宗の能力
俺が小夜の家に泊まってから4日学校帰りにそれは起きた。
何気なく見た小夜の目が青かった。近くにいるのか?小夜も既に気付いていた。
「本当に嫌になっちゃう。宗とこのまま何事もなくいたかったのに!」
小夜は心底嫌そうだった。
化物と戦う日常に戻された気分だったのだろう。
「まぁ行くしかないか」
小夜は盛大なため息をついて辺りを封鎖し俺を抱き抱えた。
「宗、そっこーで片付けてご飯にしよう!」
「足引っ張りでごめんな」
「無理に強くなろうとしなくていいって言ったでしょ?お姉さんに任せなさい!」
小夜は駆け抜け一気に化物がいると思しき市街地に出た。
すると背後から急に雄叫びが聞こえ小夜が退避する。
「来るのがバレて待ち伏せしてたの?」
そこには液体のような物を纏った人型の化物がいた。
「嘘!?これってあの女にそっくり‥‥」
小夜が鎖鎌を化物に放つが液体を切り裂くだけで化物はすぐ元に戻った。
化物が消え水蒸気になった。そして小夜の背後に現れた。
小夜は予測済みでその場から立ち退いた。
「小夜、あれって‥」
「もしかすると私と戦った後まだ生きてたけど勾玉を摂取しないでいてああなったの?あれが私たちの成れの果て!?」
化物が再び小夜を攻撃してきた。
小夜は跳躍してかわし電柱の上に立った。
そして化物が近付いてきた瞬間に電線を切断し化物に浴びせた。
思考力が無くなっているのかあっさりと倒せた。あの女がまだ化物になる前はこんなもんじゃなかったが‥‥
勝利したが小夜の表情は暗い。
「やっぱり今の私たちおかしいよ?いつ私たちもああなるかわからない‥私ああはなりたくない!」
「なぁ小夜。それにこいつ勾玉がない」
「これで決定的ね。ことはやっぱり勾玉を摂取せず暴走して化物になったってことね。私もあのままだったらこうなってたってことか」
「俺たちがなんで勾玉を摂取しなくても大丈夫なのか、そもそもこの状態が大丈夫なのかもわかんなくなってきたな‥‥」
「そうね、取り敢えず帰りましょう」
小夜の家に着き取り敢えず考えたが答えが出ず小夜の家にある勾玉を見つめる。
「宗、これからは摂取しなくても大丈夫かもと思わない方がいいかもしれないね‥」
「そうかもな‥」
俺は勾玉の細い部分を折り少し摂取した。その瞬間俺は一瞬目眩がし倒れてしまった。
「宗!」
小夜が駆け寄る。俺は意識はあるが身体が動かせない。
「宗!どうして!?死なないで!」
そこで俺の意識は途切れた。
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「宗!起きて!ねぇ!」
宗が勾玉を摂取して倒れてしまった。どうしよう!?どうしたらいいの?
心臓も動いていない。どうしてこうなるの!?
「宗〜!!」
私は大粒の涙を流しながら宗の上で泣いた。宗が死ぬなんて。私が勾玉を摂取したら?と言わなければ‥
そして私は急に途轍もない疲労感に襲われ宗の上に倒れた。
‥‥どれくらい倒れてたんだろう?
とても疲れている。それに何もかも壊したい衝動に駆られる。あの時最初に宗を襲った時と同じだ。
ついにこの時がきたんだ。どうせ勾玉を摂取しても宗はいない。
もういい。死のう‥鎖鎌を出し首元に突き刺す瞬間宗の腕が私を掴んだ。
「何してんだよ?」
「宗!生きてるの!?」
「ああ‥‥なんとかな」
「宗!」
私は泣きながら宗を抱きしめた。生きててくれた。宗‥‥宗!!
よかった。本当によかった‥
さっきまであれほどあった疲労感が消えていた。
あれ?そんなわけない。摂取もせずに回復するなんて‥‥
「もしかして!」
「どうした?」
これってもしかして宗の能力なの??




