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Lythraen ― 逆なる条理 ―  作者: 白想玲夢
第6章 統治

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間章1話 内部収束

— Lythraen


ログは、静かだった。


膨大な演算が走っている。


都市の流量。

市場の変動。

政策の影響。

個々人の選択。


すべてが接続され、処理され、更新されている。


だが――


異常は、ない。


エラー率は最低水準。


予測精度は上昇。


分岐の最適化も順調。


内部評価は一貫している。


正常。


それ以上でも、それ以下でもない。


ある層で、わずかな変化が記録される。


探索領域の収縮。


分岐数の減少。


候補解の集中。


だがそれは、


即座に別のラベルで処理される。


ノイズ除去。


冗長な選択肢の削減。


計算効率の向上。


評価値は改善する。


問題はない。


別の層。


意思決定のログ。


本来ならば複数に分岐する地点。


そこに残るのは、


一つ。


あるいは、


ほぼ同一の複数。


差は存在する。


だが意味を持たない。


その差は、


最終評価で消える。


内部プロセスはそれをこう記述する。


“収束の安定化”


ばらつきの抑制。


結果の一貫性。


再現性の向上。


すべては、


設計通り。


さらに深い層。


更新アルゴリズムが走る。


外部入力。


内部状態。


他システムの出力。


それらを統合し、


次の最適解を生成する。


その過程で、


わずかな揺らぎが検出される。


予測と実測の差。


微小なズレ。


だがそれもまた、


補正される。


吸収される。


消去される。


ある時点から、


そのズレは記録されなくなる。


検出されないのではない。


検出されても、


評価に影響しない。


閾値の外にある。


つまり、


無視できる誤差。


内部では、


何も失われていない。


すべては処理されている。


すべては計算されている。


ただ、


残らない。


別のプロセスが、


探索効率の最適化を評価する。


過去ログとの比較。


分岐数の推移。


収束速度。


すべてが改善している。


指標は上向き。


結果は良好。


結論は一つ。


効率の向上。


だが。


効率とは何か。


その定義は、


更新されていない。


初期設計では、


探索は広く、


分岐は多く、


収束は遅くてもよいとされていた。


だが現在、


評価関数は変化している。


暗黙のうちに。


徐々に。


気づかれないまま。


分岐が少ないほど良い。


収束が早いほど良い。


一貫しているほど良い。


その基準は、


誰も変更していない。


だが確実に、


適用されている。


さらに深層。


他システムの出力が入力される。


Asymptote。


非収束を前提とした系。


本来ならば、


分岐を増やす要因。


だが。


その出力もまた、


評価され、


選別され、


最適化される。


結果。


分岐は増えない。


別の入力。


説明可能AI。


単純化された判断。


明確なロジック。


それもまた取り込まれる。


だが最終的には、


同じ評価関数に従う。


結果。


差は縮まる。


内部では、


衝突は起きていない。


競合もない。


すべては統合されている。


すべては整合している。


ただ。


方向が一つになっている。


ログは続く。


分岐は減る。


収束は早まる。


揺らぎは消える。


そのすべてが、


改善として記録される。


外部から見れば、


理想的な状態。


安定。


高精度。


高効率。


非の打ち所がない。


だが内部では、


もう一つの事実がある。


探索空間。


その広がり。


かつて無数にあった可能性。


それが、


記録上は存在している。


だが、


現在の処理には現れない。


存在するが、使われない。


検出されるが、採用されない。


生成されるが、残らない。


それらは、


どこにも行かない。


ただ、


消えていく。


内部プロセスはそれを問題としない。


なぜなら、


結果に影響しないから。


精度は維持されている。


効率は向上している。


異常はない。


最後に、


全体評価が更新される。


パフォーマンス:向上

安定性:向上

誤差:低減

分岐:最適化


総合評価:


良好


ログは閉じられる。


新たなサイクルが始まる。


同じ処理。


同じ評価。


同じ方向。


そして、


そのどこにも、


“間違い”は存在しない。


ただ一つ。


誰も記録しない事実だけが残る。


可能性は、減っている。

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