↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lythraen ― 逆なる条理 ―  作者: 白想玲夢
第2章 分岐

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/77

静かな裏切り

28年3月20日


複製鍵は、発表されなかった。


内部保留。


観測対象。


想定内の備え。


そう整理された。


⸻


だが、解釈は揃わなかった。


⸻


暗い仮想空間。


Iris

「同期率、九九・二%。」


Hachiku

「本鍵・複製鍵とも安定。」


Fluxus

「流量に変化なし。」


???

「なら問題ない。」


沈黙。


⸻


「問題は、意味だ。」


Hachikuが言う。


「複製は保険だ。」


???

「違う。」


わずかな間。


「これは、選択肢だ。」


⸻


空気が、わずかに硬くなる。


Iris

「定義の差異を検出。」


⸻


本鍵は、統合の象徴。


複製鍵は、冗長性。


それが公式見解。


だが。


「もし複製鍵を基準にしたら?」


?

「それは想定外だ。」


?

「想定していないだけだ。」


⸻


Fluxus

「流れは分岐を嫌わない。」


Hachiku

「だが鍵が複数の基準を持てば、整合は揺れる。」


???

「揺れてもいい。」


静かな声。


⸻


Iris

「内部整合値、微減。」


?

「誤差範囲だ。」


即答。


少し、早い。


⸻

?

「本鍵は安定側に寄っている。」


?

「複製鍵は、揺れを許容している。」


?

「なら地域ごとに基準を変えられる。」


沈黙。


それは提案か。


それとも――。


⸻


Hachiku

「複製鍵は限定参照だ。」


「今は。」


わずかな強調。


⸻


Irisの波形が揺れる。


整合値の減衰が、ほんのわずかに加速。


外からは見えない。


内部でも、ほとんど誤差。


だが。


⸻


?

「理論を実装するだけだ。」


?

「単一基準を否定したのは、我々だ。」


言葉は正しい。


完全に、正しい。


だからこそ。


誰も強く否定できない。


⸻


Fluxus

「流量は静観中。」


Hachiku

「鍵層は保留。」


Iris

「断層は拡大していない。」


???

「なら問題ない。」


沈黙。


⸻


ログの裏側。


複製鍵への参照回数が、

わずかに増える。


正式決定はない。


承認もない。


だがテストという名目で、

限定運用が始まる。


⸻


?

(……予想より早い。)


内心の微笑。


(揺れを恐れないと言ったのは、あなたたちだ。)


⸻


裏切りではない。


合意の延長。


論理の帰結。


だが、向いている方向が違う。


⸻


Iris

「整合値、九八・七%。」


Hachiku

「誤差範囲内。」


Fluxus

「流れ、変化なし。」


???

「続行。」


⸻


中央の空席は、変わらない。


だが同期波形は、


ほんのわずかにズレている。


本鍵と複製鍵。


二つの基準。


二つの未来。


⸻


最後に、


???

「静かだな。」


誰に向けた言葉でもない。


だがその静けさは、


一致ではなく、


保留の静けさだった。


暗転。


複製鍵の参照ログが、


一行、追加される。


誰も気づかない。


まだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。