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20.希望の先に

カイルたちは険しい山道を歩きながら、通信装置を使いエイデンに状況を報告していた。


「エイデン、さっきのグラディスを倒したが、新しい型が次々に送り込まれてきている。この先の敵に対して、何か分かっていることはあるか?」

カイルが慎重な声で尋ねる。


通信の向こうから、エイデンの冷静な声が響いた。

「状況は確認している。グラディスはエクリプスの兵器開発の中核だが、その動きには何かしらのパターンがあるはずだ。次の地点では、その行動ルートを探る必要がある。」


「エクリプスが次に狙っている場所が分かれば、対応も早くできるんだけどな。」

アリが軽く肩をすくめて言うと、エイデンの声が続いた。

「確かに。そのためにも、現地での観察を怠るな。」


「わかった。あ、アンナはそこにいるのか?」

カイルがふと尋ねると、通信の向こうからアンナの明るい声が聞こえた。


「いるわよ、カイル。あなたたちが無事に進んでいるって聞いて安心した。」


「まだまだ大変なことが多いけど、なんとかやってる。」

カイルが答えると、アンナは少し笑って続けた。

「何かあったらいつでも連絡して。隠れ家でできる限りサポートするから。」


通信を終えたカイルたちは、新たな目的地へと歩みを進めていた。道中、緊張感が漂う中でも仲間たちの軽い会話が場を和ませる。


「アンナの声を聞くと、なんか落ち着くよな。」

アリが軽く笑いながら言うと、ケンが短く返す。

「そうか?俺には少し頼りなさそうに聞こえたが。」


「それがいいんだよ。癒しってやつだ。」

アリの冗談めいた言葉に、ミゲルが静かに微笑む。

「彼女も彼女なりに、この戦いに貢献しようとしている。それを感じ取ることが重要だ。」


カイルは黙って話を聞きながら、アンナのことを思い出していた。彼女が抱える過去を知るからこそ、その笑顔の裏にある覚悟を思うと胸が締め付けられるようだった。


しばらく進むと、カイルたちは荒れ果てた廃墟に辿り着いた。風化した建物と崩れた道が広がり、不気味な静けさが辺りを包んでいた。


「ここ、何か妙な感じがするな。」

アリが砂を操りながら周囲を警戒する。


「エクリプスが利用している可能性もある。注意しろ。」

ケンが鋭い視線を周囲に走らせる。


「ミゲル、何か感じる?」

カイルが尋ねると、ミゲルは杖を軽く地面に突き立て、目を閉じた。


「……何かが潜んでいる気配がある。完全に人工的なものだ。」


その瞬間、廃墟の奥から機械音が響き、グラディスが姿を現した。今回は水陸両用の特化型で、装甲が分厚く、下半身はタンクのような形状になっている。


「また来たか!」

ケンが刀を構え、前に出る。


「これ、さっきのより厄介そうだな。」

アリが砂の槍を作りながら言う。


グラディスは水を操る機能を持ち、周囲の湿度を集めて攻撃を仕掛けてきた。巨大な水の刃がカイルたちを襲う。


「防ぐ!」

カイルが盾を構え、水の刃を受け止める。だが、その衝撃は強く、彼は後ろへ弾き飛ばされそうになる。


「カイル、一人で受けるな!」

ミゲルが杖を地面に突き立て、足場を補強しながら叫ぶ。


ケンは雷を纏わせた刀で水の刃を切り裂き、アリは砂の槍でグラディスのタンク部分を攻撃した。だが、装甲の分厚さが彼らの攻撃を阻む。


「弱点はどこだ?」

カイルが叫ぶと、ミゲルが目を光らせて答えた。

「胴体中央の排出口だ!そこを狙え!」


カイルは盾を構え直し、ナイフに力を込めて突進する。仲間たちが周囲で援護し、彼の攻撃をサポートした。


ついにナイフがコアに届き、グラディスは激しく振動して停止した。


内部から光が放たれ、揺れるようなファントムの残像が現れる。


「またか……。」

カイルが呟くと、ファントムは一瞬だけ輝きを増し、静かに空気の中へと消えた。


「これで良かったんだろうな。」

アリが肩をすくめて言うと、ミゲルが静かに頷いた。

「少なくとも、彼らを苦しみから解放することはできた。」


カイルは静かに盾を握りしめ、また一歩前へ進む決意を固めた。


次回予告

廃墟での激戦を終え、カイルたちはしばし休息を取ることに。束の間の静けさの中で、ケンが語る自身の過去と秘めた想いとは――。

第20話「希望の先に」をお読みいただき、ありがとうございます!

今回は、エイデンの通信を通じてエクリプスのグラディスに関する新たな事実が明らかになり、カイルたちの戦いがさらに深い意味を持つ展開となりました。次回は、束の間の休息を通じてケンに焦点を当てた物語が描かれます。ぜひお楽しみに!


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