キャラが立った(起った)!
リハビリがわりに、また書いちゃいました。
「…で、ここからが本番なんだけど、ってちょっとヒロ? 聴いてる~?」
「あ~うん、サヴィラ。揺するのはやめとこうか。君が飲ませ過ぎたせいで、作者さん沈没しかけているし、もしリバースしたら、お店の人に迷惑だろうし」
「え~これくらいでつぶれるなんて、この子も案外だらしないわねぇ」
「いやいやいやサヴィラ姐さん、僕も強い方やと思ってましたけど、姐さんのペースやったら死んでまいますって」
「えぇ~? ああそういえば、マリもワイン二、三杯で子供みたいに寝ていたけど、日本人て弱いのかしら」
「いや君が規格外に強いだけだから。ヴォドゥカ二本あけて顔色変えないなんて人なんて、あんまりいないよ?」
「なによスマイリー。人を人外みたいに言わないでくれる~? あんただってルースだって似たようなもんじゃない。そうそう、ルースって言えば、マリとの初めての?が、酔っ払って寝オチしちゃったあの子を――」
幾重にも布か水を通して聴こえる創造物の声を子守唄に、人生初めて酒の席で寝オチしかけていた作者でしたが。
「…サヴィラ」
地獄の底から響いてきたかのように低く、耳にする者みな凍らせるようなその声に、一気に覚醒しました。
「あ~らら、やっとお出まし~? あんまり遅いんで、やっぱりトンズラしちゃったのかと思ってたところよ」
「え~っと、サヴィラ。顔には出てないけど、君は酔っているんだね。出来れば巻き込まないでほしいんだけど」
「妙な胸騒ぎがしたんで来てみれば、案の定だな。人のいないところでなに言おうとしていた?」
「っちょ、レヴィン!まずは作者さんに挨拶しなきゃ。それに他の皆さんにも」
机に突っ伏していた頭をあげれば。
個室の入口に立つレヴィンに、爪の先の先まで綺麗にくれない色をのせたごつい手をからかう様にひらひら振っているサヴィラと。
ちなみに彼女のもう片方の手にはウォッカの瓶が握られています。
その横には、呆れたような表情でピッチャーのままビールを干す、スマイリー氏が座っていて。
秀でた額に青筋を浮かべて、サヴィラに詰め寄ろうと、土足のまま上がってこようとするレヴィンと。
彼に腰をしっかり抱かれたまま、怒れる旦那さまをなだめ様と奮闘する万理がいる。
ふと思い出して他のメンバーの様子を伺えば。
ルーカス氏は相変わらず壁と仲良くしながらも、ちらちらと優を盗み見ており。
優は優で、その視線に気づいていないのか無視しているのか、他の物語のメンバーにスマホを見せつつ、自分の執事セバスチャンがいかに素晴らしいかを乙女のように頬を染めて語っている。
うん。正しくカオスですね。
作者としては、もう何も言えません。
「え~っと、作者さん遅くなりまして申し訳ありません。そして皆さんはじめまして。『惜しみなく奪った愛に…溺れる』という物語の、え~……一応、ヒロインをしております、高塚万理と申します」
「万理・フィエロン。俺の妻だ」
「あ~はいはいはい、初対面の人間相手にバリバリけん制しな~い。前から思っていたけど、あんたのそれ、うっとおしいわよ」
「ちょっ姐さん」
「サヴィラッ!」
「ははは、サヴィラほんとに酔っているねぇ。そろそろ僕逃げていいかな」
「…うっとうしくて悪かったな。初対面だからこそけん制するべきだろ。だいたい誰のせいで俺が苦労していると思って」
「あんたの嫉妬深い性格―――あ、そうそう、そう言うの日本語で『ヤンデレ』って言うんですって。な~んかぴったりよね~語感が。それと、マリの危機感のなさでしょ」
「「………」」
「姐さん………」
おおさすがサヴィラ姐さん。レヴィンが黙ったよ。
さすがに面と向かってヤンデレ言われるのはきつかったみたいですな。
うん、彼の基本設定を考えたのはたしかに作者だけど、「求愛」の時から、君勝手に暴走してくれていたしねぇ……?
ってい言うか、宴会に遅れてくるって、テンションが違いすぎて、きついよね~。
話の流れもよくわからんし、なにせ周りが酒はいってわやなのに、自分は素面で冷静ってどんな無理ゲー?
そんな突っ込みはすべて脳内でのみ処理し。サヴィラ姐さんが言いたい放題言ってくれておりますので、作者はぐらぐらする頭を机に押し付け、酔いを覚ましております。
いや~やっぱり彼女みたいなキャラがいると、楽でいいよね!
「…ヒロさん…作者さん、机になついとらんと、起きてくださいよっ」
せっかくこのまま寝ちゃおっかなと思っていたのに、耳元で囁く奴あり。
…うん、パスで。
「…ヒロさん! 寝たふりはええんで、この状況、なんとかしてくださいよ。 作者でしょう!」
「……一か月以上更新に間が開くとさ~」
「やっぱ起きてはった!」
「また書き始めるのに、気合がいるよね~…」
「いや書くのはあとでもいいんで、この状況をどうにかしてくださいよ」
「ん~……だからさ~」
「なんですのん」
「描く感覚を取り戻そうと、まずはこの飲み会を再開したわけでしょ~」
「いやわけでしょ~言われても」
「でぇ、飲み会の元々の趣旨である『キャラを起たせる』でいえば~」
「…はぁ」
「作者がこうして潰れている間に君達が好き勝手にしゃべっているってのはぁ、立派に起っているってことじゃぁないかしら~~?」
「はぁそうとも言え……ってヒロさん、寝んといてくださいっ、ちょ、ヒロさ~んっっっ!!」




