特訓?そしてまた
「ふぁ〜、朝かぁ‥」
昨日小夜と一緒に所謂狩りに出掛けたが何もしてないのに俺もどっと疲れたような気がする。
顔でも洗ってシャキッとするか‥‥
「ん?」
また目が青くなってる。小夜の話だとなりたてだからかな?俺は小夜から貰ったコンタクトをすることにした。
コンタクトなんて生まれて初めてだから緊張する。よし!上手く入った。
朝食を食べにリビングに行くともう父さんは食べたようだ。
「また寝坊か?お前最近たるんでるぞ?」
「わりぃわりぃ、明日はちゃんと起きるよ」
朝食を済ませ学校へ行く。これからは一応手鏡も持って行くことにした。
小夜曰くいつどこで遭遇するかも分からないんだから小まめにチェックする事だとさ。コンタクト越しでもよく見れば分かるからとの事だ。それってコンタクトしてる意味あるの?と問いたい。
「どうしたー?鏡でじっと自分を見つめて。お前ナルシストだったのか?」
さっそく試していたら啓太に茶化されてしまった。まぁ実際そう思うよな。
これも小夜情報だが化物を俺たちが感じて取れるようにあっちからもこちらを感じ取る事があるらしい。
奇襲なんてされたら今の俺はひとたまりもない。小夜でさえ結構手こずっていたような気もするし。
小夜に後で戦い方でも教えてもらった方が良いのかもしれない。と、いきなりトスンと隣から音が聞こえた。
小夜のご登場だ。
「おはよう、日向君。それとえーと‥‥」
「藤田 啓太です!よろしく」
なぜに敬語?
「よろしく、藤田君」
おー、相変わらずそのキャラか‥
「挨拶されちゃったよ〜、水無月さんに」
ヒソヒソとニヤつきながら啓太は喜んでいるが本性知ったら驚くどころじゃないぞ?
小夜は女子のクラスの委員長と何やら話してる。大方わからない事があったらなんでも聞いてねー?的なことでも話しているんだろう。
聞き耳立てるとその通りだった。
「大丈夫、日向君に聞くから」
え?なんでそこで俺が出るの?
「日向君?隣だから話しやすいと思うけどもうそんなに仲良くなったの?」
委員長の東堂 綾香 (とうどう あやか)が不思議そうな顔をして俺と小夜を見る。
「ええ、ちょっとした知り合いだったの」
「なんだとー!?」
啓太が驚くが俺も驚く。そんな設定ぶち込むなよ!啓太もビックリしてるじゃねぇか!
「お前なんで黙ってたんだよ!?」
俺も今知ったとこだよこの野郎!
そして俺はしばらく啓太に問い詰められ辻褄を合わせようと必死だった。
昼休みになりまた小夜に屋上に呼び出された。
「お前あんまり引っ掻き回すなよ、皺寄せが俺に来るじゃねぇか」
「そうだね、見てて楽しかったよ」
ニコッと小夜が笑う。可愛いのが余計にムカつく。
ズイッと小夜が俺に近付く。
「コンタクトもちゃんとしてきたんだね。鏡も持ってきたようだし。‥‥ププッ
ただあんなに真剣に‥鏡を‥見てる‥なんて‥ププッ」
小夜が必死に笑いを堪えている。
クソ!殴りたいけど怖いから殴れない。
「なぁ、小夜。昨日あの化物中の下って言ってたけどもっと強かったんじゃないのか?」
「そうねぇ、中の中くらいだったわね!」
「結構ボロボロだったような気がするけど」
「ちゃんと勝てたでしょう?宗を担いで帰れるくらいには!」
「俺も鍛えれば小夜くらいになれるのか?」
「うーん、普通に鍛えたら人間の限界くらいにしかならないような気がするよ?」
「やっぱそうかぁ。俺って一体なんなんだ?」
「それがわかれば私も苦労しないわよ」小夜はそう言い自分で作ったであろう弁当を開ける。
俺も学食で買ったパンを開ける。
「なぁ、俺にもなんか護身術程度のこと教えてくんね?」
「宗なんかやる気になってるね?もしかして私を守ろうとか思ってるー?青春だねぇ」
「まぁしばらく一緒なら俺も何かしら出来るようになった方が良いだろう?」
「ふーん、卵焼きあげる。はい、あーん」
「いきなりなんだよ?」
「ほら、あーんして?」
仕方ないのであーんして貰った。
「ウフフッ、じゃあお弁当食べたら特訓ね?死なない程度にやるから安心してね?」
まったく安心できねぇ。早くも自分の迂闊な言葉に後悔を覚えた。
クソ!身体中が痛ぇ、小夜の特訓は地獄のようだった。腕を折られかけ、身体中に青痣が出来た。治りは早いから大丈夫よ!とか言ってたけど痛いもんは痛い。
鏡で顔だけでも大丈夫かと見ていると目がコンタクト越しで青く光っているのがわかった。
学校にいるのか!?どこに?てか授業中だぞ今。
すると隣の小夜が席を立った。学校の周りを停止したようだ。
「宗も気付いた?多分校舎内にいる、行くわよ!」
「お、おい!どこにいるのか分かるのかよ!?」
「動いてる奴を見つければいいのよ!」
なるほどなと思い俺は小夜と教室を出た。




