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初出勤の出来事 胡桃side

1月2日朝の5時30分、私は目を覚ましました。

こんなに早く目覚めたのには訳があります、それは……お仕事の為です。


「勤務時間は6時、色々準備しないといけませんね」


そう、準備が必要なんです。

ふっかふかのベットから起き上がる私、ぐぐぅっと背伸びしました。


「ふぁぁ……さて、着替えますか」


昨日、長門さんに貰った服をクローゼットにしまった筈……それを着てお店の方に向かいましょう。

え? いつ貰ったか……ですか? えと、それはですね……昨日長門さんに「明日から仕事だぞ」って言われて色々言い合った後、長門さんが「取り合えず胡桃の荷物が来る間、私の私服を貸してやろう」と言って貸して貰ったんです、シンプルな白い服、薄いオレンジ色のロングスカート、スカートなんて履くの久し振りですよ。

とか、内心色々思いながらクローゼットに向かってその服を取り出します。


「はぁ、ぺったぺた……ほんっと神様は不公平ですね」


今着ている服を脱いで虚ろな目で愚痴る、青と白のスポーツブラに触れながら私は大きくため息をはきましたっ、ふふっふふふふ……憎い、胸が大きい女性が憎い。


「虚しくなるから、早く着替えてしまいましょう」


嘆いた所で胸の大きさなんて変わりませんからね、ほんっとバストがA以上ある人の胸は萎んでしまえばいいですよ……けっ。



自分のコンプレックスをぶちまけながら着替える事が出来ました。

まぁ、この後お店の制服に着替えるんですが……流石に2日連続で着た服を人には見せるのは不味いです。

ですので早速長門さんに借りた服を着せさせて頂きました。

あっ、そう言えば長門さんに服を受け取った時、七瀬さんが「長門使用済み服を胡桃が着る……ふふっ、ふふふふ」って不気味に笑ってましたね、何ででしょうか?


「って、そんな事どうでも良いんですよ」


そうです、今大切な事はスカートって滅茶苦茶恥ずかしい! これ、ロングスカートですけど捲れてパンツ見えないですね? うっうぅ恥ずかしい、屋内だから風なんて吹かないですけど超恥ずかしいです!


「いっ行きましょうか」


まっまぁ、これから制服に着替える訳ですし? 移動の間着る事はありませんし? 問題ないですよ! と言う事で私は戸締まりをして部屋を出ました。


「廊下、まだ薄暗いですね、 あっ……七瀬さん、お早うございます」

「胡桃おはよ」


部屋を出たら七瀬さんがいました、まだ眠いのか「ふっあぁぁ……」と欠伸をしています。

そんな七瀬さんの服装は暖かそうな服装です、とても落ち着いたグレーの長袖の服、下にはピッチリとした身体のラインが出てるジーパンを履いています、おぉ……似合いすぎてます、とか思っていたら七瀬さんは私の服を見てきました。


「似合ってる」

「あっありがとうございます」


うっ、なっなんか見すぎじゃないですか? こんなに見られたら顔が真っ赤になっちゃいますよ、まっまぁもうなっちゃってますけど。

しっしかもやけに息使い荒くないですか? 「はぁ……はぁ……」って言ってますよ? 走ってきたんですか?


「一緒に行こ」

「え? あっ……お店にですか?」

「そう」


メガネをくいっと上げて私の手首を掴んで来ました、その時七瀬さんの三つ編みポニーテールが優しく揺れました。

この時「いっいきなり触れないで欲しいです」とは言えませんでした、だっていきなりでしたから、ちっ因みに今、前に七瀬さんがいて後ろに私がいます……つまり犬の散歩みたいな感じになってますね。

いっ犬の散歩……なっなんか人間同士で例えたらやらしいですね。


「ふっふふふ……やっべぇ、超やらかい」


あっあれ? 七瀬さん何か喋りましたか? 私、恥ずかしがってて聞き取れませんでした。


「なっ七瀬さん? 何か言いましたか?」

「ん? 何も言ってない」


なんだ、気のせいでしたか……と、それはともかく。


「あっあの」


引っ張られる中、私はどきどきしながら話し掛けました。


「なに?」


そしたら1度立ち止まって私を見てきました。


「てっ手を……はっ離して……くれませんか?」


七瀬さんのしなやかな手が私の手首を掴んでるんです、はっ早く離してくれないと恥ずかし過ぎてどうにかなっちゃいます。

と、私は思っているのに七瀬さんは、ん? と言いたげに首を傾げて来ました。


「どうして?」

「えっえと」

「嫌だった?」

「いっいや! そうではなくてですね」


私の目は慌ただしくあっちこっちを見ています、もう挙動不審です。


「そう、じゃぁこのままで良い?」

「あっ、えと! そのぉ、そうですね……はっはい! いっ良いですよ?」


微笑しながら言ってくる七瀬さんに私はそう言うしかありませんでした。

だって、あんな顔されて言われたら断れないじゃないですか、そっそれにただ手を繋いでるだけなんです、ふっ深い意味なんてありませんよ、そう自分に言い聞かせこのままでいる事にしました。


「困った顔、可愛い」

「ふぇ!? いっ今何を言って」

「何も言ってない、さっ行こ」


え? え? いっ今確実に何か言いましたよね? かっ可愛いって。

再び歩き始める七瀬さん、後ろ姿しか見えてはっきりとは分かりませんが、確かに言った気がします。


「あっあの……っ!」


ここで確認しようと思いましたが良く良く考えて見ました。

私、七瀬さんに何て聞こうとしたんですか? いや、それは自分で分かってるんです。

私は七瀬さんに「今、私の事可愛いって言いませんでしたか?」と言おうとしました。


アホですか私は! そんなの聞いた時点で痛い娘になっちゃいますよ! きっ聞いてはいけません、とっと言うか七瀬さんもそんな事言ってないです、だっだって……私なんかが可愛い筈ありませんから。


「胡桃……何か言った?」


歩きながら、私に背中を見せながら話し掛けて来ました、直ぐに私はこう言います。


「いっいえ、何も言ってないです!」


誤魔化します、ここは全力で誤魔化します、そしたら「そう」と呟いた後、七瀬さんは立ち止まりました。


「どっどうかしたんですか?」


私が問い掛けると七瀬さんは、やっと手首を離してくれました。

「あっ、離してくれた」と思ったら私の方を身体を向けて来ました。


「……」


無表情のまま何も言いません、え? なっなんですか? もっもしかして私何かしちゃいましたか?


「胡桃」

「はっはい!」


うわぁ! 喋ったぁ! って流石に失礼ですよ私、喋るに決まってるじゃないですか……人間ですもの、と自分自身で謝罪していた時です、七瀬さんは太陽の木漏れ日の様な優しい笑顔を見せました。


「お仕事頑張ろ、私も頑張る」

「へ?」


こっこんな、こんな表情初めて見ました。

初めてあって1日ぐらいしかたってませんが七瀬さんは基本無表情でハッキリと表情を変えませんでした、でっでも今は、はっきりと笑顔だとわかります。


「はっはい!」


私は元気良く応えました、七瀬さんの笑顔に負けない様な笑顔で。


「分からない事があったら聞いて、私が教える」

「ありがとうございます!」


七瀬さんに元気付けられましたね、うふふ……これはもう頑張らないといけません!


と、そんな決意をした後、私は七瀬さんに連れられ(再び手首を掴まれ)仕事場に着きました。

就職して初仕事がコンビニの仕事、バイトの時に何度もやった仕事ですけど気は抜いちゃいけません。

初心の忘れずの精神でやってみせます、頑張りますよ私っ!

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