5話 命懸けの攻防戦!
「……明かりを森へ」
無表情のまま彼女は、ランタンの台を回転させ、明かりを目の前の漆黒の森へと向けた。
ランタンの光が森を照らし出す。
そして森の闇から、血肉に飢えた様子の魔物たちが次々に現れた。
二足歩行型の夜狼――夜狼である。
身の丈約二メートル、黒灰色の体毛が逆立ち、赤く爛れた瞳が憎悪に燃えていた。
両腕には鋭い鉤爪が生え、口からは涎と共に腐臭が漏れる。
獣でありながら知性を持ち、集団で獲物を追い詰める狡猾さを備えた魔物だ。
四足歩行の狼――血餓狼である。
より獰猛で、筋肉の塊のような巨躯が地を這い、牙は人の頭蓋を噛み砕くほどに鋭い。
その咆哮は耳を劈き、血肉に飢えた眼光が光を飲み込むように禍々しく光る。
森の闇から現れ出た魔物たちは、一直線にイグナーツたちが居る塔へと向かう。
その数は数百体を超え、地面が震えるほどである。
そして、一部の魔物たちは既に塔の外壁を登り始めていた。
夜狼たちは鋭い鉤爪を石壁に突き刺し、壁を這い上がる。
血餓狼たちは牙を壁に食い込ませ、四肢で壁を蹴り上がった。
その速度は驚異的であり、瞬く間に塔の中腹まで到達している。
イグナーツは大剣を構えた状態で、急いで塔から身を乗り出して下を確認した。
視界に映るのは、次々と魔物たちが我先にと塔を登って来る光景である。
石壁を這い上がる夜狼、牙を食い込ませて登る血餓狼、その数は数十体――いや、数百体。
塔全体が魔物たちに覆われ、まるで黒い波が押し寄せてくるようである。
「くそ……数が多すぎる……!」
即座に身を戻し彼は、仲間たちに向けて叫んだ。
「敵襲! 攻撃を開始せよ! この塔は俺たちの最後の砦だ! 奴らに一歩たりとも踏み込ませるな! 各自、己の生存をかけて戦え! 生き残るために全力を尽くせ! 絶対に生き延びるぞッ!」
イグナーツの声は熱く、力強い。
切れ長の黒目がちな瞳が鋭く光り、濃藍の羽織が風に揺れる。
右耳の真鍮の耳飾りが揺れ、左手の黒紐の腕輪が軋む。
その瞬間、一体の夜狼が塔を登り上げ、最上階へと飛び上がってきた。
「グルルルル……ガァアアアアアッ!」
夜狼は唸り声を上げながら、鋭利な鉤爪を振るい、イグナーツの首の動脈を切ろうとして飛び掛かる。
だが、彼は即座に反応した。
イグナーツは短銃を抜き、引き金を引く。
銃声が響き、弾丸が夜狼の心臓を貫いた。
夜狼は鈍い声を漏らし、塔から落ちていく。
その身体は闇夜に消え、地面に激突する音が響く。
「一体目……」
静かに彼が呟いた。仲間たちはイグナーツの戦いを見つつ、命令を承諾する。
「了解ッ!」
エリザベートが叫んだ。白金の髪が揺れ、蒼い瞳が決意に燃える。
「了解です!」
カタリナが叫んだ。淡い薔薇金の髪が揺れ、大きなライラック色の瞳が輝く。
「了解!」
ヴィオラが叫んだ。深紅と墨黒の軽装甲が揺れ、豊満な胸が揺れる。
「……了解」
リュネットが無表情で呟いた。
ダークグレーと漆黒の高機動戦闘衣が揺れ、腰回りのラインが露わになる。
「了解ですぅ!」
セシリアが叫んだ。生成色のロングコートワンピースが揺れ、豊満な胸が揺れる。
「ああ、了解だ!」
ガロットが叫んだ。深墨色のロングコートが揺れ、背中から腰にかけて複数のホルスターが揺れる。
「了解した!」
ヴェルナーが叫んだ。白と金を基調とした布鎧が揺れ、銀縁のロングマントが揺れる。
「了解だ!」
ルーカスが叫んだ。鉄打ちの重コートが揺れ、金属のプレートアーマーが軋む。
「……了解」
ユリウスが無表情で呟いた。黒を基調としたロングジャケットが揺れ、胸元の革紐が揺れる。
全員が即座に武器を構え、塔から身を乗り出して魔物の進行を確認した。
魔物たちが次々と塔を登り、狩人たちの元へと迫り来る。
その数は圧倒的であり、石壁全体が魔物たちに覆われていた。
「攻撃開始――ッ!」
イグナーツが叫んだ。
ガロットは短銃を構え、塔を登り来る夜狼たちに向けて乱射する。
銃声が連続して響き、弾丸が夜狼たちの頭部、胸部、腹部を貫く。
銀粉と血糊が混ぜられた弾丸が命中すると、夜狼たちは悲鳴を上げ、塔から落下した。
血が飛び散り、石壁を赤く染める。
「一体、二体、三体……まだまだ来るか……!」
薄く笑いながら彼が叫んだ。
漆黒の髪がオールバックに撫け付けられ、金茶色の瞳が輝く。
ヴェルナーは短銃を構え、塔を登ってくる夜狼たちに向けて発砲した。
銃声が響き、弾丸が夜狼の額を貫く。
弾丸が着弾した瞬間、閃光とともに"浄化の焔"が弾ける。
夜狼は悲鳴を上げ、炎に包まれながら塔から落ちていく。
「神罰を受けろ……」
冷静に彼が呟いた。
長めの金髪が後ろで一束に結ばれ、切れ長の蒼い瞳が冷たく光る。
ルーカスは短銃を構え、塔を登り来る血餓狼たちに向けて発砲した。
銃声が響き、弾丸が血餓狼の胸を貫く。
魔獣の髄液を使用した特製の貫通弾が命中すると、血餓狼は悲鳴を上げ塔から落下した。
「うおおおお……!まだ来るか……!」
彼が叫んだ。焦げ茶の短髪が汗に濡れ、琥珀色の瞳が闘志に燃える。
ユリウスは二連式銃を構え、塔を登り来る夜狼たちに向けて発砲した。
銃声が連続して響き、弾丸が夜狼たちの急所を正確に貫く。
銀弾が命中すると、夜狼たちは悲鳴を上げ、塔から落下した。
「……正確に」
彼が無表情で呟いた。銀灰色の髪がポニーテールで揺れ、前髪が右目を隠している。
ヴィオラは機構式クロスボウを構え、塔を登り来る夜狼たちに向けて発砲した。
矢が放たれ、夜狼の胸を貫く。毒矢が命中すると、夜狼は痙攣を始め、塔から落ちていく。
「これでどうかしらね……!」
彼女が叫んだ。深い漆黒に紫を滲ませた長髪が三つ編みで揺れ、紅い瞳が鋭く光る。
リュネットは短銃を構え、塔を登り来る夜狼たちに向けて発砲した。
銃声が連続して響き、魔力の波紋が夜狼たちを貫く。
夜狼たちは動きを止め、塔から落下した。
「……止める」
彼女が無表情で呟いた。
漆黒に近い深藍色の髪が揺れ、細めの淡い銀青の瞳が冷たく光る。
細腰からの曲線が美しく、腰回りのラインが色香を漂わせる。
カタリナは魔術刻印杖を高く掲げ、詠唱を始めた。
「大気は充填された。逃げ場なき導線に、終焉の光を。……逃がさない。穿て、極光の楔!」
彼女の声は甘く柔らかいが、その魔力は圧倒的である。
杖頭の欠けた水晶から魔力の霧が放出され、周囲に魔法陣が展開された。
魔法陣は淡く輝き、空中に浮かび上がる。
次の瞬間、魔法陣から雷撃が放たれた。
雷撃は塔を登り来る夜狼たちを貫き、複数の獣を一度に撃ち落とす。
雷撃が命中すると、夜狼たちは悲鳴を上げ、炭化しながら塔から落ちていく。
「……まだまだですぅ……!」
微笑みながらカタリナが叫んだ。
淡い薔薇金の髪が揺れ、大きなライラック色の瞳が輝く。
エリザベートは聖銀の槍を構え、詠唱を始めた。
「天蓋に集え、光の塵。白銀の雨となりて、穢れた大地を根こそぎ穿て。……終焉の銀光!」
彼女の声は冷徹で、力強い。
槍の穂先に魔力が込められ、周囲に魔法陣が展開される。
魔法陣は淡く輝き、空中に浮かぶ。
次の瞬間、魔法陣から閃光が放たれた。
閃光は塔を登り来る夜狼たちを貫き、複数の獣を一度に撃ち落とす。
閃光が命中すると、夜狼たちは悲鳴を上げ、浄化されながら塔から落ちていく。
最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます。
宜しければ評価とブックマーク登録をお願い致します。
活動の励みとなり更新が維持出来ます。




