04話「セカンド-セカンドの街①」
門をくぐり抜け視界が一気に開けて草原が広がる。
「ファストに戻ってきたのか?」
「そう思うのも仕方がないわよねぇ」
「ちゃんとセカンドの街よ」
草原を歩いて街へと向かっていく。
「狼?」
「セカンドの街周辺にはグレーウルフが生息しているのよ。もちろんアクティブだから襲いかかってくるわよぉ」
「視覚・聴覚・嗅覚なんかで周りからリンクしてくるから一撃で倒さないと大変な目になるのよね」
「それなりの装備じゃないとダメなのか?」
「ソロだとキツいのよ。だから私達生産職もお金を払って転移するわ。ここまで来るのに時間も掛かるしね」
「防御力がいくらっても殲滅力がなければ囲まれて終了よぉ」
「理解した」
「早速グレーウルフが反応したわよ」
「今のクマ吉なら一撃で倒せそうよ」
「任せたわぁ」
「グォオオオオ」
強者の咆哮で近づいてくるグレーウルフの動きを阻害しその隙に攻撃を加えるクマ吉。
「グレーウルフ自体は体力がラビット並だからある程度の攻撃力があれば一撃で倒せるのよぉ。覚えておいてねぇ」
「近づかれる前に射倒せそうですね」
「他のグレーウルフに勘付かれなければね」
「俺の糸だと嗅覚・聴覚の範囲内だし無理そうだな」
ラビットを一撃で倒せる事は倒せるが、グレーウルフ自体の防御力とか考えればリンクしまくりだろう。
クマ吉の一撃で近寄ってくるグレーウルフを倒しながらセカンドの街へと到着した。
「ファストの街と変わらないな」
「景観の事なら屋根の色が青色系が多いこと位かしらね。でも流通品が違うわよぉ」
「ファストの街に無い物が売っているわ」
「復活ポイント」
俺達がやってきたのはセカンドの街中央広場にある復活ポイントである。
「ここを活性化すればファストの街との行き来が楽になるわよ」
「分かった」
≪セカンドの復活ポイントが活性化されました。復活ポイントに指定しますか?≫
NO
今はセカンドの街ではソロ活動は出来なさそうだしな。
≪転移可能の街:ファスト、500G≫
500Gであの道のりを一瞬でか、高いな。
イロハとダイチも活性化が済む。
「目的は達成したわぁ。これからはどうするかしらぁ?」
「ここで解散でいいんじゃないか?各々したい事はあるだろ?」
「ですね。僕もここの流通品に興味ありますし」
「食べ物」
「フレンド登録していなければしましょう」
5人全員がフレンド登録を終えてお開きとなった。
俺の向かった所はNPCショップである。
まず、武器屋。
【銅線のリール:2,000G】
【鉄線のリール:2,500G】
【LT糸のリール:3,500G】
目に留まったのはLT糸のリールだ。
「オヤジ、LT糸って言うのは何だ?」
『お前さん、ここに来るのは始めてかい?』
「あぁ」
『なら、LTが何なのか分からなくて当然だ。LTというのはレッサータラテクトの略称さ』
「レッサータラテクト」
『あぁ。この街の特産品の糸を作り出しているモンスターなんだ』
「モンスターを飼っているのか?」
『もちろん専用の知識と経験を持ったテイマー職でないと飼えないモンスターだけどね』
「その糸は銅や鉄よりも価値が上なのか?」
『生産数の問題でね。中々市場には回らない貴重品さ。王族・貴族御用達の生地として使われているのさ』
「糸は手に入るようだな?」
『糸ならば布に比べると安く手に入るし大量に作る事はないからね。この方コイツが売れた試しがないね。他の武器は売れるってのによ』
糸使いは俺1人しか居ないし買う奴なんて居ないだろう。
「生産場所は何処なんだ?」
『生産場所はこの街を出て北西に向かった所にあるよ』
「街の外にあるのか?」
『あぁ。特産品と言ってもモンスターを街中に入れる訳にはいかないからね。もし興味があればいってみるといいよ』
「わかった」
店を出て他の場所を巡る。
【LTの服(+6) :3,000G】
【LTのズボン(+6) :3,000G】
【LTのマント(+3) :4,500G】
LTの防具もあり全てが現時点では手の届かない品である。
ココに来るにはグレーウルフを安全に倒せるだけのレベルが必要そうだ。
≪ファストの街へ転移します。500Gが支払われました≫
インベントリから500Gが抜かれファストの街へ転移される。
「あの距離を一瞬でか」
無事にファストの街へと転移された。
「さてと」
【ステータス】
名前:アオイ
種族:ヒューマン
レベル:9
職業①:糸使い(Lv5)
職業②:裁縫師(Lv1)
SP:2
体力:300/300
魔力:134/134
攻撃力:34(+6)(脚+3)
防御力:26(+7)
状態:健康
称号:なし
ランク:G+
ウッドゴーレムの戦いでレベルが3上がりステータスも上昇した。
≪スキル:魔力操作をSP1消費して取得いたしますか?≫
YES
・魔力操作
50m範囲内の魔力を伴い物を操作できる。ホーミングも可能。
命中率:10%
前提:キャラクターレベル5
SP1の消費。
消費魔力:1/1s
説明文通りならば攻撃時に役立つはずだ。
ついでに経験スキルも見ておくか。
・糸防御術一式
対象の攻撃を逸らす。
前提:糸を使って相手の攻撃を逸らしたら
消費魔力:2
CT:5s
なるほどウッドゴーレムの強烈な一撃を逸らしたから手に入ったスキルか。
新たに手に入れた魔力操作と糸防御術一式の確認するか。
草原に出向きラビット相手に使ってみる。
「魔力操作」
ヴンッ
絹糸に俺の魔力が纏うのが分かる。
「発射!」
ビュンッ
鋭角を放ってみる。
「これは」
魔力を介して鋭角が飛ぶ方向が感覚的にだが分かる。
拳を突き出す時どの角度で打ち出すまでの間自分で調整出来るのと一緒だ。
ビュンッ
ガシュッ
自分のイメージ通りに鋭角を90度上にあげてラビットの頭上から突き下ろした。
バリィン
クリティカルヒット、飛距離ボーナスによって一撃必殺が発生した。
「これは凄いな」
いままで25m内のモンスターに対して目算で攻撃をヒットさせていたが魔力操作で断然やりやすくなった。
ホーミングが発生していなかったが条件は一体なんなのかが気になる。
今度は15mのターゲット限界地点からの攻撃。
カチッ
ターゲットした時は赤い円でターゲットを知らせてくれる。
魔力操作を発動した途端ターゲットの赤い円が青い円にすり替わった。
「まさか」
フッ
いつもだったら狙いを付けて攻撃をするが、腕をあらぬ方向へ向けて攻撃の意思を発動。
ドシュッ
ギュンッ
一度は違う方向に飛んでいった鋭角が急激に角度を変えてラビットに命中した。
これがホーミングって奴か。
恐らくターゲットできた状態ならばどんな角度からでも攻撃は当たる仕様なのだろう。
1秒に魔力1消費するだけある。
今回はクリティカルも飛距離ボーナスもなかったが地の攻撃力だけで一撃死となった。
そういえば、SP1残っているしアレも取るか。
≪スキル:鷹の目をSP1消費して取得いたしますか?≫
YES
・鷹の目
50m範囲内の視野を拡大縮小出来る。
命中率+10%。
前提:キャラクターレベル5
SP1の消費。
消費魔力:5/5s
「鷹の目」
ブンッ
視界が通常の色合いから淡い青色が掛かった。
鷹の目状態だとそういうエフェクトが付くらしい。
グンッ
「おぉ!?」
一歩も動いていないのに視界が動いた。
周囲50m先までなら動かず視界だけ動かせるのは便利だ。
「魔力操作」
更に魔力操作で糸を操る。
ビュンッ
糸の速度に合わせて視界も思い通り動き25mが限界だった攻撃も楽々限界距離50mまで到達した。
ピィ
たまたま50m圏内にいたラビットに攻撃を命中させる。
「今ので消費魔力12か」
魔力操作、鷹の目で1秒間6の魔力を消費、50m到達するのに約2秒という事は時速90kmになる。
そりゃ見えない訳だ。
今の攻撃で40(総攻撃力)×2.0(クリティカル)×3.0(飛距離50m)で攻撃力240で殴ったという事になる。
たったの12消費しただけで攻撃力240はオーバーキルだし効率が良すぎる。
難点は巻き戻し時間だな・・・50m分となると次の攻撃にタイムラグが発生する。
シュルルルル
カシャッ
50m分の巻き戻しに約10秒、時速18kmで戻ってきた。
10秒では別のモブと戦いが始まってしまえば紙の防御力しか持たない俺では殺されるレベルである。
安全地帯か、攻撃を防げる手段を持っている時以外この攻撃方法は止めておいたほうがいいな。
今まで通り25m内での戦いで行くしかないようだな。それまでは金策してLT系武具を目標とするか。
再びセカンドの街へ転送され草原へと出て行く。
ファストやセカンドの街周辺にはモンスター侵入防止用の高い壁が周辺を囲んでいる。
草原にいるモンスターは壁周囲には決して近づかないから背後を気にする必要がない。
つまり
ギュンッ
バリィンン
安全地帯からの一方的な攻撃がグレーウルフに突き刺さり一撃で粉砕した。
10秒の巻き戻し時間があっても流石に視覚、嗅覚、聴覚の範囲外からの攻撃には認識できないようだ。
≪アオイのレベルが12に上がりました≫
≪糸使いのレベルが7になりました≫
≪SPが1増えます≫
【ステータス】
名前:アオイ
種族:ヒューマン
レベル:12
職業①:糸使い(Lv7)
職業②:裁縫師(Lv1)
SP:2
体力:390/390
魔力:168/168
攻撃力:47(+6)(脚+3)
防御力:36(+7)
状態:健康
称号:なし
ランク:G+
あっと言う間にレベルが12になった。
ソロ狩りでの経験値総取りと一方的で安全地帯からの認識外攻撃が強く効率が良いからだ。
スキルはどんな感じなんだ?
【糸使い(Lv7)】
・糸拘束術一式(Lv5) [魔力-1]
・糸防御術一式(Lv1) [魔力-2]
・魔力操作(Lv3) [魔力-1/1s]
・観察(LvMax) [アクティブ]
・鷹の目(Lv3) [魔力-5/1s]
・二連脚(Lv10) [魔力-2]
・注視(Lv10) [アクティブ]
【裁縫師スキル(Lv1)】
・未取得
【種族スキル】
・なし
少しずつレベルが上がっているみたいだな。
魔力操作と鷹の目のコンボで足技や糸防御が育たないから距離を短くして別のコンボに繋がるか試してみるか。
試しに15m近くにいるグレーウルフを攻撃。
ギャンッ
グレーウルフは初撃を受け俺を敵とみなしターゲットしてくる。
ザッザザザッ
一直線にオレに向かって突進してくる。
バッ
俺の喉元目掛けて飛びかかってくるモーションが見える。
「糸防御術一式」
グルル
「魔力操作」
ギュンッ
糸防御術一式で相手の攻撃を逸らす事に加え魔力操作で威力を底上げさせてやる。
グンッ
バゴッ
ギャンッ
グレーウルフは成す術なく地面に叩きつけられる。もちろん攻撃判定となり体力を多少なりとも削り取った。
「二連脚」
ドシュシュッ
バリィイン
今はこれでスキルレベルを上げてみるか。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・
撤退だな。
スキルレベルを上げる為だがグレーウルフの体力が削れきれない時がありダメージを受ける。
体力や魔力回復の為、街へと戻る。
「新しいのを買うか」
ある程度のウルフ素材とドロップした金額が溜まってきたし銅線のリール位は買えるだろう。
『グレーウルフの毛皮が28枚、討伐回数として5回分ですので1,000Gとなります。端数3枚は別途買取しますと1,150Gになります』
「クエストじゃなくて28枚分の買取はできないのか?」
『出来ますが貢献度には反映されません』
「それでいい。貢献度より金になったほうがいいしな」
『分かりました。グレーウルフ28枚、1,400Gとなります』
「問題ない」
冒険者ギルドにもランクがあり貢献度でランクが上がりクエストの受注可能物が増えるシステムだ。
チャリィン
取引が成立して俺のインベントリに1,400Gが振込まれる。
ドロップした金額に足して2,150G、ギリギリ銅線の武器が手に入るな。
『銅線のリールで2,000Gだ』
2,000Gで武器屋の親父から銅線のリールを買い取る。
『お前さん、糸使いだったんだな』
「まぁな」
『通りでLT糸について聞いてきたのか』
「それが?」
『気を悪くしないでくれ。ここに来る冒険者は皆鉄製の武器とか買うのが大半だからね。埃を被っているコイツ等に興味をもってくれたのが印象だったからな』
「そうか」
『また、来てくれよ』
「金が貯まったらな」
≪銅線のリールを装備しました≫
≪銅線のリールは銅線のリール(鋭角)に変化しました≫
【ステータス】
名前:アオイ
種族:ヒューマン
レベル:12
職業①:糸使い(Lv7)
職業②:裁縫師(Lv1)
SP:2
体力:75/390
魔力:13/168
攻撃力:47(+8)(脚+3)
防御力:36(+7)
状態:健康
称号:なし
ランク:G+
【装備】
頭:なし
体:絹の服(+2)
腰:絹のズボン(+2)
足:ラビットクローブーツ(攻+3)(防+3)
背中:なし
右手:銅線のリール(鋭角)(+8)
左手:なし
さてとレベル上げに戻るか。
「アオイさん」
再び草原に戻る前にダイチとミモザの2人が声をかけてきた。
「リールの改造案が固まったわ」
「話を聞こう」
俺達は近くの喫茶店へとやって来た。
「結論からなんだけど、リールの土台に対して金属製にする事はできたんだ」
ゴトッ
金属製のリールが机の上に置かれる。
「でも、糸を射出したり巻き戻したりする機構部分が脆くて強度は全然変わらなかったんだ」
「残念だけどこれで防御するのは無理だって事はわかったわ」
「今、左手が空いているなら。左手で盾を持ったほうが良いと言うことになったんだ」
「そうか・・・いや試作してくれただけで助かった。コレの代金は後でいいか?」
「一つしか作らなかったし代金はいらないわ」
「気持ちの問題だ。せめて半分は支払いたい」
「そこまで言うなら半額だけ。2,500Gになるわ」
「いつか支払う」
元々は5,000Gもするのか。
「コレと合体とかできないのか?」
銅線のリールを取り出して聞いてみる。
「できるわ。リール部分は変わらないから銅線部分を取り出して付け直すだけよ」
パチンッ
テキパキとミモザが銅線のリールを木製の土台から取り外して金属製のリールに嵌め込んだ。
≪銅線のリール(鋭角)が銅線のリール(鋭角)(金属製)に変化しました≫
「あら、土台部分を変えただけでアイテムに変化があったわ」
・銅線のリール(鋭角)(金属製)
金属製の重厚感のある銅線のリール。
攻撃力:10
耐久値:150/150
装備可能職業:糸使い
ランク:ノーマル
品質:1
「LT糸のリールの攻撃力が同格になったんだが」
「土台を鉄製にした事によって攻撃力に補正が掛かったのよ」
「そうなんだ。木の矢より石の矢。石の矢より鉄の矢の方が攻撃力は高いからね」
「なるほど、コレは有り難く使わせて貰う」
「耐久値が0になったら私の所に来なさい。お金は掛かるけどね」
「わかった。また何かあったら依頼する」
「楽しみにしているわ」
「アイデアを出すのは面白いからね」
「あ、そういえば。コレについてあったな」
俺はラビットクローブーツを指差す。
「全部鉄製の攻撃力も防御力もある奴作れないか?」
「作れないことはないわ。でも全部鉄製にするとソレよりもお金が掛かるわよ」
「その前に糸使いじゃ、鉄の靴は装備できないね」
「そうか」
「頑張っても革のブーツだね」
「革職人に心当たりないわよ」
「僕もだね。まぁ細工師だから既製品の革の靴に何か細工する事は出来るから何かあったら言ってくれよ」
「わかった。そうさせてもらう」
俺達は別かれて新たな武器の性能を試す。
バリィイイン
攻撃力が4上がっただけでこちらの体力が削られる前にグレーウルフを倒せるようになった。
この調子でドンドン倒して装備を充実させていくか。
近くにグレーウルフが存在していなければ遠くのグレーウルフに切り替えて飛距離ボーナスとクリティカルのコンボで一撃で倒しながら
延々とウルフ狩りを続ける。
≪規定値に達しましたので称号にウルフハンターが付きます≫
≪アオイのレベルが16に上がりました≫
≪SPが1増えます≫
≪糸使いのレベルが8になりました≫
≪スキル:鷹の目のレベルがMAXに達しました≫
≪スキル:遠視が派生します≫
≪SPが1増えます≫
≪スキル:二連脚のレベルがMAXに達しました≫
≪スキル:三連脚が派生します≫
≪SPが1増えます≫
ある程度ウルフ素材を纏めて売ったりを繰り返しながら狩り続けていたら色々レベルアップした。
称号はある一定の何かを成し遂げれば取得できる。
・ウルフハンター
一種類のウルフを500体狩り続けた功績。
ウルフ系モンスターに10%ダメージ増加。
ウルフ系限定とはいえ10%ダメージが増えるのは良い。
「金も溜まったことだし新しい武器と防具でも買うか」
『LTのリールなら3,500Gだよ。まさか買いに来るとわね』
「金が早く溜まったからな」
『まいどあり』
「次は防具だな」
『LTの服、ズボン、マント合わせて10,500Gだけど払えるのかい?』
「問題ない」
ウルフ狩りで貯めた18,500Gがある。
途中で値段が半額以下の買取になったがLT系装備合わせて14,000Gを余裕で買える金額である。
ミモザにLT糸のリール部分を鉄製土台に組み込んでもらう。
「土台の耐久値が落ちているけど直さなくていいのかしら?」
「ついでにやってくれ」
カンカンカン
ミモザは土台に鉄インゴットをプラスして耐久値を元に戻す。
【ステータス】
名前:アオイ
種族:ヒューマン
レベル:16
職業①:糸使い(Lv8)
職業②:裁縫師(Lv1)
SP:6
体力:460/460
魔力:205/205
攻撃力:61(+17)(脚+3)
防御力:46(+18)
状態:健康
称号:ウルフハンター
ランク:G+
【装備】
頭:なし
体:LTの服(+6)
腰:LTのズボン(+6)
足:ラビットクローブーツ(攻+3)(防+3)
背中:LTのマント(+3)
右手:LT糸のリール(鋭角)(金属製)(+14)
左手:なし
これで、この街で最高の装備を手に入れたわけだ。
「あなた凄い噂になっているわよ」
「噂?」
「外壁周辺でウルフ狩りばかりしているプレイヤーがいるってね。掲示板でも覗いてみたらどうかしら?」
「そうする」
喫茶店に入り該当しそうな掲示板を覗き見る。
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【攻撃が】ウルフ狩りプレイヤーって何者?【見えん】その1
001:ルールは以下の通り
・次スレは>>950を踏んだ人が立てる事
・荒らしに触らない、NG推奨
・荒らしが自作自演する場合があるので、触ってる人もNG推奨
002:1乙
003:乙
004:kwsk
005:場所はセカンドの街周囲の壁辺りでソロプレイヤーがいるやん?
006:知るか。で?
007:俺も何時もどおりセカンドの街へ帰る途中でウルフを狩りながら進んでいたわけよ。
008:あそこの狼はリンクするからウザいよなぁ
009:で、リンクしてこっちに来始めたウルフがいたんだけどイキナリ死んだ。
010:ファッ?!
011:俺も何事かと周囲を見てみたけど誰もいないし驚いたわ。
012:それで?
013:仕方がないから進んでいくと門より離れた場所でプレイヤーが一人でウルフと戦っていた。ここまでは普通だった訳よ。
014:勿体ぶるなよ。
015:ウルフが得意のジャンプ攻撃だ。アレって結構早いから慣れないと迎撃できないじゃん。何が起こったと思う?
016:勿体ぶるなってーの
017:突然、プレイヤーを飛び越えて地面に叩きつけられたのよ。驚き固まったねアノ光景は。
018:狼が突然なのか?
019:あぁ、一人でに叩きつけられた感じだった。そこにプレイヤーが近づき足蹴りして倒したんだ。恐らく足技持ちだな。
020:なんで分かるんだよ?
021:その人ラビットクローブーツを履いていたからな。
022:ラビットクローブーツ?
023:足技専用の装備だな。防具の筈が攻撃力も備えているプレイヤーメイドの物だ。
024:よく履けるな。女プレイヤー?
025:男
026:男でラビットクローブーツは無いわ~
027:モフモフ感は捨て置けないが男ではなぁ
028:脱線している。戻してくれ
029:少し足を止めて観察してみたらソイツの攻撃が見えない事が分かった。
030:攻撃が見えない?
031:15m位離れたウルフに何かしら攻撃が当たってそのプレイヤーに向かうのは分かったんだ。
032:15mだと魔法職か弓使いか?
033:いや、魔法も弓も使ってなかった。遠くて分からなかったが籠手の様な物が装着されていた。
034:籠手?
035:それってリールじゃねぇの?
036:リールとは?
037:リールって言えば糸使いの武器だよ
038:は?糸使いなんてまだ居るのか?
039:メイン職ランキング最下位に1人だけ居るんだよ。
040:絶滅危惧職だと思ってたわ。
041:糸なら目に見えない攻撃だって納得いくだろ。
042:だからって糸使いだぞ?近距離戦闘すら出来ない紙装甲で何ができると?
043:たしか、あの時キラキラした物が舞っていたが、糸だったのか?
044:何色だった?
045:茶色・・・ぽい様な
046:茶色・・・銅線のリールだな。たしか武器屋から無くなっていたからな
047:よく観察しているなぁ
048:銅線って武器になるのかよ?
049:そこはゲームだからな。細い糸っぽい物が武器になっているんだろ。
050:で、暫く観察してら糸の攻撃なのか分からないが予想以上の攻撃もしていた
051:どういった攻撃だ?
052:目視でも見えるかどうかのウルフがポツポツと消滅し始めたのよ。軽く30m超してたわ。
053:ファッ!?
054:30mを超えた攻撃だと!?
055:驚き固まったが真実なわけよ。一撃必殺って感じだったな。
056:どんな職業でも距離の壁はあるんだぞ?
057:ノンターゲッティングじゃね?
058:それでも30m先といやぁ豆粒みたいなウルフに当てるんだぞ?
059:確かに。何か秘密が有るな。
060:どうしたらそんな距離だせるんだ?
062:俺弓使いだけど、見る事なら出来るぜ?
063:見る事?
064:大体の後衛職は取っていると思うんだが「鷹の目」ってスキルがソレに該当するんだわ。詳細はスキル取得一覧から見てくれ
065:確かに50m先を見る事は可能だな?
066:ターゲッティングは出来ないわけか。視覚が動かせるだけじゃぁな
067:無いよりマシだぜ?矢の着弾点が分かれば次射の時、角度の微調整ができるからな。ゼロじゃなくなるぞ。
068:しかし紙装甲で一撃必殺が見込めない状態で遠くのウルフを狙うかには至らなくね?最悪近くにポップしたウルフがリンクする事を考えると。
069:だな・・・・
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ここからは延々と俺についての考察談議が始まった。スキルの組み合わせなのかプレイヤースキルが高すぎるのか等々と異論・反論・憶測が飛び交う。
全然気がつかなかったなぁ。
下にスクロールすると俺の事を見ているプレイヤーは数人ではなく数十人単位で見ていた事が判明した。
鷹の目スキルは良い着眼点だったが魔力操作が抜け落ちていた。
魔力操作スキルについても話題に上がったがスキルの能力が手元から離れれば魔力操作が効かないと勘違いしているようだ。
だが糸なら全て繋がっている為、他の職業では出来ない動きを実現できている事には気づいていないようだ。
お疲れ様でした。