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21. 雷鳴の記憶

廃墟での激戦を終えたカイルたちは、近くの洞窟で休息を取ることにした。岩肌の奥に広がる空間には小さな泉が湧き出ており、疲れた体を癒すには十分な場所だった。


「ここなら敵も見つけにくいだろう。」

ケンが入り口付近に腰を下ろし、周囲を見渡す。


「ちょっと狭いけど、安全そうだな。」

アリが泉の水を手ですくいながら言う。


「とにかく、しばらくここで休もう。」

カイルが皆に声をかけ、各々が思い思いの時間を過ごし始めた。


カイルは盾とナイフを手に取り、焚き火のそばで手入れをしていた。すると、ふと近くに座っていたケンが口を開いた。


「カイル、武器の扱いに苦労してるようだな。」


「まだ全然だよ。うまく動かせないし、戦闘中はどうしても余計なことを考えてしまう。」

カイルは苦笑いを浮かべながら答えた。


ケンは焚き火をじっと見つめながら、少しだけ肩をすくめて言った。

「戦いに迷いはつきものだ。俺も最初は刀を振るうことに戸惑いがあった。」


「戸惑い……?」

カイルが意外そうに聞き返すと、ケンは静かに頷いた。


「俺が刀を持つようになったのは、故郷がエクリプスの実験場にされたからだ。」


「実験場……?」

カイルが問い返すと、ケンは少し俯いて続けた。


「俺が住んでいた場所は、エクリプスが異能の可能性を探るための標的になった。人々は次々と連れ去られ、戻ってきた者はほとんどいなかった。」


「……家族も?」


「幸い、俺の家族は逃げ延びることができた。でも、友人たちは戻らなかった。」

ケンは拳を握りしめた。

「それで思ったんだ。無力なままでは、何も守れないってな。」


ケンは刀を膝に置き、静かに話を続けた。


「エクリプスが来た時、俺はただ隠れていただけだった。戦う力もなく、声を上げることすらできなかった。だけど……その後に刀を手に取った。」


「戦うために?」

カイルが恐る恐る尋ねる。


「ああ。その時、初めて『ライトニング・フューリー』が目覚めたんだ。雷が俺の体を駆け巡る感覚は、全てを焼き尽くすような力だった。」


「怖くなかったのか?」


「怖かったさ。でも、何もしない方がもっと怖かった。」

ケンは焚き火を見つめながら続けた。

「それ以来、俺はこの刀を振るい続けている。ただの復讐じゃない。二度と同じことを繰り返さないために、前に進むんだ。」


カイルはその言葉を聞き、深く頷いた。


夜が更け、アリとミゲルも焚き火の周りに集まった。


「ケンがこんなに話すなんて珍しいな。」

アリが冗談めかして言うと、ケンは短く返した。

「たまにはな。」


「でも、戦う理由を語るのは大事なことだな。」

ミゲルが穏やかに言葉を添えた。


「ま、俺はそんな深い話はないけどな。ただの生き残りって感じだ。」

アリが軽い調子で言うと、一瞬の沈黙の後、彼は続けた。


「……いや、実はさ。俺も大事な仲間を失ったことがあるんだ。」


カイルとミゲルが驚いた表情でアリを見つめる。普段、軽口ばかり叩く彼が真剣な表情を見せるのは珍しいことだった。


「砂漠の部隊で一緒だった連中だ。俺が異能に覚醒した時、みんな俺をかばって戦ったけど、生き残ったのは俺一人だけだった。」


ケンが静かに頷きながら言った。

「だから戦い続けてるんだな。」


「かもな。まあ、今はお前らがいるから少しは気楽にやれてるよ。」

アリは軽く笑いながら肩をすくめたが、その目にはほんの少しの涙が浮かんでいた。


カイルはその言葉を胸に刻みながら、仲間たちとの絆が深まっていくのを感じていた。


次回予告

束の間の休息を終え、カイルたちは再びエクリプスの脅威へと立ち向かう。戦闘の中で、アリはかつての仲間の面影を現在の仲間たちに重ねてしまう――その心に芽生えた新たな葛藤が、物語を揺るがす。

第21話「雷鳴の記憶」をお読みいただき、ありがとうございます!

今回は、ケンの過去や戦う理由、そして仲間たちとの絆が描かれました。さらにアリの心の内側も少し明かされ、彼らの成長と葛藤が垣間見える回となりました。次回は、アリの新たな葛藤が物語に深みを加えます。ぜひお楽しみに!


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