9話 仲間に裏切られ一人で戦う狩人
「隊長……絶対に生き残ってください……!」
涙を流しながらエリザベートが言った。白金の髪が揺れ、蒼い瞳が涙で潤む。
「……隊長、これ以上仲間が死ぬのはみたくないですぅ……! お願いしますぅ……!」
涙を流しながらカタリナが言った。淡い薔薇金の髪が揺れ、大きなライラック色の瞳が涙で潤む。
「隊長……あたしは隊長を信じてる……! 絶対に生き残って……!」
涙を流しながらヴィオラが言った。深い漆黒に紫を滲ませた長髪が揺れ、紅い瞳が涙で潤む。
「……隊長、必ず生きて」
涙を流しながらリュネットが言った。漆黒に近い深藍色の髪が揺れ、細めの淡い銀青の瞳が涙で潤む。
「隊長……ご武運を……!」
涙を流しながらヴェルナーが言った。長めの金髪が揺れ、切れ長の蒼い瞳が涙で潤む。
「隊長……俺は隊長なら出来ると信じています……!」
涙を流しながらルーカスが言った。焦げ茶の短髪が揺れ、琥珀色の瞳が涙で潤む。
「ああ……任せろ……!必ず生き延びる……!」
仲間たちの言葉を聞いて、イグナーツは頷いた。彼は仲間たちから熱い言葉を貰って、気分が落ち着いて前向きなものになると同時に、熱い感情が胸に込み上げる。
「仲間たちの為にも、俺はこんな所で死ぬわけにはいかん……! 犠牲者は出てしまったが、これ以上仲間を失いたくない! 絶対に生き残って、仲間と共に本国へ帰って見せる! 必ず朝を迎える! 必ず生きて帰る! う”ら”あ”あ”あ”っ”……!」
雄叫びを上げるように、イグナーツは叫んだ。その声は最上階全体に響き渡る。
切れ長の黒目がちな瞳が決意に燃え、濃藍の羽織が風に揺れた。
イグナーツは右手に大剣を、左手に短銃を構え、たった一人で大量の魔物と対峙する。
魔物たちが塔の外壁を登り、次々と最上階へと飛び上がる。
「グルルルル……ガァアアアアアッ!」
魔物たちの咆哮が響き渡った。彼は短銃を連射し、大剣を振るい、魔物たちを次々と倒す。
銃声が連続して響き、刃が魔物たちを切り裂く。
血が飛び散り、魔物たちは悲鳴を上げながら塔から落下した。
まるで血を求める獣のように、イグナーツは一人で戦い続ける。
――そして時は流れて朝を迎えると同時に、先程まで響いていた魔物の雄叫びと彼の鬼気迫る荒らしい声が止んだ。
ユリウスが扉に付与した封印魔法は解除され、仲間たちは急いで扉を開けて最上階に出る。
すると、そこには数多の魔物の返り血を全身に浴びながらも、最後の魔物の胸に剣を突き刺して止めを刺して仁王立ちする、悪魔のようなイグナーツの姿があった。
彼の全身は魔物の血に染まり、濃藍の羽織は赤黒く汚れている。
切れ長の黒目がちな瞳が鋭く光り、右耳の真鍮の耳飾りが血に濡れていた。
大剣は血に染まり、刃は魔物の肉片で汚れている。
周囲には無数の魔物の死体が散乱しており、床は血と肉片で覆われていた。
イグナーツは、たった一人で魔物の猛攻が絶えず襲い掛かる地獄のような夜を耐え凌ぎ、無事に朝を迎えたのである。仲間たちは、彼が生きている姿を見て、感動の涙を流した。
「隊長……! 生きていた……!」
涙を流しながらエリザベートが叫んだ。白金の髪が揺れ、蒼い瞳が涙で潤む。
「……隊長、凄いですぅ……! 一人で全部倒したんですかぁ……!」
涙を流しながらカタリナが叫んだ。淡い薔薇金の髪が揺れ、大きなライラック色の瞳が涙で潤む。
「隊長……英雄だわ……!」
涙を流しながらヴィオラが叫んだ。深い漆黒に紫を滲ませた長髪が揺れ、紅い瞳が涙で潤む。
「……隊長、凄い」
涙を流しながらリュネットが呟いた。漆黒に近い深藍色の髪が揺れ、細めの淡い銀青の瞳が涙で潤む。
「隊長……流石です……!」
涙を流しながらヴェルナーが叫んだ。長めの金髪が揺れ、切れ長の蒼い瞳が涙で潤む。
「隊長……本当に凄い……!」
涙を流しながらルーカスが叫んだ。焦げ茶の短髪が揺れ、琥珀色の瞳が涙で潤む。
仲間たちはイグナーツに近づいて、水が満たされたバケツを手に持ち、一斉に水を彼にぶっかけて魔物の返り血を洗い流した。
冷たい水が彼の全身にかかり、血と汚れが流れ落ちる。
次に仲間たちは何処も噛まれていないか、負傷していないのかの確認を行う。
「隊長、噛まれていませんか……?」
心配そうにエリザベートが尋ねた。
「ああ、噛まれていない……ぐっ……」
淡々と返すが、負傷の確認中に体力の限界を迎えて、イグナーツは力尽きて倒れそうになる。
僅かに彼の身体が傾くが、咄嗟に仲間たちが肩を貸して、イグナーツを支えた。
「「「隊長……!」」」
エリザベートとカタリナが、イグナーツの両肩を支える。仲間たちは協力して、最上階から降りて塔の中へ戻った。イグナーツは仲間たちの肩を借りて塔の中へ戻ると、そのまま寝室へと入り木製の椅子に腰を落ち着かせる。
仲間たちから手厚い看護と食事を貰うと、彼は一息つけて体を休ませる事ができた。
「隊長、水をどうぞ……」
水の入ったコップを、エリザベートが差し出す。
「ありがとう……」
イグナーツは水を飲み、体力が少しだけ回復した。だが、それと同時に突如として仲間たちの手により隔離されていたはずのユリウスが、発狂した様子を晒しながら彼の前に姿を見せる。
ユリウスは銀灰色の髪が乱れ、伏せがちな蒼灰色の瞳が狂気に揺れていた。
黒を基調としたロングジャケットは血と汚れに染まり、全身が震えている。
「イグナーツ! 死ね……! 死ね……! お前のせいだ……! お前のせいで俺たちはこんな目に遭っているんだ……! 死ね……! 死ね……! 死ね……!」
ありとあらゆる罵詈雑言の嵐を彼は口にした。
「お前が隊長じゃなければ……! お前が俺たちを守ってくれれば……! ガロットもセシリアも死ななかった……! お前のせいだ……! お前が悪い……! 死ね……! 死ね……!」
ユリウスは発狂して常軌を逸しており、頭がおかしくなっている。
イグナーツを恨み、憎み、死ねと何度も言う。
その全身からは、狂気的な雰囲気を醸し出している。
仲間たちはユリウスを見て、驚愕と困惑の態度を見せた。
「アイツ、どうやって部屋から抜け出したんだ……?」
「それよりも、さっさと取り押さえるぞ!」
ルーカスが驚愕の反応を見せ、ヴェルナー声を荒げて叫ぶ。
「次は仲間という概念を捨てて、もっと厳重な拘束魔法を使うべきです……! 生半可に仲間だと思って魔法を使うと効力が弱まります……!」
カタリナが叫んだ。仲間たちは急いで、発狂しているユリウスの元へと駆け寄り、取り押さえようとする。
そして仲間たちが発狂している彼を取り押さえようとするが、その前にイグナーツが人知を越えた速さで動き、他の仲間たちよりも先にユリウスへと近づく。
そのまま彼は、ユリウスの胸倉を掴んで、思いっきり拳で顔を殴る。
イグナーツの拳が彼の頬を打ち鈍い音が響く。
殴られたユリウスは、そのまま吹き飛び、壁に背をぶつけると倒れ込む。
だが、矢継ぎ早にイグナーツは彼へと近づいた。
「お前の、あの行為は立派な裏切り行為だ。俺は絶対に許さん」
彼の声は怒りに満ちており、切れ長の黒目がちな瞳が怒りに燃える。
イグナーツは、仲間を裏切る奴には容赦しないと言い、更に蹴りや拳での暴力をユリウスに行う。
彼は倒れているユリウスの顔や腹に、蹴りや拳を容赦なく叩き込む。
裏切り行為に対しての暴力は、黒燭の牙の掟の一つにより許されている。
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