないがな」

「完全に生産職用の糸なんだな」

「ついでに糸使い用にした感じだな。シュバルツかソニーの杖を貸してくれ」

「何に使うんですか?」

「どこまで耐えられるかテストだな」

「はぁ」


ソニーから杖を借り受ける。


シュルッ


魔力糸を操って杖に巻きつけ持ち上げる。


ググッ


「手品みたいですねぇ」

「糸が見えないから余計だな」

「うっす」

「タネも仕掛けもありませーん」


4人からそういう反応が帰ってくる。


「返す」


これだけでも魔力が25も減った。


「結構持ってかれたな」

「時間を取るとこうなりますか」

「俺も魔法使いのように休憩が必要になってきたって事か」

「おそろっすね!」

「あまり消費しないように気をつける」

「ようこそ、後衛職へ」

「たどり着きたはなかったぜ」


ハハハハハッ


今日も森へと出かける俺達であった。


・・・


・・・・・・


・・・・・・・・・


「ようやく腰程の深さになったっすね」

「反撃の心配なく10秒スタックは便利ですね」


3対5になるから楽で仕方がない。


俺の魔力糸と落とし糸にシュバルツの落とし穴が敵モブの行動を完全に阻害するコンボが決まれば反撃可能であるが注意すれば叩き放題である。


「イロハ?」

「アオイ?」


何時もどおり森へ出かけようと東の門へ向かっている途中で久しぶりの顔を見た。


「ファストにいる筈じゃなかったか?」

「ここの森に上位薬草類があると聞いた」

「なるほど、ミカは?」

「ファストに残ってる」

「お前一人で来たのか?」

「ううん?野良PTに混じって商人護衛をしてきた」

「なるほど、なら頼みがあるんだが」

「何?」

「その上位薬草は採取してある。ポーションに調薬してくれないか?」

「分かった」

「代金はどうする?」

「出来たポーションでもいい」

「わかった。頼んだぞ」


トレードをササッと済ませてPTへと戻る。


「誰なんですか?」

「ファストからの付き合いがある調薬師だ」

「モテモテだぜ」

「からかうな」

「あの子、荊棘姫じゃないっすか?」

「「荊棘姫?」」

「ファストには心をまったく開かないプレイヤーが居るって掲示板でも囁かれたんっすよね。話しかけても誰であろうと無視するんっすよ。かなりの人数が無視され続けて付いたあだ名が荊棘姫」

「そういう感じには見えなかったですけどねぇ」

「嘘じゃないっすよ。俺もセカンドの時に見かけて声をかけましたけど無視されたっす」

「荊棘姫か・・・そんな奴と普通に話せてるお前がスゲェって事になるなぁ。どうやって心を開いた?ん?」

「普通に話しかけてだよ。中間にミカも立っていてくれたしな」

「あのミカさんも居たのですか」

「ミカの野郎は誰にでもフレンドリーだからなぁ」

「そう言えばミカさんってオカマだったんすか?リアル顔になって気になったんっすけど」

「ダンディなヒゲを生やした紳士風で初老の男だった」

「真逆っすね」

「いや、キャラはそのまんまだったからな?」

「ダンディな髭を生やした紳士風で初老の男がオカマっぽい動き・・・うっぷ」

「想像はやめた方がいいぞ」

「よく続けられるっすね」

「その方が接しやすいとかだろ」

「たしかに堅苦しいと話辛いですねぇ」

「結構有名な人と知り合いなんすね」

「何でだろうな・・・・」


有名人といえば裁縫師のミカ、付与師のエンデバー、革職人のユーキ、荊棘姫のイロハ・・・多いか?


「最近じゃいろんな人が有名になってきたっすね」

「リアル化の影響で生産職の幅が広がって来たからな。中堅所でいやぁ鍛冶師ミモザ、調薬師イロハ、細工師のモリヤ、木工師ダビットソン辺りだろ」

「木工師ダビットソンさんの作る杖は人気ですからねぇ」

「オイどんの鎧と盾はミモザはんに作ってもらったでごわすよ」

「そりゃ奇遇だな、俺はこの鋼鉄の剣だぜ」

「俺はまだ有名じゃない人の作品っすね」

「アオイは誰の作品なのか?店売りじゃないだろ?」

「同じくミモザの作品と言えるだろう」

「言える?」

「帰還組の人もこの作品に手を加えてくれた人物がいた」


帰還組、半デスゲーム化を境に辞退していった人達の事を指す。


「それでは、それ以上の武器は見込めないという事になりませんか?」

「すでに殆どの事はミモザでもできるように改良はしていると引き継がれたらしい」

「そうか」

「とりあえず行きますか」

「おう、そうだな」


俺達は森でダークエルフでのレベル上げを続ける。


「ここは?」


森の奥の方へ行くと、少し開けた場所にエリアボスやフィールドボスで見かけたゲートのような空間が浮かんでいた。


「ここが、フォース・南の森フィールドボス:エルダーダークエルフの入口です」

「ここがそうなのか?」

「えぇ。ですがかなり強い魔法攻撃を使ってくるそうで、防御力などに自信がなければ攻略するのやめた方が良いでしょう」

「死んだら終いだからな」

「また、何時かだな」

「いえ、レベル33を越すと入れなくなりますよ」

「マジか」

「私とゴウキは既に入れる資格はありません」

「という事は次のフィールドも?」

「適正レベルを越せばフィールドボスとの戦いもできません。皆さんレベル33なのでレベルが上がったらここでの狩りは事実上終了です」

「そろそろ俺はレベル34になる頃だよな」


PT戦になってから経験値は3分の1やら5分の1になりレベルアップもスローペースになった。


まさか、レベル制限があると思わなかった。


≪アオイのレベルが34に上がりました≫

≪SPが1増えます≫


しばらくしてレベルアップのアナウンスが聞こえてきた。


「レベルアップしたか」

「オイどんもですわ」

「俺もっすよ」


どうやら俺達は殆どフォースに来たばかりだったようだ。


「んじゃ、森での狩りは終いだな」

「時間もそこそこですし、明日から砂漠地帯に行きましょう」

「おうよ」

「この薬草類を荊棘姫に渡せばいいのか?」

「安く作ってくれると思うぞ」

「それは有難いですね。持つべきは友ですか」


イロハがフォースに来てくれたお陰で薬草類の採取しながら冒険を続けていた。


「ポーション類、出来た」


街に戻るとイロハから俺たちに近づいてきた。


「おぉ、助かる」


トレードを開始する。


「コレって?」

「追加の注文だ。全員で採ってきた」

「ありがと」

「これが最後になる。俺達は明日から砂漠地帯へ行っちまうから」

「気にしないで」

「ヘイ!俺の覚えているっすか?セカンドで話しかけたんっすよ?」

「知らない。それじゃ」


イロハはシュバルツに短く答えて去っていった。


ポンッ


「落ち込むなよ」

「うぅ・・・」

「短い会話だったな」

「人それぞれですから」

「うっす」


シュヴァルツを慰めて今回の精算をして解散となる。

次回をお楽しみに。

お疲れ様でした。


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