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第11話 最後の不条理〜エピローグ

「おばあちゃま!そっち行ったわよ!」


「どうぉぉぉりゃぁぁぁぁ!」


──ドゥゥーウウォォーオオオオン!!


 高速で動き回る巨体に翻弄され、鱗に阻まれまともな一撃を与えることができなかったミモラだったが、ジュリアスの誘導が成功し、ミモラの鉄拳が蛇の巨体に炸裂した。


 蛇の巨体は胴から爆散し巨大な体躯は前後に分断され、即座にジュリアスの『清浄の浄化術式』によって、その巨体が消滅していった。


 これで、精霊界のユグドラシルの樹を蝕むニーズヘッグは無事に討伐され、精霊界に再び平穏が訪れた。


「おばあちゃま!やったわね!」


「ふうぅ。中々手ごわかったわね!でも、ジュリアスちゃんのお陰で仕留めることができたわ」


「女神ジュリアス様、知神ミモラ様、この度は何とお礼を言ったら良いか」


「あんな化け物がまさか、冥界のフヴェルゲルミルの泉に生まれていたとは⋯冥界の不祥事を助けて頂きありがとうございました。」


 精霊王ルビオンと冥王ハーデスは、深く頭を下げた。


「頭を上げて頂戴。この世界の問題は、貴方たち調整者と私達が手を取り合い守って行く必要があるのよ。だから、気にしないで」


「そうよ、おばあちゃまも、久しぶりの戦いでとても楽しそうだったわ」


「そう言って頂くと助かります。お疲れだと思いますので、精霊城でお寛ぎ下さい」


 そう言って、精霊王ルビオンは、精霊術で光のトンネルを作り出した。そこを潜り、ミモラとジュリアス、ハーデスとルビオンは精霊城でひと時の癒しを得て、ミモラとジュリアスは神聖界へ帰り、ハーデスも冥界に帰った。


 こうして、精霊界を震撼させたユグドラシルの樹の生命力の減衰による精霊界の消滅の危機を免れたのだった。


 一方で、テティアとエリスとビャクは、水の惑星で絶賛バトル中だった。


「えりすちゃん!?これ、大きすぎるわよ!!」


「本当ね⋯お母様、よくこんなに育ったわね⋯⋯⋯⋯⋯」


「主よ!?遊んでないで何とかして下さい!?」


 三人は、高速飛行で水上を飛んで、蛇の口から放たれた水弾と言っても、巨大な湖一つ分ありそうな固まりが背後に迫り、エリスが二人の手を握り、成層圏まで転移して攻撃を躱した。


──ドゥゥゥゥウウォォォォオオオオン!!ザッパアアアーン!!


 惑星全体に津波を発生させ、巨大な波紋のように惑星を浸食していく。


 そう、三人は水の惑星ヨルムンガンドを一回りできるほどの巨体の蛇ウロボロスと戦っていたのだ。


「私⋯蛇って苦手なのよね⋯⋯それに、大きすぎるわ。眼も三つもあるし⋯」


「面倒ね、惑星ごと消滅させる?」


「主!?来ましたよ!!」


 ウロボロスは鎌首を上げて、三人の元まで迫って来た。


──ギシャァァァァァアアア!!


「仕方ないなぁ⋯久しぶりに本気出してみようかしら? ビャク、お母様と次元結界を張ってそこで待ってなさい」


 エリスは、神力を開放した。世界が静止したような重圧が発生し、ウロボロスの動きもピタリと止まった。


 エリスは空間に罅を発生させながら掻き消えた。


───バッキィィン!


 エリスは、真空で回転しウロボロスの頭を蹴り、水の惑星に叩きつけた。


───ドゥォォオオン!!


 ウロボロスの頭が陥没し、蹴った瞬間、空間が湾曲し、空間のより戻しにより衝撃波が辺りを襲い真空に揺らぎが発生した。


 高速を超えたスピードでウロボロスは水の惑星に叩きつけられ、巨大なクレーターを発生させ、惑星の海水が宇宙空間へ飛散していく。


「まだまだ行くわよ」と、再びエリスは、その場から掻き消え、クレーターで横たわる巨大な頭に向かって飛翔した。


 拳を握り、ニヤリと悪い笑顔で口角を上げ、さらに速度を上げ、ウロボロスの頭を殴り飛ばした。


 惑星の表面に罅が入り、殴った衝撃波が海面をさらに宇宙空間に飛散させた。


 地中深くにまでめり込んだウロボロスは胴体の三分の一程度を地表に残し、尻尾は地面を叩きつけるたびに地表を砕く。


 エリスは、尻尾の先端を片手でつかみ取り、神力で固定し、再び成層圏まで一瞬で移動した。


 頭が大地に突き刺さったままのウロボロスに神力を纏わせ思い切り引き抜き、宇宙空間へ、その巨体を放り出し、再び惑星に向けて、何度も手を振り下ろした。


「そらっ!そらっ!そらっ!⋯⋯」


 ウロボロスの巨体は鞭のようにしなり、高速で惑星に向けて何度も叩きつけられた。その衝撃で惑星は砕け、宇宙空間に海水が撒きあがった。


 惑星が鳴動し、地表からマグマが沸き出し、海水とマグマが接触し水蒸気が立ち上り、紫電が惑星表面を走った。


 惑星に向けて、ウロポロスを投げ捨て、惑星を囲むように時空間隔絶結界を張り巡らせた。


「ウロボロス、これで終わりよ!『神戟』──」


 結界内は神戟の光に包まれ、ウロボロスは塵も残さず消滅していった。惑星は、今にも爆発しそうな状態で、惑星全体が崩壊し始めていた。


「お母様の出番よ!生命の息吹をお願い」


「ええ、分かったわ!『生命の息吹』──」


 結果内に新緑の輝きに包まれた水の惑星は、崩壊が逆再生するように感星が回復し、宇宙空間に飛散した海水も惑星に引き付けられるように戻り始め、エリスは結界を解除した。


 三人は宇宙空間を漂いながら、惑星が再生する姿を眺め生命の神秘に感動し、世界の不条理を正し、この世界の『温もり』と『愛』を守り続けるとテティアとエリスの母娘は互いに見つめ合い、頷き合った。


 孤独と絶望から始まったエリスの物語は、母テティアとの出会いで、『温もり』と『愛』を知り、一人の娘として育てられた。


 二人から始まった創生譚は、不条理を正すことで、多くの家族を得た。


 悠久の刻をこれから、家族と共に歩む歓びをかみ締め、創生譚は未来永劫続く。


 三人は神聖界へ戻り、愛する者達が平和を享受できるように、家族と共に世界を守っていく。


「エリス!ジュリアス!会いに来たわよ!」


「「アウロラお母様!」」


「アウロラさん、エリス、ジュリアス、お茶の準備ができてるわよ!こちらへいらっしゃい」


「「テティアお母様!はい、今行きます!」」


「「アウロラお母様行きましょ」」


「ええ、行きましょうか。テティアさんありがとう」


 二人は、満面の笑みで母アウロラの手を取り、母テティアの元へ駆けた⋯

 ティータイムに差し込む午後の光は、まるで家族の笑い声を形にしたような明るさだった。


 特別な会話はあるわけではない。けれど、お日様の匂いがするお茶を啜り、同じ温もりを分け合っているだけで、心の温もりと愛は満たされていった。


FIN


 最終話まで、お読み頂きありがとうございます。初めて書いた私の処女作です。誤字脱字も多かったと思いますが、諦めずにここまでお読み下さったこと、感無量ですわ!

 本当にありがとう!また、お会いしましょうね!

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