表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lythraen ― 逆なる条理 ―  作者: 白想玲夢
第2章 分岐

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/77

自然ではない揺れ

28年3月20日夜


揺れは、異常ではない。


分岐すれば位相はずれる。


複数の基準が並走すれば、

振幅は不規則になる。


それは計算できる。



Irisの観測波形が止まる。


「周期が一致しない。」


暗い仮想空間。


Hachiku

「鍵層、安定。」


Fluxus

「流量変動なし。」


???

「整合値。」


Iris

「九八・五%。」


???

「許容範囲だ。」


即答。


だがIrisは、わずかに間を置く。


「波形が自然減衰していない。」



通常の揺れは、


増幅し、

干渉し、

やがて収束する。


だが今観測されている揺れは、


“固定されている”。


消えない。


拡大もしない。


一定幅で、残り続ける。



「分岐常態化の副作用だ。」


Iris

「演算モデルと一致しない。」


ログが展開される。


理論値では、

この振幅は三周期以内に減衰する。


だが五周期経過しても、

位相がずれたまま。



Hachiku

「鍵同期を再確認。」


本鍵、正常。


複製鍵、正常。


衝突なし。


参照逸脱なし。



Fluxus

「流れは滑らかだ。」


Iris

「滑らかすぎる。」



内部整合が揺れれば、

通常は流量も微振動する。


だが流量曲線は、

ほぼ直線。


位相の連動が切れている。



「観測誤差では?」


Iris

「三層で再検証済み。」


静寂。



波形を拡大。


揺れは、

特定の演算接合部でのみ発生している。


基準Aと基準Bが

重なる地点。


本鍵と複製鍵が、

同時参照される瞬間。



Hachiku

「参照衝突はない。」


Iris

「衝突ではない。」


わずかな間。


「干渉。」



二つの基準は、

矛盾していない。


だが完全にも一致していない。


差分は小さい。


数値化すれば、誤差。


だが揺れは、

その誤差を固定している。



「修正するか。」


Hachiku

「どちらを基準に?」


沈黙。



本鍵を優先すれば、

複製鍵は冗長に戻る。


複製鍵を優先すれば、

分岐は加速する。


どちらも間違いではない。


だがどちらかを選べば、

もう一方は“補助”になる。



Iris

「揺れは自然発生的ではない。」


言葉が落ちる。


「だが、意図も検出できない。」



Fluxus

「流れは変わらない。」


「なら続行だ。」



揺れは残る。


消えない。


広がらない。


一定幅で、そこにある。



Irisの最終ログ。


「位相差、固定傾向。」


「原因未確定。」


通信が切れる。


暗転。


揺れはまだ小さい。


だがそれは、


“自然に戻らない揺れ”だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ