03話「ファスト-次の街へ」
≪アオイのレベルが6に上がりました≫
≪SPが1増えます≫
【ステータス】
名前:アオイ
種族:ヒューマン
レベル:6
職業①:糸使い(Lv2)
職業②:裁縫師(Lv1)
SP:2
体力:250/250
魔力:75/75
攻撃力:12(+6)
防御力:12(+7)
状態:健康
称号:なし
ランク:G
森でのゴブリン狩りでレベル上げに勤しみ6になった。
どうやら偶数時にSPが1つ貰える様だ。
一旦森を抜けてスキル取得一覧を確認する。
■習得可能スキル
・ショートピアッシング
・二連脚
・護身術
・鷹の目
SP1での取得では4つあった。
・ショートピアッシング
サブウェポンとして短剣を装備して戦う。メインウェポンとの武器交換が発生。
攻撃速度上昇+5%
前提:キャラクターレベル3
SP1の消費。
消費魔力:2
CT:5s
・二連脚
サブウェポンとして足技で攻撃できる。武器交換の必要が無い為タイムラグが発生しない。
攻撃速度上昇+5%
前提:キャラクターレベル3
SP1の消費。
消費魔力:2
CT:5s
・護身術
サブウェポンとして体術で攻撃をいなせる。武器交換の必要が無い為タイムラグが発生しない。
速度上昇+5%
前提:キャラクターレベル3
SP1の消費。
消費魔力:2
CT:5s
・鷹の目
50m範囲内の視野を拡大縮小出来る。
命中率+10%。
前提:キャラクターレベル5
SP1の消費。
消費魔力:5/5秒
・魔力操作
50m範囲内の魔力を伴い物を操作できる。ホーミングも可能。
命中率+10%
前提:キャラクターレベル5
SP1の消費。
消費魔力:1/1s
短剣術はメインウェポンとの交換というだけで除外。ただでさえ糸巻きの時間があるのだ。
護身術は武器交換時間が無いがインファイトに持ち込まれた挙句攻撃を回避するだけだから何とも言えない。
となると足技、鷹の目、魔力操作が魅力的だ。
武器交換のタイムラグなしで攻撃できるのも捨て難い。
鷹の目は遠距離攻撃職にとって有り難い効果だ。
同じく魔力操作で操れるのはロマン的には捨てがたい。
・・・コレだな。
≪スキル:二連脚をSP1消費して取得いたしますか?≫
YES
インファイトに持ち込まれたときに足技があったほうが心強い。
鷹の目や魔力操作も捨て難いがどちらとも1秒に魔力1ずつ消費する経過型のようだ。
そこそこ魔力は持っているが連続戦闘になると苦しい場面になりそうだ。
次に持ち越しだな。
ドシュッ
ギュルルルゥ
何も無い所に向かって攻撃を行い巻き取りする。
ババッ
おぉ!
巻取り中でも足技は発動した。
メイン武器との交換不要は巻き取り中でも問題ないなら取った甲斐があったものだ。
もし攻撃をミスったとしても足技で何とか対抗できよう。
ギャギャッ
くっ
この!
ゴブリンとの戦闘で思わぬ罠を発見した。
ゴッ
足技は発動している。
が靴の攻撃力0じゃダメージが入らない。
元々、革靴は攻撃用として作られていない。
武器としての判定が必要だと言うことだった。
ギャァアア
パリィイン
ゼェゼェ
何とか倒した物の油断もあり苦戦を強いられた。
一度街へ戻ろう。
足技用の装備が売っているかも知れない。
なかなか無いな・・・
NPCショップには足技用の装備は売ってなかった。
あとはマーケットで売っているかだ。
ガヤガヤ
変らず活気のあるマーケット内を歩く。
「無いな」
キョロキョロと商品を見るも通常の武器や防具はあれど足技用の装備は見かけない。
「あら♥アオイ君じゃなぁい」
ウゲッ
相変わらずクネクネとした動きをするミカがそこに居た。
「何かお探し物かしらぁ?」
「どうせ、お前の・・・ん?」
「あら?お目が高いわねぇ。コレに目が行くなんて」
ミカが手に取ったのは小型ナイフが3本取り付けられているフワモコとしたブーツだ。
「ラビットクローロングブーツって名前を付けたのよ。可愛いでしょう?」
「それって攻撃力もあるのか?」
「勿論よぉ。攻撃力3と低いけどねぇ」
「値段は?」
「800Gよぉ」
何とか届くな。
「それを貰う」
「お買い上げありがとうねぇ」
・ラビットクローロングブーツ
ラビットの皮で出来た膝下までのロングブーツ。隠し武器があり足技専用装備。
攻撃力:3
防御力:3
耐久値:100/100
装備可能職業:全職業
ランク:クリエイト
品質:2
早速装備してみる。
「やっぱり男には似合わないわねぇ」
膝下まで白い毛皮に包まれ足先には小型ダガーが覗いている。
女性が履くこと前提で作られているようでヒールがあって邪魔だ。
「ヒールは何とかならないのか?」
「男用に直してあげるわ」
あっという間に手直しされる。
「これでどうかしら?」
・ラビットクローブーツ
ラビットの皮で出来たブーツ。隠し武器があり足技専用装備。
攻撃力:3
防御力:3
耐久値:100/100
装備可能職業:全職業
ランク:クリエイト
品質:2
「性能が変わらなければ良い」
ヒールが無くなった分安定性が増した気がする。
シュシュッ
軽く足技を使って確かめる。悪くはないし攻撃モーションと判定されると小型ナイフが飛び出す仕掛けらしい。
「通りで欲しがった訳ね。でもいくらダメージ判定がなくても街中では攻撃スキルは使わないことよ」
「アイツは?」
「お姫さま?薬草を取りに行ったわ」
「ソロで大丈夫だったのか?危なかっしい感じだったが」
「うふふ。今度は大丈夫だそうよ。ソロでの戦い方を覚えたと言っていたもの」
「それならいいが」
「心配なら行ってあげなさい。きっと会えるわよ」
「心配じゃねぇよ。これは買い取ってくれないのか?」
「お古の革靴だと耐久値に比例して安くなるわよ」
「安くても買い取ってくれるなら構わない」
「無料で貰ったものを売りつけるのね」
「アレは報酬だった筈だ」
「冗談よ。あまり使い込まれていないわね」
「消耗する前に戦闘が終わる事が多いからな」
「ま、いいわ。20Gって所ね」
「ちなみに売値は?」
「200Gよ」
「買い叩くなよ」
「耐久値が減っていなくても革靴自体に需要がないのよぅ」
「あっそ」
・・・
ザシュザシュッ
ギギャアアア
バリィイン
「上々だな」
足技での追撃でノーダメージで倒せた。
遠距離攻撃から近距離攻撃とのコンボも中々の物だ。
レベルも上がりにくくなって来たし次の段階に行っても良さそうな頃合だな。
『絹糸のリールで1,500Gになります』
NPC販売の絹糸のリールをようやく買うことが出来て装備する。
よくよく絹糸のリールの装備品詳細ウィンド画面を見るとアイテムを幾つかはめ込める事ができるようだ。
外してあったホーンラビットの鋭角を持って糸の先端にある枠にタップしてみた。
≪絹糸のリール(+4)は絹糸のリール(鋭角)(+6)に変わりました≫
外してみる
≪絹糸のリール(鋭角)(+6)は絹糸のリール(+4)に変わりました≫
もっと早く気づけば良かったな。
検証も必要だな。
マーケットでいい感じの分銅のような物を探してみる。
「おっ」
立ち止まって希望に沿えそうな物を見つけた。
『何をお求めかな?』
俺よりか装備の充実した革装備で身を包んだ店主である男のプレイヤーが話しかけてきた。
「この矢ってアンタが?」
『えぇまぁ。コスト的に高いらしく誰も買ってくれないけどね』
矢の先端に突き刺さる前提ではない打撃を与える事前提の小さな分銅が付けられていたのだ。
「この鏃の部分だけ売ってくれないか?」
『鏃部分だけ?変なお客さんだね。何個必要だい?』
「やっぱり耐久値とかはあるのか?」
『もちろんだよ。初期装備以外は全部細かく設定されているよ』
「途中で壊れる事を考えて5つ譲ってくれないか?」
『5つだね。250Gになるよ』
「結構高いな」
『そりゃ、このタイプを売っているのは僕のところ位だからね。相場は僕が決めている物だよ。それで売れないのだけどね』
「確かに矢にしては1本200Gは高いな。鉄の矢ですら10本セットで200Gだしな」
『それでもコイツには可能性があると信じている』
「それは俺も同意だ。この形は違う事を補うようにできている。だろう?」
『お客さん、分かっているねぇ。これが男のロマンという物だよ』
「ロマンはいいな」
ガシッ
何処かで俺達は通じ会い握手を交わす。
『僕はダイチ。アナタとは気が合いそうだ』
「俺はアオイ。同意見だ!」
「また、何かあったら言ってくれ。ロマンを追い求める同士だ」
「あぁ」
金を支払い俺はフィールドを目指す。
早速検証をしよう。
この装備品詳細ウィンドはどこまで通じるかだ。
現在は絹糸のリール(鋭角)(+6)となっているが
この状態で分銅をと交換してみる。
≪絹糸のリール(鋭角)(+6)は絹糸のリール(分銅)(+4)に変わりました≫
ま、当然のようにチェンジが出来た。
攻撃力が下がったのは分銅による気絶の確率が上がる為だ。
今度は分銅を付けたままノンターゲッティングで何もいない50m先に向かって攻撃をする。
当然、ターゲットしていない為分銅は20m進まず地面に落下。
キュルルルル
巻き戻している最中。ここで変化は起こるのかが楽しみだ。
パチッ
ブブッ
≪装備品の状態は変更できません≫
どうやら巻き戻し中は変化させられない様だ。
リール部分に数種類の何か嵌め込めるようでソコをタップしてみる。
≪ストックに鋭角がセットされました≫
どうやら鋭角と分銅をリール部分にストックする事で一々インベントリから取り出さなくても済む仕様だ。
キュルッ
巻き終わってストックされている鋭角と分銅を入れ替えてみる。
≪絹糸のリール(分銅)(+4)は絹糸のリール(鋭角)(+6)に変わりました≫
後は戦闘中での変更ができるか試してみるか。
ラビットに対し分銅で狙う。
ピィ
ピヨピヨ
気絶エフェクトが発生。
その間に巻き取りを完了する。
≪絹糸のリール(分銅)(+4)は絹糸のリール(鋭角)(+6)に変わりました≫
戦闘中でも問題ないと。
ピィイ
気絶させただけで体力は一ミリも減っていないラビットが回復し、俺に向かって鋭い角を向けて突進してくる。
ザシュッ
近づかれてもレベル差もあり一撃死にはいたらないが殆どを削りきる。
ザシュシュッ
足技でラビットの体力を刈り取り消滅させる。
分銅も使い所が良ければ良いコンボになりそうだ。
森の奥にでも行ってみるか。
現在の所持金で最大限良い装備で固めたし何とかなるだろう。
ズシャァアア
「ぐあぁ」
森の奥にいたのはゴブリンより背が高く俊敏性が高いコボルトだった。
そしてあっという間にインファイトに持ち込まれてなす術なく切り殺された。
≪デスペナルティが発生します。これより30分間は全ステータスが20%ダウンします≫
復活ポイントに転移して何が消え去ったのか確認。ラビット素材が紛失したようだ。
俺のアイテムは全てレア度ノーマルだからランダムで何か紛失する。
あまり持ち物を少なくすると武器や装備を紛失しそうだからアイテム欄は一杯にした方が良さそうだ。
このレベルになるとステータス20%ダウンは致命的だから大人しく30分間は街に居るとしよう。
「あら、さっき振りねぇ」
待っている間暇だからとマーケットへとやって来て冷やかしに来る。
何時もの場所でミカが商売を営んで隣の小スペースにはイロハが調合をしている姿だ。
「なぁ、布系の装備を売ってるってことは裁縫師なのか?」
「あら、乙女の秘密を探ろうなんてタブーよ」
「乙女って面じゃねぇだろ」
「冗談よぉ。でも相手のスキルを知ろうなんてどこのゲームでも一緒よ?」
「それもそうか」
「わかってくれて嬉しいわぁ。でもなんでそんな質問がでるの?」
「唯一これ(ラビット皮)の装備があるからだ」
「あらまぁ、ちゃんと見てくれているのねぇ。嬉しいわぁ」
「キモイから早く答えろ」
「答えは簡単よぉ。この街には布を扱う店は無いのよ。セカンドの街からじゃないと手に入らないわぁ」
「つまり?」
「最初に作れる防具は革職人と一緒でラビット皮の防具なのよぅ」
「という事はアンタはセカンドの街には」
「到達済みよ」
「なぜココにいる?」
「うふふ、何故かしらね?」
「答えたくなければそれで良い。知りたいことは知れたしな」
「あら、行っちゃうの?」
「用事は済んだしな」
クィクィ
ミカの隣で調合していたイロハが俺を呼ぶ。
「買う?」
イロハが初心者体力ポーションを手に持って言う。
「1本だけ買う」
「もっと買ってあげなさいよ」
「金欠なんだから仕方ないだろ。さっき森の奥でコボルトに殺されたばかりだ」
「後衛職がそんな装備だけで行くからよ」
「なぜバレた?」
「服とブーツなんて後衛職の格好よ。コボルトの持つ剣なんか弾けないでしょ」
「無理だった」
足技で防ごうにもアッチの方が早くリーチがある分防げなかった。
「どうせ足技で防ごうとして無理だったんでしょ?」
「なっ」
「アナタの取る選択肢なんて限られているわよ。メインウェポンをひた隠すアンタだし武器で防げる物じゃないんでしょ?残るはブーツに取り付けた隠し武器。そんな貧弱な武器じゃ防げっこないわ」
よく観察している。
「アタシだって職人の端くれよ」
「フンッ」
「糸じゃ無理だった?」
「なっ、テメ」
「ふぅん。糸使いなんだ」
「悪いかよ」
「悪くないわぁ。アレだけ不遇職だと言われている糸をねぇ。いい職人を紹介しようかしら?」
「いるか」
「あら、アナタと気が合いそうな職人よ。彼、細工師なんだけど使えるんだか分からない装備品とか作っているのよ。最近だと、気絶を発生させる矢なんか作り出していたわ。でも高かったわぁ」
「気絶を発生させる矢?鏃にコレ付けていなかったか?」
俺は糸先に取り付けた鉄の分銅を見せる。
「アラ、ちゃんと工夫をしているのね。彼の作り出した作品で間違いないわね。知り合いなら話が早いし彼に相談してもいいと思うわよ」
「そうか」
「アタシには彼の追い求めている物は分からないけど、きっと手助けしてくれるわ」
「わかった」
「むぅ」
「アラアラ、ゴメンナサイネ」
俺とミカの会話にイロハが頬を膨らませる。
何故だ?
「またな」
「何時でもいらっしゃい」
「ん」
早速ダイチというプレイヤーの元へと向かう。
「やっと見つけた」
「この前のお兄さん。今日はどうしたんですか?」
「少し相談をして貰いたい事が出来たんだがここじゃ少し・・・な?」
「周りに聞かれたくない事ですか。お客さんも来なさそうですし。少しの間なら相談を聞きましょう」
ダイチはフッと麦藁人形を取り出した。
「それは?」
「無人販売用の人形です。30分間だけその場で販売を続行してくれます。が、プレイヤーが帰ってこなければ勝手に店を畳み僕のインベントリに戻ってくる仕組みなんですよ。そうしないとマーケット自体が回らないからね」
「なるほど。近くの喫茶店でいいか?」
「えぇ」
俺達はマーケット近くにある落ち着いた雰囲気の喫茶店へと入る。
『お客様、ご注文は何にいたしますか?』
「紅茶で」
「ブラックコーヒーで」
『畏まりました』
店員に注文を言うと奥へ引っ込んでいく。この喫茶店は各席の回りに衝立でほかの客の視線に晒されないようになっている。ただし音は筒抜けで会話自体は周りから聞こえてくる。
「そうだん内容というのは?」
「コレの事なんだが」
「ほぅ」
俺が机に置いたのは分銅のついた絹糸のリールだ。
「なるほど。もはや絶滅職と思っていましたよ」
あえて糸使いを伏せてくれたようだ。
「助かる」
「メインウェポンを付けない理由も分かりました。僕に相談というのは具体的にどうしたいんですか?」
「コレに何か細工出来ないか相談に乗ってもらいたいんだ。先ほどコボルトに殺されたばかりでな」
「コボルトですか・・・確かにコレでは防げないですね。躱すにしても相手の俊敏力は侮れないですし。他にスキルを所持していますか?あ、無理に答えなくても良いのですが」
「足技を持っている。コレでも防げなかった」
「アレ?このブーツを使っているなんて光栄ですね。僕の考案したブーツですよ」
「ラブリン・ミカから買ったものなんだが」
「あの方からですか。知り合いだったんですね」
「ダイチの事はミカからの紹介があったからだ」
「いい人でしょう?」
「見た目以外はな」
『お待たせ致しました。紅茶とブラックコーヒーで御座います』
店員がやって来て俺達に配膳をして直ぐに奥へ戻っていく。
「足技は攻撃用なので防御に適さないので除外しましょう」
「攻撃が最大の防御だろ?」
「そこにロマンを感じますが、コボルトの持つ剣を仕込みナイフ程度では防げない事は承知していると思います。もっと頑丈で強靭な刃を持つ靴でないと防げないでしょう。ただし重量も増えるので足技としての速度は落ちますよ?」
「コレに盾を付けるとかどうだ?」
「最低でも鉄のバックラー位の防御力が無いと防げないですよ。取り付けたとしても重さで命中率が落ちますが?」
「げっ、マジか」
「えぇ。一度弓に盾を取り付けて戦った僕が言うのですから」
実体験のようだ。
「リール自体を鉄製にと言っても作ってくれそうな鍛冶師は居なさそうですね」
「いや、一人だけ心当たりがあるな」
「え?買ってくれるプレイヤーも皆無のコレを態々作っているんですか?」
「俺も名前は分からないが女性プレイヤーで鉄で出来た絹糸のリールを売っていたところを見かけただけだ」
「その可能性はありえますね。ボクの方でも探しましょうか?」
「頼む。鉄製にした所で防げるものなのか?」
「リールの機構部分で防ぐと破損する可能性がありますが、土台自体が鉄製なら一部を受けるように細工する事も可能でしょう。僕に一任していただければ試作品等は作れると思います。ただしその女性プレイヤーの方が協力してくれるかは分かりませんが」
「分かった」
「そろそろ時間ですね」
「そっちの事は任せた。相談に乗って助かった」
「いえいえ。ロマンを追求する者同士です。フレンド登録をしておきますか」
「あぁ。喜んで」
≪ダイチがフレンド申請をしてきました。受けますか?≫
YES
≪ダイチがフレンドになりました≫
迷わず答えてフレンドリストにダイチの名前が表示された。
「では、また」
「あぁ」
俺達は喫茶店を出て分かれる。
そういえばアイツ等ともフレンド登録していなかったな。
行き先をイロハ達のいる所定位置へと向かう。
「む」
いつも目立って仕方がないミカが見当たらなくなっていた。
「よ。アイツはどうしたんだ?」
一人ポツンと調合をし続けているイロハに尋ねてみる。
「昼食中」
そういえば現実だと昼頃か・・・
「確か自動販売用の人形がある筈だが?」
「ある。けど30分以上離れるから露天毎仕舞った」
「なるほど。話は変わるけどフレンド登録しないか?」
「・・・・」
「どした?」
「言うの遅い。待ってた」
どうやら俺から言うのを待っていたようだ。
「悪かったな」
「バツとしてコレ全部買って」
「そんなに買えねぇよ」
「買えるだけ買って」
「俺の全財産を吸い取る気か」
「ならフレンド登録してあげない」
「わかったよ。これが俺の出せる額だ」
トレード申請をだし所持金を全て投入する。
ピンッ
初級体力回復ポーションと初心者魔力回復ポーションがドサッとイロハのトレード欄に入ってきた。
「多すぎだろ。赤字になるぞ」
「イジワルした私のバツとして受け取る」
「そんな受け取れねぇよ。職人と商人をするなら客贔屓しすぎなのもダメだ。トレードしてやれんぞ」
「・・・わかった。色はつけさせて」
イロハは適正金額分の本数にしなおす。
「これでフレンド登録」
≪イロハがフレンド申請をしてきました。受けますか?≫
YES
≪イロハがフレンドになりました≫
ダイチの下にイロハの名前が浮かび上がった。
「これで2人目」
「そうか」
以外に少ないフレンドリストに驚きだ。
俺もだがな・・・
「じゃ、俺は金集めに戻るわ」
「ん。またね」
「あぁ」
ゴリゴリ
イロハは調合に再び没頭し始めるのを見て俺は森へと向かう。
特に何事もなく時間は過ぎていった。
≪ダイチからコールされました。受けますか?≫
街にいた時にダイチから電話のような物が掛かってきた。
【アオイさんですか?ダイチです】
【ダイチか?】
【いま、時間大丈夫ですか?フレンドの位置情報では街中だったからコールしましたが?】
【大丈夫だ。何か進展でもあったのか?】
【アレからリールを作り出したと思われる女性が見つかりました。少し話をした所、直接話したいとの事です】
【わかった。あの喫茶店前でいいか】
【はい。僕も同席させてください】
【もちろんだ。また会おう】
この前の喫茶店前に行くとダイチと一度だけ見かけた情勢プレイヤーが待っていた。
「待たせたな」
「いえいえ。話しは中で致しましょう」
俺達は喫茶店に入り注文してしばし待つ。
「彼女がアオイさんの言っていた女性でいいんですか?」
「あぁ」
「アナタが絶滅職唯一のプレイヤーね」
「絶滅職?」
「あら?職業比率を見てないのね」
ブンッ
女性がウインドを立ち上げ俺たちに見えるようにしてくれた。
「これは?」
「メイン職業のプレイヤー比率よ。見事糸使いはたった1人だけしかプレイヤーが居ないわ」
「そうか」
通りで他の糸使いは見かけないわけだ。
「改めて自己紹介するわ。普段は鍛冶職人のミモザよ」
「正体がバレてるなら仕方がない。アオイだ」
「もしかしたら私のところに糸使いのプレイヤーが来てくれるかもと思ってリールを置いてあったんだけど意外と早く出会えたわね」
「探していたのか?」
「たったの一人しかいないプレイヤーよ。興味が沸いたのよ」
「そんな物か」
「そんな物よ。それで話しの大体は彼に聞いたわ。そして協力してみたいと思っているの」
「それは助かる」
「ただ、鉄製にするにはお金が必要なのよ。鉱石の入る鉱山があるのはサードの街に行かなくてはならないの。このファストの街では鉄装備は中々手に入らないわ」
「たしか、鉄装備を露天販売してたんじゃないのか?」
「えぇ。私の所では最高の武器の質として鉄系を出しているわ。今は鉄のインゴットは在庫切れなのよ」
「そこで僕も話したんだけどセカンドの街へ一旦行こうかという話しになったんだ」
「セカンドの街?」
「ここでは鉄鉱石や鉄のインゴットの流通は殆どないんだよ。僕の矢が高い理由は素材が高いのが原因なんだよね」
なるほどプレイヤー自身が鉄系の武器や防具を作りだそうにも、元々鉄の流通が少ないせいで難しいのか。
「たしかセカンドの街に行く途中にエリアボスを倒さないと進めないと聞いた事があるが」
「森の奥のエリアボスね。ウッドゴーレムよ」
「コボルトに斬り殺される俺だぞ?」
「確かにソロだとエリアボスに当たる前に死にに行くようなものね」
「だからこそ人を集めて行こうという話しなんだ。僕も弓使いだからPT戦はあまり経験がなくてね。セカンドの街にも行ったこともないし。いい機会だから乗っかろうと思っているんだ」
「こちらとしても有難いがいいのか?」
「私は一向に構わないわ。セカンドの街に行った後に復活ポイントのオブジェクトに触れれば何時でもファストの街へ戻って来れるゲートが開くわ」
「そうなのか?」
「えぇ。私は何度かセカンドの街へ行って鉄鉱石を仕入れにテレポートをしているわ。お金は取られるけどね」
「金が取られるのか」
「遠くなればなるほど高いテレポート代になるわね。時間と引換えと考えれば安く感じると思うわ」
「そこは保留だな。この3人で向かうのか?」
「僕としてはPT人数限界の6人で行きたいからあと2人は欲しいね」
「2人?後3人じゃなくて?」
「それは私が説明するわ。普段は鍛冶師なんだけど、メイン職は召喚術師なのよ」
召喚術師・・・か。
「参加は難しいかしら?」
「いや、俺としては問題ない。たしかPT貢献度に難があると聞いたな」
「召喚術師がPTに参加するデメリットね。私の召喚獣を含めて私に貢献度が集まってしまうのよ。6人であれば6分の2が私に入ってしまうのよ。経験値とかもね」
「分配方式を均等にしても同じことか?」
「人より多く分配されてしまうの。だから召喚術師は基本PTは組めないのよね。3人の召喚術師が集まったPT位しか見たことはないわ」
「今回は道中の経験やアイテム目的じゃないし俺は問題ない」
「僕もセカンドの街へ行ければ構わないと思っているよ」
「それであと2人が必要なのよ。私の召喚獣は前衛、私も鍛冶師なだけあって斥候職位は出来るわよ」
「見ての通り僕は後衛職だね」
「俺も後衛職でサポート位しかできん」
「もう1人は前衛。あと回復職は欲しいわね」
「前衛と回復職か・・・心当たりはあるがソコを当たってみるか」
「フレンドかい?」
「お前も知っている奴だ。バリバリの前衛職だな」
「もしかして、ミカさん?それは頼もしい限りだけど来てくれるかな?」
「分からん」
「もう1人は?」
「イロハだ」
「「・・・」」
「なんだよ?」
「いや、お姫様とフレンドなんだ」
「驚いたわ」
「姫様?」
「知らないのかい?生産職の間じゃイロハさんはお姫様として有名だよ?」
「・・・どこら辺が?」
「正確には荊棘姫って言われているわ。彼女寡黙で心をあまり開かないって有名なのよ。唯一、ラブリン・ミカには心を開いているみたい」
「結構美少女だからいろんな生産職の男プレイヤーに言い寄られていた時期があったんだけどどうなったと思う?」
「どうなったんだ?」
「全部無視されたらしいんだ」
「無視?アイツが?」
「そう思っている時点で会話が成り立っているようだね」
「私も話しかけたことあるんでけど、無視されたわ」
「誰に対しても鋭いトゲを持った少女って事で荊棘姫っていう所以だよ」
「そうだったのか?俺はポーションのつくり方を助言しただけ何だがな。俺以前にも他の調薬師が助言くらいしてそうな気もするしな」
「確かにアタックした中に調薬師を持つプレイヤーが助言したけど聞き入れてもらえなかったそうだね。スルーされる位だから聞いてすらいなかったのかも」
「タイミングが良かっただけか」
話しかけたタイミングが作業が中断されていた時だったからだな。
「とりあえず2人に声をかけてみる。問題なければ合流するか?」
「お願いするわ」
「分かった」
「連絡取りやすいようにフレ登録いい?」
「あぁ」
≪ミモザがフレンド申請をしてきました。受けますか?≫
YES
≪ミモザがフレンドになりました≫
一旦別れて喫茶店を出て行く。
「あら?また来たのねぇ」
相変わらずのクネクネとした動きをしてミカが出迎えてくれた。
「飯は終わったのか?」
「あら?お姫さまかしら?」
ミカがチラッと調合中のイロハを見るが素知らぬ顔である。
「終わったわよぅ」
「知り合いとセカンドの街へPTを組んで行こうという話になったんだが前衛が足りなくてな一緒に来てくれないか?」
「アラ?アタシでイイのかしらぁ」
「前衛職なんだろ?」
「そうねぇ。どうせならお姫さまも連れて行くならいいわよぅ」
「イロハにも回復職として声を掛けるつもりだった」
ピクっ
聞き耳でも立てていたのかイロハが視線を向けてきた。
「アラアラまぁまぁ、うふふ。問題なさそうねぇ」
「来てくれるか?」
「誰が他にくるの?」
「ダイチってプレイヤーだ」
「知り合いってダイチなのねぇ。他は誰かしらぁ?」
「ミモザって女性プレイヤー。職業は召喚術師らしくこれで全員だ」
「召喚術師なんて珍しいわね」
「俺ほどではないだろ。本職は鍛冶師らしいがな」
「うふふ。鍛冶師でミモザって女性プレイヤー、彼女ね。たまに金具の制作依頼とかするわ」
「裁縫師に鉄が必要なのか?」
「縫う箇所によっては必要となってくるのよ」
「顔が広いんだな」
「職人同士は横の繋がりが広くないとやっていけないわよ」
「そういうものか。で、来てくれるか?」
「ん」
「決まりねぇ。何時ごろから行くのかしら?」
「準備時間もあるだろうし出来次第って所だな」
「分かったわぁ。連絡とりやすいようにフレンド登録お願いねぇ」
「ぁあ」
≪ラブリン・ミカがフレンド申請をしてきました。受けますか?≫
NO
「なんで拒否するのかしら?」
「おっと、押し間違えた」
≪ラブリン・ミカがフレンド申請をしてきました。受けますか?≫
YES
≪ラブリン・ミカがフレンドになりました≫
「集合場所は門の前で、準備が出来たら一言声を掛けてくれ」
「えぇ。分かったわぁ」
「ん」
2人とは別れ俺も準備に入る。
≪ダイチにコール中です≫
【もしもし、アオイさんですか?】
【ダイチか?2人に声を掛けて同行して貰うことになった。そっちは準備でき次第門の前に来てくれないか?】
【わかりました。ミモザさんも近くにいるので伝えておきますよ】
【じゃ、頼む。また】
【はい】
プツッ
30分後全員が集まった。
「出発する前に改めて戦闘スタイルも含めた自己紹介するか。言いだしっぺの俺からだな。俺はアオイ、見ての通り糸使い。後衛職だ。戦闘スタイルは遠距離からのアウトレンジファイターだな」
「それじゃ僕ですね。ダイチです。メインは弓使いの後衛職です。基本的に遠距離から支援いたします」
「次は私ね。その前に≪サモン(召喚)≫クマ吉」
パアァアア
魔法陣が浮かび上がり巨体が姿を表す。
「見ての通り召喚術師よ。この子が盾役になって私が敵の背後から攻撃するレンジャー的な戦いをするわ」
クマ吉は鎧熊と呼ばれる召喚獣で最初に選べる召喚獣の中で攻撃力防御力は優れている。
「次は私ねぇ。ラブリン・ミカよぉ。見ての通り武道家ね。生粋の超接近型のインファイターよ。武器もナックル系」
「最後に私。イロハ。魔法使い。遠距離型。調薬師だから今回は回復役。たくさん作ってきた」
「前衛はクマ吉が盾役、ミカはクマ吉のサポート。ミモザは敵の背後に回って俊敏さを活かして攻撃。ダイチは周囲の警戒と援護射撃、イロハは主にクマ吉とミカの回復に専念。魔法攻撃できそうならしてもいいが魔力残数に気をつけろ。俺は先制攻撃からの後ろに下がってモンスターの動きを阻害する。という動きでいいか?」
俺が思いついた連携順序を淡々と話してみる。
「アオイさんの先制攻撃とは?」
「ファーストアタックで敵を釣る」
「僕の弓矢でもできますよ。イロハさんも魔法使いですし」
「ん」
「2人ともターゲット限界距離は?」
「僕は17mですよ。イロハさんも同じでは?」
「同じ」
「25m、これが俺の有効射程内だ」
「に、25mですか!?。糸使いの射程距離って僕たちと同じだった筈です」
「ターゲット限界距離ならな。俺はノンターゲッティングでの距離だ」
「凄いわねぇ」
「そうね」
「草原地帯のラビットで見せよう」
「あら、ミカさんレベル27なのね」
「かなり高いな」
俺達より20以上も上なのか。
トッププレイヤー並に強かった事に驚きだ。
「ゴメンなさい、平均化をし忘れていたわ」
「平均化ってなんだ?」
「レベルの高いプレイヤーが低いプレイヤーのPTに入るときに使うシステムよ。PTの平均レベル、自分の人数分は覗かれた形でレベルを下げるの。スキルとかは現在のままなんだけどステータスが大幅に下がるわ」
「デメリットだろ?」
「PT全体としてはメリットよぉ。あのまま高レベルの私だと殆どの経験値を総取りしてしまうわぁ」
「なるほど」
ピピッ
シュウウウウ
「お待たせ」
「本当にレベルが下がったわ」
「パワーレベリング防止って訳じゃないよな?」
「高レベルの私が経験値総取りするならパワーレベリングされているのはアタシかしらね?といってもウッドゴーレムとのレベル差で殆ど貰えないけど」
「なるほど」
そう言って俺達は次の街へ向かうために街を出て行く。
ピギィ
「こんな物だな」
ラビットの視界認識限界外からの攻撃では自分が何をされたのかも分からず混乱して沈んでいった。
「なんて、反則的な攻撃なんですか」
ダイチが声を荒らげて言う。
「反則という訳ではない。実際この方法でコボルトに勘付かれて殺されたんだ」
「それはモンスターの特徴によるものね。コボルト、つまり犬系に近いモンスターは視覚ではなく嗅覚と音で相手の位置を捉えているみたいよ。視覚認識外の攻撃だったとしても匂いと音で居場所はバレているだろうしね」
ミモザが淡々と説明してくれた。
「なるほど、それでか」
「それでも25mという射程は凄いわぁ。職業一長い射程と謳われたのは納得がいったわねぇ」
「ですね」
「ん」
「森に入るぞ」
草原から森へとフィールドが変化する。
「これかしら?」
「雑草にしか見えないわぁ」
「これがポーションの原料なんですか」
「そう」
「ミモザ、ソレ毒草だかんな」
「見分けつかないわ」
歩きながら途中で生えている薬草類を採取しながら奥へと進む。
「フゴォオ」
クマ吉が鳴き声をあげる。
「ゴブリンが接近してきたわ」
クマ吉を通してミモザが接敵の言葉を発する。
受けた俺達は採取を止め武器を取り始める。
「位置は」
「ここから西北、姿は見えないけれど匂いで位置特定」
「分かった」
俺が西北にいるであろうゴブリンに対して迂回しながら向かう。
ギギッ
木々の間にゴブリンを発見。
シュッ
バシッ
鋭角がゴブリンに突き刺さり直ぐに戦闘へ移行。
俺は後退してクマ吉達の後ろに隠れる。
「グォオオオオオ」
強者の咆哮。
クマ吉が持っているスキルである。
仲間である俺達には効かないが追ってきているゴブリンが足を止め身をすくめる。
ヒュッ
バスッ
ダイチがクマ吉の頭上を越える形で矢をゴブリンに当てる。
浅い層だけあってゴブリンは二撃目にして瀕死だ。
「グォオオ」
最後はクマ吉の一撃で沈む。
「私の出番が無かったわねぇ」
「ん」
「此処はソロでも狩れるエリアだからな。コボルトが出てくれば出番は有ると思うぞ」
再び採取をしながらコボルトの出没エリアへと突入をする。
「グォオオ」
ガキィン
クマ吉の分厚いお腹の装甲によってコボルトの持つ曲剣が火花を上げて弾かれる。
これが鎧熊の防御力だ。
「セイヤッ!」
ミカが野太い声で隙を見せたコボルトの脇腹に正拳突き。
ズシャッ
意識を前方に向けていた為ミモザの接近を許し背後から切られる。
パリィン
俺が苦戦したコボルトはあっと言う間に片付けられた。
「相当強いわね」
「アナタのクマ吉が盾になってくれるからよぉ」
前衛組は前衛組でコンビネーションが取れているようだ。
「コボルト視認した。東北から1体が聞きつけてやってくる。回復できるように準備」
これで4連続戦闘だ。そろそろクマ吉の体力を回復しないといけない。
「ん」
ヒュヒュッ
パリィン
イロハが4本の初級体力回復ポーションをクマ吉の背中にぶつけて中身を掛ける。
・初級体力回復ポーション
最も簡単に作れるポーション。
対象の総体力を5%回復する。
ランク:クリエイト
品質:2
CT:10s
一番効果が低いといっても5%の回復は無視できない。4本で20%の回復となる。
ただし回復魔法と違い投擲のスキル持ちじゃないと命中せず地面に落として割ってしまうこともある。
俺たちが進むにつれてコボルトとのエンカウントが発生する。
原因は聴覚範囲が広く戦闘音を聞きつけてやってくるようだ。
来なくなればリポップ(再出現)するまではその地域からコボルトが消えたことになり進めるとミカとミモザから説明がされた。
「回復薬の数は?」
「ごめんなさい、少なくなってきた」
かなり奥へ進めてきたが度重なる連戦で回復薬が少なくなってきていた。
「ここからは休憩を挟みましょうよぉ」
「その方が良さそうね」
「ですね」
無理に先へ進まずその場で休憩を入れて体力回復を図る。
「座って待っている間に調薬頼めるか?」
この為に道中薬草類を採取していた。
「任せて」
イロハが初級調薬セットを広げ初級体力回復ポーションの制作に掛かる。
俺達は周囲を警戒して待つことにする。
「もう少しでエリアボスに行ける場所よ」
それから暫く戦闘と休憩を繰り返しとうとう森の最奥へと到達を果たす。
狭い森林に不自然な楕円形の風景が歪んでいる物が空中に浮かんでいるのを発見した。
「これがエリアボスへのゲートよ」
「ここを潜るとぉ、エリアボス専用の空間に行けるわぁ。もちろん別の誰かが戦闘中ならばゲートは閉じていてココで待機する形になるわねぇ」
「ゲート近くは安全地帯だから色々と準備ができるわ。基本的に先に並んでいたプレイヤー達から優先権があるんだけど譲ることも可能よ」
エリアボス専用の空間なんて物が合ったとは初耳だった。
安全地帯で休憩とポーション制作に使わせてもらう。
「準備が整ったな。行くか」
コクリ
準備が整い俺達はエリアボスへ繋がるゲートを潜った。
狭い視界だった森林から開けた場所へと移動できる。
ウボォオオオ
葉の生えていない巨木が1本鎮座している。
「あれがウッドゴーレムよ」
木のようにしか見えないがモンスターであった。
「動きはコボルトやゴブリンよりノロマだけど、一撃は重くて後衛組の装備じゃ一撃死だから気をつけてぇ。私とクマ吉で前線を守るわぁ」
戦闘に入る前にミカから相手の情報を展開される。
「行くぞオラァ」
ミカの気合の入った掛け声で俺達は動き始める。
クマ吉が本来の4足歩行ダッシュでいち早くウッドゴーレムに到達。
そのままの勢いで突進を敢行。
ギギギギギッ
攻撃を受けてウッドゴーレムが立ち上がる。
クマ吉の2足歩行時よりも背の高いウッドゴーレムだった。
「うぉりゃぁ!」
更にミカが追撃としてクマ吉の脇から接近し正拳突きをし一旦離れる。
ギギギッ
枝だと思っていた部分が変化して太い丸太が腕として機能しミカ達に振り下ろした。
ドスゥウウン
同時に後退して攻撃を回避するクマ吉とミカ。
ザクッ
その隙をついてミモザがウッドゴーレムの背後から切りつける。
「ツイストアロー」
ギュルッ
ヒュンッ
隣でダイチが回転しながら飛翔する矢を放ちウッドゴーレムの上部に突き刺さる。
「みんな、どいて。ファイアーボール」
サッ
クマ吉とミカが左右に分かれて、出来た空間にイロハが火の魔法を放つ。
ボボォン
ボワァア
さすが、木に対して火は有効で燃える。
グモオオオオ
何処から出てくるのか分からないがウッドゴーレムは唸り声を上げて大ダメージを受けさせたイロハにターゲットを変えて突進してくる。
「グオォオオ」
「させないわよぉ!」
クマ吉とミカが身を挺してウッドゴーレムの突進を受け止める。
ギュンッ
クマ吉とミカの体力が削れる。
パリィン
イロハがすぐにポーションで体力を回復させる。
その隙にミモザ、ダイチ、俺で少量ではあるがダメージを与えていく。
「中々しぶといわねぇ」
「ボス系はPT構成に応じて体力、攻撃力なんかが増減しているらしいわ」
「そういう事だったのねぇ。アタシの時は2人だったから早かったのねぇ」
ピキィン
ウッドゴーレムの体中に赤い線が入った。
「ボス固有の怒り状態に入ったわ!ヘイト関係なく全体に強烈な三撃を放ってくるわ!!」
グワッ
ウッドゴーレムが一撃ずつ入れミカとクマ吉を吹っ飛ばす。
「グォオオ」
向かった先は高火力のイロハだった。
「糸拘束術一式」
ビュッ
ピキッ
ウッドゴーレムの動きが止まる。
1・・・2秒。
ブチィ
足に絡まった糸は引きちぎられて動き出す。
ブオッ
丸太のような腕を振り上げる。
ヒュッ
振り上げられた腕に糸を絡ませる。
「うぉおおおおおおお」
振り下げられる腕に対して俺は思いっきり糸を引く。
ブチッ
耐久値の少ない絹の糸はすぐに切れる。
チッ
だが、3回目の攻撃はイロハの目の前を通り過ぎていく。
「ナイスよぉ!」
「グオォオオオオオオオオオ」
体制を立て直したクマ吉とミカがイロハを庇うようにやって来て押さえ込む。
ギギギギギギギィ
ドスゥウウン
遂にウッドゴーレムは鈍い音を発して地面に倒れ伏した。
ガシャァアアン
≪エリアボス:ウッドゴーレムの討伐に成功しました。セカンドの街へ行ける様になりました≫
≪アオイはレベル9に上がりました≫
≪糸使いのレベルが5になりました≫
≪SPが1増えます≫
≪スキル:糸防御術一式が会得されました≫
≪アオイはウッドゴーレムからウッデンコアを手に入れました≫
・ウッデンコア
エリアボス:ウッドゴーレムのレアドロップ
ランク:ユニーク
品質:4
エリアボスを倒した事により様々なログが流れる。
「みんなお疲れ様ぁ」
「クマ吉、大丈夫?」
グォオ
「お疲れ様でした」
「回復いる?」
「ふぅう」
エリアボスを倒す事に成功し気を緩める一同。
「レベルは上がったかしらぁ?」
「1つは上がったわ」
「僕は4も上がりましたね」
「私3」
「俺も3上がったな」
「ここのボスは固定経験値を1人対して分配もせず丸々渡されるからレベル差があればある程上がりやすいのよ。ドロップアイテムはやっぱり木材かしら?」
「私も木材ね」
「僕もです」
「同じ」
「ウッデンコアってなんだ?」
「あらまぁ、レアドロップなのねぇ」
「強化素材につかえるわ」
「大事に取っておいた方がよさそうですね」
生産職3人から言われると売る気は無くなった。
「さ、セカンドの街へ行きましょうかしらぁ」
コクッ
体力回復も終わり俺達は森の最奥にある木製の門へとたどり着く。
先程から閉まっていたがウッドゴーレムを倒した時に開かれた。
お疲れ様でした




