20話「フォース-森①」
「まず、フォースからはフィールドが広くなっている事だ」
「広く?」
「行ける場所が多いという事だな。東西南北と別れてフィールドが用意されている」
「サードの沼地のようにか?」
「その考えで大丈夫ですよ」
「フォース周辺は何時もどおり草原が広がっている。東に行けば広大な森がある。南に行けば砂漠地帯だ。西は荒野地帯。北は山岳地帯」
「各フィールドに適正レベルはあるのか?」
「もちろんあるぜ。基本的に東南西北の順番に適正レベルが上がっていく情報だ。俺達は南の砂漠地帯でレベル上げしていたら全体アナウンスが始まった。でフォース攻略前に弟子を取ろうという事になった」
「フィールドボスはいるのか?」
「いるには居るが、俺達はボスとの戦いはしていねぇ。だから基本的の攻撃モーションとかは知らん」
「そうか。各フィールドのモンスターとかは?」
「俺達が知っている限りだと、森のダークエルフ、砂漠のポイズンスコーピオンだ」
「エルフってモンスターとして出てくるのか」
「ダークの方だからな」
「人と同じ姿形なんだろ?」
「まぁな」
「怖いですか?」
「いや」
「森の適正レベルは32からだから、ソロじゃなければダークエルフには遅れは取られないだろう」
「フォースから回復職が必須になってきますからメンバーをあと3人集めてもいいでしょう」
「体力回復ポーションじゃ」
「追いつかなくて死にますよ」
「魔力回復ポーションが役立ってくるな」
「えぇ。専属の調薬師の方が欲しいくらいですね。フォースの森で採取される薬草類はファストより一段階上の上位互換ですから」
「そうなのか」
森で素材を取っておくか。
「少し時間をくれないか。準備したいし」
「構わねぇよ。今日は解散にしてもいいぞ」
「そうですね。明日の朝、ここ中央広場に集まりましょう」
夕暮れ時でこれから狩りに行くような時間じゃなくなり解散となった。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
『こちらの濃い緑色の葉となり葉のギザギザが16ヶ所あるのが上ヨクナール草です。こちらの緑色の丸みを帯びた葉が上シャッキリ草です。こちらの紫色の線が3本入っている葉が上カイドーク草です。
こちらの黄色い線が3本入っている葉上シビレナーイ草になります。こちらの濃い緑色の葉となり葉のギザギザが18ヶ所あるのが上フエール草です。こちらの紫色の線が4本入っている葉が上ドクニナール草になります。こちらの黄色い線が4本入っているのが上マヒール草になります』
ギルドへ赴き、各種薬草類の特徴や効果を教えてもらう。
『上ヨクナール草はそのまま使えば体力を10%回復します。上フエール草は魔力が10%回復します。上シャッキリ草は疲労を10回復します。上カイドーク草は毒(中)が10%の確立で治るかもしれません。上シビレナーイ草は麻痺(中)が10%の確立で治るかもしれません。上ドクニナール草は毒(上)になります。上マヒール草は麻痺(上)になります。お気をつけてください』
「なるほどわかった」
ギルドを後にして集合場所へと向かう。
「よぅ、遅かったな」
「おはようございます」
「調べ物をしてから来たんだ。待たせて悪い」
「構いません」
「おうよ、急いだって仕方ねぇしな」
「じゃ、案内頼む」
「任せてくれや!」
グォオオオオ
道中のオーガを倒しながら東の森へと俺達は進む。
「ダークエルフといったが、俺達と同じように職業持ちだ」
「職業持ち?」
「近接戦闘の剣士、中距離攻撃の弓士、遠距離攻撃の魔法士、回復魔法の回復士の4人で1組みとして現れます」
「3人だけで大丈夫な森なのか?」
「あと1人は欲しい。同数以上が望ましいからな」
「今回は様子見という事で、無理そうでしたらギルドで斡旋してもらいましょう」
「わかった」
・・・
「くそっ」
前衛のゴウキが全てのタゲを集めて集中攻撃をくらう。
ヒュンッ
「斬糸」
ズバッ
弓士から放たれた矢を斬糸で切断する。
「ウリャァ」
ガイィン
ゴウキが通常攻撃をするも剣士に防御される。
「糸防御術二式」
グワンッ
ボォン
後ろで詠唱していた魔法士の杖をあらぬ方向に向けて、魔法を俺たちじゃない所へ放つ。
『ヒール』
「グレーターヒール」
パアアアア
ゴウキと剣士が同時に体力を回復する。
「3人だとキツイな!」
「アオイさんが後衛の攻撃を牽制してくれているのが幸いしていますね」
「決定打が足りねぇ!」
「くっ、斬糸!」
『『ギャァアアア』』
弓士と魔法士の腕を斬糸で切断。
武器である弓と杖を落とす。
「おいおい、そんな事も可能なのかよ!」
「これで後衛2は攻撃手段がなくなりましたね」
『リジェネーションヒール』
パァアアア
ギュルゥ
「「「なっ!?」」」
切断した筈の腕が瞬時に回復し弓士と魔法士が戦線に復帰してきた。
「そんな回復魔法聞いた事ありません!」
「欠損部位の瞬時回復魔法って事か!」
「セオリー通り、回復役を潰すぞ!!アオイ、殺れるか!!」
「お前のフォローが出来なくなるぞ」
「一撃や二撃くらいは耐えてみせる」
「分かった!斬糸」
『ギャァアアアア』
回復したところ悪いが弓士と魔法士の腕を再度切断。
すかさず回復士が先ほどの欠損部位回復魔法の詠唱に入る。
「斬糸」
『ギャァアアア』
残っている2つのワイヤーを使って回復士の両腕を切断する。
「ナイスだぜ!うりゃぁああ」
ガキャァアン
剣士を吹き飛ばしたゴウキは回復士に接近し大上段から振り下ろす。
「豪腕一閃!」
『アアアアアアァ』
頭から一刀両断し回復士は沈む。
「糸拘束術二式!」
ピキッ
ゴウキの背後を取った剣士が攻撃モーションに入るが、ワイヤーで絡め取る。
「回転斬り!」
グォン
バァン
ガラ空きの脇腹から剣を横に薙ぐ。
「斬糸」
ブシャッ
斬糸によって剣士の片腕を切断。
「有利な戦い方だぜ、まったく!」
「えぇ。その通りですよ。ヒール」
あとはゴウキが身動きがとれないダークエルフ達を倒していくばかりとなった。
「キツイな」
「そうか、案外楽に叩けたぞ」
「ですね」
「たったの一戦で魔力が80以上持ってかれた。俺の総魔力は443だ」
5連戦で俺の魔力は尽きる計算だ。
何とか休憩や魔力回復ポーションで誤魔化してきたが無理があるようだ。
「うげっ」
「そんなに消費していたのですね」
2人共、仲間の魔力値を見てすごい減っている事に気づいてくれた。
「糸使いは手数は多いが、魔力消費が激しいんだ」
「そうか」
「3人だとキツイですね」
「盾役が居ないと安定狩りは難しいだろ」
「俺も剣での防御しか出来んし、完璧な盾役じゃねぇ。あと決定打が足りねぇから魔法使いも欲しいな」
「これは一度戻って体制を整えましょう」
森を脱出し、俺達はギルドへと向かうこととなった。
「コレぐらいでいいか?」
--------------------固定PTメンバー募集------------------
募集要項:壁役、魔法使いを募集
現PT構成:直剣使い、糸使い、僧侶
平均レベル:33
要件:これから安定した戦闘を望むため盾役と魔法使いを募集している。
PTリーダー:ゴウキ
-------------------------------------------------------------
「ま、内容はともかく分かりやすいでしょう」
「そうだな」
「おいおい、俺ぁ丁寧にかけねぇんだよ」
「気にする人もいませんよ、きっと」
「あぁ」
「なんか、引っかかるが出してくるぜ」
ゴウキが受付嬢に提出しに向かう。
「それまでは待ちですね」
「早く集まってくれればいいが・・・」
この日は募集に対して参加するプレイヤーは現れず解散となった。
それまでは周囲のオーガで資金稼ぎをする事にした。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「おっ、募集を受けるプレイヤーが居たぞ」
「戻るか」
「ですね」
「ギルド前に居るそうだ」
オーガ狩りを止めて俺達は戻る事にする。
「アイツ等のようだな」
ギルド前には鋼鉄装備を着込んだ大柄の男とワーウルフ系ローブを着込んだ男が立っていた。
「あんた達が募集に答えてくれた人たちか?」
『うむ。オイがタンカー役のロンド』
『ちーっす。俺はマジックキャスターのシュバルツっすよ』
随分対極的な2人だな。
ドッシリと構えたロンドに軽い感じのシュバルツである。
「フォースに居るという事はアイアンゴーレムは倒せる実力を持っているプレイヤーという事でいいんだな?レベルは大丈夫か?」
「オイの防御は強いですからな。レベルも32ですわ」
「俺の魔法攻撃にアイアンゴーレムは木偶の坊に過ぎなかったっす」
「2人は同じPTだったような感じだが」
「そうですたい」
「フォースについた途端アイツ等ときたら俺達と別れやがったんすよね」
「なるほど。さすがに言葉だけじゃ俺たちも組みたいか分からないからオーガ狩りで試しても良いか?」
「よかです」
「俺の実力とくとご覧に入れるっすよ~」
大丈夫か不安になってきた。
とりあえずPTを組む事となる。
「糸使いのアオイ」
「回復役のソニーと申します」
「よろしくですわ」
「おぉ~、アナタが噂の糸使い様っすねぇ~。俺、感激っす」
「ここまで広まっているのか?」
「全体放送で連続で出てたでごわすからなぁ」
「嫌でも耳に入るっすよ」
「とにかく、オーガを倒しに行くぞ」
「わかったでごわす」
「フッフッフッ!」
「大丈夫だろうか」
「まぁ5人も居ますからね」
5人で草原にでてオーガを釣る。
「遠距離攻撃で最大射程を持つ俺が釣るっすよ」
「いや、釣りはアオイが担当しているんだ」
「なんですと!」
そんな睨むな。
「アオイさん、最大射程は何mっすか?」
「低い攻撃力での釣りなら、50mはいけるぞ」
LT糸の5本目をみせる。
「50mっすか!?パネェッすね」
「攻撃力が高い糸なら20mが限界だがな」
「でも、魔法使いに飛距離補正も加われば大ダメージは間違いなっすよ!」
確かに魔法使いの攻撃に飛距離ダメージも加われば強いだろう。
「やらせてやるか?」
「そうだな」
「分かりました。シュバルツさんがファーストアタックを決めたら、ロンドさんが壁になってください。ゴウキとアオイがフォローしますから」
「わかったでごわす」
「では、行くっすよ。我が紅蓮の炎よ、立ちふさがりし敵を抹消せよ。トリプルファイアーボールっすよ」
詠唱いらんだろ!
バシュゥウ
ドガガガァン
言うだけあってキッチリと20m離れたオーガに当てた。
魔力が結構なくなってるし、連戦はキツイか?
シュバルツの魔力が大分なくなっている。
「ウォオオオオ!」
バシュンッ
ロンドが挑発を発動しオーガのヘイトを集める。
あれだけ高威力魔法なのだからヘイトはシュバルツに行った筈なのに一発で奪うのだから挑発スキルのレベルもかなりの物だ。
ガィイイン
ロンドとオーガがぶつかり合い鋼鉄の盾が金属音を響かせる。
ギュンッ
ぶつかっただけで少し体力が削れている。
「おらぁ、三連閃!!」
ズバババッ
ゴウキがオーガの横合いから攻撃を開始する。
「フッフッフッ、追撃にもう一度っす!」
「駄目ですよ!」
「なんでっすか!?」
俺の後ろで揉め始めた。
「今はロンドさんがヘイトを集めていますが、もう一度同じの使ったらアナタにヘイトが行きます。戦線が崩れてしまえば私達も危ういのですから」
「えっ!?」
なぜ、PTから外されたか分かった気がした。コイツはヘイトコントロールを知らない。
今まではロンドのヘイトコントロールが上手いから表立ってこなかったのだろう。
「お前は魔力回復に専念しろ、結構持っていかれただろ」
「魔力は魔力回復ポーションで回復できるっすよ」
「魔法職は戦闘時においても魔力回復は必須です。立って見ていて下さい」
「俺に見てろって事っすか!暇じゃないっすか!!」
「おい!そろそろ戦闘に参加しやがれ!俺たちだけじゃキツイぞ!」
「今行きますよ。ヒール」
徐々に削れていたロンドの体力が戻る。
「糸拘束術二式。今のうちに叩け」
「おうよ!ウリャアアア」
「オォオオオオ」
「斬糸!」
身動きが取れなくなったオーガにゴウキ、ロンド、俺の攻撃がオーガに与える。
「トドメは俺の出番っすね!!」
「だから、立っていて下さい!」
「邪魔をしないでくださいっす」
後ろで暴走しかけているシュバルツをソニーが抑えながらオーガ討伐は終了を迎えた。
「おいおい、兄ちゃん後ろの方で騒いでいたがヘイトも知らねぇのかよ」
「ヘイトってなんなんすか?」
ガッ
ゴウキがシュバルツの胸ぐらを掴む。
「ひぇ・・・」
「いいか、俺達は仲間だ!仲間を大事に扱わねぇやつは真っ先につま弾きにされる。初心者でも知っているヘイトコントロールすら知らない、戦いの順序というのも分かっちゃいねぇとあれば俺達だって兄ちゃんをPTから外す必要もあるんだぜ?足を引っ張る奴は不要だ」
「そんなの知らないっすよ・・・」
「知らないじゃ済まされない場所にいるんだよ!サード辺りからPT戦は必須だったんだろ!!」
ゴウキが怒鳴りシュバルツが少し落ち込む。
「おい、ロンド。アンタもコイツと組んでいたから分かってるんだろ?」
「申し訳ないでごわす。オイも何度か言ったつもりなんじゃが」
「そうか、だがコイツには何も通じていなかった。付き合いが長かったアンタの言う事も聞き入れないなら俺達が何を言っても聞きいれないだろうよ」
バッ
ドスンッ
「っつ!」
ゴウキが乱暴にシュバルツを解放し尻餅をつく。
「いいか、次同じことを繰り返す事がアレばPTは解散だ。ロンドの意思次第じゃ、お前だけをPTから外すからな」
ゴウキが踵を返して森へと向けて歩き出す。
パンパンッ
「うぅ」
シュバルツは悪びれる素振りも見せず立ち上がり落とした杖を拾うと歩き出した。
「で、ファーストアタックは続けるか?」
「やらせて欲しいっす」
少しトーンが落ちた返事だ。
ゴウキの説教がこたえた様ではある。
「ファイアーボール」
シュバルツは最大火力であるトリプルではなく普通のファイアーボールを放った。
ロンドが盾になりゴウキと俺のフォローが入りオーガ戦は楽々と進む。
「なぁ、魔法使いってどんな戦い方をすればいいんすか?教えて欲しいっす」
「本来なら本職の方に聞くべき事ですよ」
シュバルツがソニーに教えを請う。
「まず、魔法職である私やアナタの魔法は相手にとってヘイトを集めやすいです。強力であればあるほど」
「ヘイトっていうのなんなんっすか?」
「敵が持つプレイヤーに対する憎悪値です。アナタのトリプルファイアーボールが憎悪値100だとすれば、前衛職のスキル攻撃は20~30という所ですね」
「それだとどうなるんっすか?」
「敵の憎悪値はアナタを敵だと認識させ続けて攻撃を仕掛けてきます。後衛職の防御力は基本は紙ですからね。大ダメージですよ」
「そんなっ!」
「その様子ですと周りが苦労してアナタに攻撃を行かせまいとしたのでしょう」
「そうだったんっすね・・・迷惑を掛けていたなんて知らなかったっす」
「論より証拠ですね。ゴウキ、ロンドさん、一度ヘイトについて教えたいのでシュバルツさんのトリプルファイアーボール後でも通常スキルは使ってもいいですが挑発は一度当てられてからして下さい」
「おう、わかった」
「分かったでごわす」
こうして新たなオーガとの戦闘に入る。
「トリプルファイアーボール」
ドガガガァン
ギャァアア
ズンズンズンっ
オーガは真っ直ぐシュバルツに向かってやってくる。
「三連閃!」
「スマッシュ!」
ロンドとゴウキがスキル攻撃を放つが意も返さず進む。
グォオオオ
「ひぃ!」
ドガッ
「がはっ!?」
シュバルツの体力が一気に3割も削り取られ地面を転がる。
「ウガァアア」
バシュンッ
すかさずロンドの挑発が発動しオーガのヘイトを奪う。
立ち位置を通常に戻して戦闘は始まった。
「中位回復魔法行きますよ。ヘイト管理お願いします。グレーターヒール」
パアアアアァア
シュバルツの体力が殆ど戻る。
再度、ロンドが挑発を使いヘイトが飛ばないように固定する。
「斬糸!」
ブシュゥ
オーガの筋肉の前じゃ切断にまで至らないようだ。
後はセオリー通りの動きでオーガは沈んでいった。
「アレがヘイトです。魔法使いの魔法は強力ですが、タイミングを見誤ると死ぬのは自分自身ですよ」
「ぁあ、分かったっす」
「それと、バカスカと上位魔法を放てば魔力切れも早まります。戦闘中以外でも休憩を挟みながら魔力回復をしてPT全体が動くので遠慮なく言って下さい」
「はいっす」
ソレからはオーガ戦を続けてシュバルツに魔法を放つタイミングなどを教えながら慣れさせる。
『オーガの角、97本。クエスト回数として19回分ですので38,000Gで、一人当たり7,600Gになります』
ギルドでクエスト報酬を受け取り今日は解散となった。
「逃げなかったのか?」
「今日こそ名誉挽回させて貰うっすよ!」
「その意気だ。今日は森での戦闘だ」
準備を整えて俺達はオーガを倒しながら森へと向け歩き出す。
「4人も出てくるっすか!?」
「どうした、怖気づいたか?」
「そんな事ないっす!」
シュバルツは両膝を震わせて強がってみせる。
「森と草原での戦い方はまた別物です、障害物が多いですからね」
「大丈夫っすよ」
「アナタは暴走すると目の前が見えなくなるタイプですからね。冷静でいてください」
「気をつけるっす!」
「森からはファーストアタックはしない、最初からロンドの挑発から戦闘を始める」
「先制攻撃は有利に事を運ぶ手段じゃないんすか?」
「ここからは敵は4人と多いんだ。対処方法も違ってくるし安全策を取るのが優先だ」
「OKっす」
だんだんとゴウキの言いたい事を理解し始めているようだ。
「最近知った事なんだが相手の回復士は仲間の欠損ダメージも回復して戦線に復帰させてくる厄介な特性がある」
「欠損ダメージでごわすか?」
「この糸使い様が敵の両腕を切断するんだよ」
「嫌味か?」
「怒るなってーの。アレは有効な手段なんだからよ」
「斬属性でごわすね?」
「知っているのか?」
「それ位、俺も知っているっすよ。糸使いの謎攻撃の一つ斬属性っすね?」
「で、どうなんだ?」
「さぁな?」
「惚けるんじゃねぇ」
パンパンッ!
「ほらほら、巫山戯てないで現れましたよ」
「ロンド、頼んだぜ」
一気に戦闘モードに入ったゴウキにロンドも呼応して前へと出る。
「ウォオオオオ!」
挑発が入り、俺達に気づいていなかった4人組のダークエルフ達が襲いかかってきた。
ガキィン
鋼鉄製の鎧と盾を持つロンドの前では剣士は歯が立たない。
ヒュンッ
「させるかよ!」
ザシュッ
弓士の矢を空中でゴウキが真っ二つに切り落とす。
『ファイアー{ヒュォンッ}』
「斬糸」
『ギャァアア』
魔法士の魔法攻撃が発動する前に俺の斬糸の餌食となる。
バッ
その隙にゴウキが剣士と弓士を無視して回復士に襲いかかる。
「糸拘束術二式」
ガガッ
2本ずつのワイヤーで剣士と弓士を拘束する。
『ウギャァア』
ゴウキの攻撃で魔法士が地に沈む。
ガイィイン
ピヨピヨッ
ロンドのシールドバッシュが剣士に決まり、気絶する。
「三連閃!」
「斬糸!」
『ウギャァア』
剣士も難なく倒せる。
残りは片腕を失った魔法士と拘束されている弓士だ。
ヒュォッ
拘束が解けて弓士が攻撃を仕掛けようと弓を向けてくる。
「引き寄せ!」
シュルンッ
パシッ
ワイヤーが弓士の弓に絡まりスキルが発動する。
「おいおいおいおい!」
「トドメはくれてやるぞ」
「了解っす!!俺の出番っすね!!」
いままで我慢していたシュバルツが最大火力で弓士をトリプルファイアーボールの餌食とする。
ザンッ
残った魔法士はゴウキが叩き斬る。
「武器も奪えるのかよ!」
「やってみたら出来ただけの事だ」
スキルの説明文にも【対象を】とまでしか書かれておらずモンスターやプレイヤーだけではないと思ったから使ってみただけだ。
「マジかよ、余計にお前とは敵対したくねぇよ」
「そうですね、武器を奪われるなんて想像しただけでマズイという事ですからね」
「そんな隠し玉があったんっすね」
「糸使いってスゴイでごわすな」
4人がそれぞれの反応を示す。
「俺が出張ってしまったようだ。シュバルツにもっと弱めの魔法を使ってもらう」
1戦に使った魔力が48、最大魔力のほぼ5分の1を使ってしまった。
「なぜに糸使いはそんなに魔力消費が激しいのですか?」
誰しもが疑問を覚えるだろう。
「糸を操るというのだけでも、魔力を消費し続ける特性があるんだ」
シュルッ
魔力操作と操糸のスキルを使い、1本のワイヤーが一人でに持ち上がっていく。
ピコンピコン
俺の魔力が今ので4消費した。
ピコンピコン
1秒経過し魔力操作スキルで1消費する。
フッ
スキルの発動を止めて魔力消費を無くす。
「単発スキルの消費は少ないが多数のスキルを同時発動するからどうしても消費量が多くなってしまうんだ」
「抑える事は出来ないのですか?」
「それをやってしまうと命中率が殆ど落ちる。やってみせようか?斬糸!」
ヒュオワッ
斬属性の乗ったワイヤーが訳の分からない方向に進み木に衝突する。
「モンスターに対してアレだけの命中率を誇っているのは別のスキルを併用しているからなんだ」
「なるほど・・・つまり普通の糸使いは命中率もかなり弱いと言うことですか?」
「糸を真っ直ぐに飛ばす事は楽にできるんだが、モンスターがそこに留まっているわけないしな」
「ましてはAI機能付きとくりゃ、真っ直ぐに来る攻撃は避けるわな」
「そういう事だ。魔力消費量を抑えて命中率を下げるなんて元も子もないだろ?」
「魔法ならば必中するぞ」
「糸使いも同じ後衛職だが、ホーミング性能は殆ど機能していない」
「そうなのか」
「シュバルツが草原で見せた20m以上の魔法は何なんだ?」
「アレは俺が気づいたスキル外スキルっすよ!」
妙に自信満々だな。
「アレは魔法に特殊な命令を加えて出来る事が分かったんすよ」
「特殊な命令?」
「スキルに魔力操作というのがあるっす」
「スキル外スキルじゃなくねぇか?」
「ちゃんと聞くっす。本来魔力操作はあくまでも手元を離れたらスキルの力は発動しないっすよ。だけど、離れるまえにある命令をする事によってスキルの効果が魔法に乗るという事が分かったすよ」
「つまり、敵に当たる命令か」
「敵へのロックオンによるホーミングではなく魔法が衝突するイメージを魔法に与えてるんすよ」
「本当に可能なのですか?」
同じ魔法職であるソニーが疑いの眼差しを向けている。
「ほ、本当っすよ!信じてくださいっす」
急に自信が薄れたな。どれ、フォローしてやるか。
「先ほど、俺の攻撃動作の中に複数のスキルを使っていると言っただろ?その中に魔力操作が含まれている」
「そうなんですか?」
「魔力操作は確かに手元を離れてしまえば、スキル効果は発動しない。俺の糸は常に繋がっているからスキル効果は持続する」
「つまりは、どういう事で?」
「シュバルツの言っている事は間違っているとは限らない。俺はイメージを糸に伝えて自由自在に操っているんだ。魔法の場合デメリットは敵が大きくズレたら当たらないのだろう?」
「そうっす。ラビットなど移動範囲が大きいモンスターだと20m以上の攻撃は難しいっす」
「では、私も魔力操作を取得すれば回復範囲も伸ばせるのでしょうか?」
「対象が動いていなければの前提になるな。下手するとモンスターが回復対象になる。あくまでもノンターゲッティングでの攻撃方法なんだコレは」
「うっ、そりゃキツいぜ」
「止めておきます」
「さてと、魔力回復はした。休憩しながらになると思うがコンビネーションの微調整をしていくか」
「おうよ」
「壁は任せるでごわす」
「俺の出番が増えるっすね」
「魔力を抑えて攻撃してくださいよ」
こうして俺達はダークエルフ達との戦いを続け、コンビネーションを確立していく。
『オーガの牙32本、クエスト回数として6回分ですので12,000Gに加え、ダークエルフの耳169個、42回分ですので105,000Gの合計117,000Gなので一人当たり23,400Gになります』
「良い報酬だよな」
「トッププレイヤーはもっと稼ぐんですよ」
「フィフスの街かぁ、早く行ってみてぇなぁ」
「そうっすね!」
本日はここまで、次回を楽しみにして下さい。
お疲れ様でした。




