第二話
「あら、これはどうゆう状況なの?どなたか説明して下さいませんか?」
聖女は問うた。
「ああ、フランキーのおっさんが生意気だからシメているところさ」
「あら、フランキー様は貴方よりも年上なのだけども」
「ハハハ、冒険者は強い者が上、それだけさ。姉ちゃん。知らなかったのかよ。ウグ!」
聖女は何の躊躇もせずに、魔狼の牙の強い者が上と言った巨漢にボデーアッパーを食らわせ。
「アリサちゃん。ドアお願い」
の一言で、アリサと呼ばれた少女は意図を察し、ドアを開けた。
巨漢はそのまま猫のように首をつかまれ、片手で、外まで投げた。曲線を描いている。
外には、馬車が通っている。アリサと呼ばれる少女は、ドアの外に駆け足で出ていき、巨漢が道にでる前に、ジャンプし、蹴りを食らわせ。街のゴミ収集所にゴールを決めた。
ゴミがクッションになって生きてはいるが、戦闘不能になった。
この間、わずか一分もないだろう。
「セイコお姉ちゃん・・馬車には当たらなかった。迷惑は掛からなかったよ・・・」
「アリサちゃん。有難う」
「冒険者は強いのが上って、何でしったけ、駄犬の群のパーティの掟に従うわ。他に戦う者は?」
「「「ファルコンの兄貴、勇者候補生の力を見せて下さい!」」」
必死に、パーティメンバーがファルコンにすがりつくが
「は、はい。どうぞ、これで、あっしらは下がります。お前ら、帰るぞ!」
逃げようとしたが、肩を掴まれた。
「少し、ここで見て行きなさい。フランキー様の偉業を知りなさい。でないと、れーざーびーむを食らわすわよ!」
「正座だ・・ね。正座する」
アリサと呼ばれた少女は、奇妙な魔法杖をカチャカチャしている。
何かわからないがとても怖い。
ファルコンは決断した。全面降伏!
「お前ら、正座だーーーーーでないと俺がぶっ潰すぞ!」
ハンスを含めて5名の者は、酒場の隅で渋々、土下座をして見守ることにした。
これで、もうパーティとしは終わった。ファルコンを恐れる者はいなくなるだろう。
「フランキー様の治療が先ね・・ヒール!」
「ウグ、治療をしてくれたのか・・しかし」
「ええ、無料でいいわよ。フランキー様、え、フランキーさんでいいの?そう、私はSSS級のセイコ、こちらは」
「フランキーさん。アリサで・・す。同じくSSS級・・冒険者」
((SSS級だったのかよ!))
初めて、魔狼の牙のメンバーは、彼女らの正体を知った。
「今日は、貴方に教えを請いに来たわ。情報を含めて、大金貨10枚、材料を提供してくれたら、その原料費と輸送代+大金貨10枚払うわ。どうかしら、場所を移さない」
「俺が、あんたらに教えること何かないぞ。何かの間違いか?」
「ほら、フランキーさんが、あの大蛇を討伐したときの、資料を見たの。秘伝だから、肝心なことは書かれて無かったから、冒険者として、対価を払って、情報を買いたい。私たち、今、ウワバミ級の大蛇の討伐していて・・地中に潜って、困っているの」
「私のれーざーびーむも」
「う・・ん、私の鉄ツブテとドッカーンも」
「地中では全く効果ないの。助けて下さい!」
「フランキーさん・・お・・願いします」
SSS級の二人は頭を下げた。
「何だかわからないが、それは悪手だ。智恵が付いた大蛇は、地面からの衝撃で、更に地中奥深く潜るぜ。奴ら、断食に強い。数ヶ月エサ無しでも大丈夫な厄介な魔物だ。
そんな時は、蛇が好む酒を巣の前に置いて、おびき寄せて酔わせて、討伐すればいい。あれ、俺の村の秘伝で、特別な作り方しているよ。まだ、作っているぜ。コメというもので作っているんだ」
「「お米!」」
「お米も是非欲しいわ。売って頂戴!アリサちゃんも食べるでしょう」
「うん、欲しい・・です」
「さあ、冒険者ギルドに行きましょう!応接室とってあるわ」
「うん。行こう・・行こう」
フランキーの手を取り促す二人だが、ここで、外から大声が聞こえた。
「「「フランキーの旦那は無事か!」」」
ロザリーが近場の農村を周り、フランキーさんが危ないと触れ回った。
噂が噂を呼び。総勢200名の農民が、クワやスキを持って集まっていた。
「フランキーさん。応援を呼んできたのです!」
さすがの、魔狼の牙でも、この人数では勝ち目はない。
「お前達、冒険者相手だぜ。怖くないのかよ!」
「な~に、俺たちは仲間だろう。あんた、仕事以外にも、大熊が出たとき、ワザと大音を出して、子供達から注意をそらせてくれたじゃないか?」
「そうだ、お金が払えない年寄りの畑まで、ついでだと、面倒見てくれているよな?」
「お前達――ウウワーーーン」
フランキーはおっさんだが、泣いた。大人になって、初めてガチ泣きをした。
「まあ、それじゃ、祝福の光の舞、善き者に幸あれ!」
セイコは気持ちを落ち着かせる効果のある聖魔法の光の粒子を皆に振りまいた。
「これ、聖王国の王都で、年に一回、民に振りまかれるものだ」
「スゲーよ。聖女様、有難う!」
・・今、俺たちは土下座して、この光景を見ている。誰も俺たちのことに関心を示さない。
SSS級の二人は、特有の技すら見せずに俺たちを制圧した。
フランキーのおっさんは俺達にざまぁはしないだろう。おっさんは俺たちと同次元ではないからだ。
頼む。誰か俺を罵ってくれよ。そうしたら、同レベルになれる・・安心出来る。
世界は広い。パーティーを解散して、田舎返って農民でもやるか。いや、農家も厳しいだろう。俺はどうすればいい・・・
その後
SSS級の二人は、無事ウワバミ級を討伐し、報酬金と国から感状を受賞した。
そして
「白いお米、白いお米、銀しゃりよ。アリサちゃん!」
「う・・ん。美味しい、鮭とソイソースを合わせる・・と魔法を掛けたみた・・いに美味しい!」
お米の仕入れルートも確保した。
魔狼の牙は解散し、王都で門衛見習いとして、働いているファルコンがいた。昔の城の教官の伝手を頼った。
「お前の年齢なら、ギリギリだが・・文字の読み書は必要だぞ。頑張れるか」
「はい、頑張ります」
ファルコンは門衛見習いとして、自分よりも遙かに年下の子供達と混じって、文字の読み書を習った。
「坊・・じゃなかった。トム、ここの綴り教えて下さい!」
「ファルコンさん・・良いですよ。わかるまで付き合います」
「有難う、おごるぜ!」
「嫌ですよ~お酒でしょ。独りで飲みに行って下さい!」
「「ハハハハハハハハ」」
一方、冒険者パーティ[畑が荒らされたらフランキーまで]では
去る者と残りたがっている者がいた。
「あの、フランキーさん。その・・」
「ああ、ロザリーわかっているって、魔法学院の特待生受かったのだろう?行ってこいよ」
「はい、今の仕事の引き継ぎが終わったら・・その、やめさせてもらいます。今まで有難うございました!」
「いいぜ、ここは若者が長くいてはいけないパーティーなんだ。出世したら、顔を見せに来いよ」
「はい!絶対に」
・・・
「あの、フランキーさん。あの酒場での件、確かにやめると言ったけど、やめるには冒険者ギルドに本人の意思確認をしないといけませんよね。まだ、ギルドに言ってません。僕はまだ、このパーティのメンバーです!
僕がいれば、このパーティはSSS級が一目を置くパーティーとして更に発展させます!僕を主任にして下さい」
ハンスめ。まだ、わかっていないな・・組織は、手続きだけでは成り立たない。気持ちが全てではないが、気持ちの問題は大きいのさ。
それに、まず初めに言うことがあるだろう。
謝罪だ。謝りもしない奴に慈悲を施したら、そいつの為にならないな。
「ハンスよ。お前は不行跡で、ギルドに、パーティ解雇を申請しておいた。証人はあのSSS級の二人だ。パーティリーダーに対する暴行、お前、あいつらと一緒になって、俺に蹴り入れただろう」
「え、そ、んな」
「だから、お前は追放だ!」
[畑が荒らされたらフランキーまで]のフランキー、冒険者人生において、最初で最後のパーティーメンバー追放と、冒険者ギルドの活動記録に記録されている。
最後までお付き合い頂き有難うございました