式と陰陽師
先週は毎日のようにプチ不幸がふりかかってきたので、更新休んでニコニコ動画に入り浸ってました
今週は平和であって欲しい
魔王と部屋の前で別れ、紫耀をパジャマに着替えさせたクローシスも退室し、あとは寝るだけ。
『……眠れない…』
なかなか寝付けずに広いベッドの中でゴロゴロと転がっていると、窓がコンコンと叩かれた。
パァッと表情が明るくなった紫耀はベッドを飛び出し、窓に駆け寄る。
窓の外には、額の左端に角が生えた男が、細長く黒い布にまたがって浮いていた。
『鬼童丸!一反木綿!おかえり!』
「ただいま~主!」
窓を開けた紫耀は角の生えた男、鬼童丸と、黒い布、一反木綿を部屋に入れた。
『帰ってくるの早かったね!』
「主に早く会いたかったから俺と一反木綿だけ早めに帰って来たぜ。…あっ、ちゃんとジャンケンで一番に帰るヤツ決めたんだぜ!」
『喧嘩してないなら良し。』
紫耀は鬼童丸と一反木綿を抱き締める。
鬼童丸は嬉しそうに頬をすりよせ、一反木綿は話せない分を補うように、体全体を使い鬼童丸ごと巻き付く。
紫耀の式達の一部は任務で遠出していた。
帰ってくるのは後三日は先だろうと聞いていた紫耀は二人だけとはいえ早めの帰還に喜んだ。
実は異世界に来てから、式は一度紫耀に召喚されると、消えずに活動している。
一部の特殊な式は〝封印状態〝になっているが、ゲーム内のように制限時間で消える事はない。
この事を、魔王に保護される以前の事を覚えていない紫耀は不思議に思っていない。
式達は初め、紫耀の記憶喪失に動揺していたが、今は皆落ち着いている。
いや、「自分達の主を痛め付けた何者かを絶対に殺す」と日々思っているのである意味落ち着いていないかもしれない。
ちなみに式達はゲーム内云々の事はよく分かっていない。
この世界で初めに式が召喚されたのは、紫耀が魔王に保護され、養子になった後。紫耀のインベントリという名のアイテムボックスに入っているアイテムを確認していた時だ。
最初に召喚されたのは鬼童丸。偶然にも紫耀の最初の式だった。
鬼童丸以外の式も数人召喚され、魔王と色々話した。
今の紫耀の状態、何処の産まれなのか、鬼童丸達はどういう存在なのか等々。
鬼童丸達は「主の記憶喪失」という事態に動揺しながらも、なんとか現状を飲み込み、魔王の説明を聞き、質問に答えた。
まず、紫耀の産まれ。
「ファストの街のエルフ地区」
鬼童丸達がどういう存在か。
「自分達は陰陽師である主(紫耀)の式」
魔王はファストの街も式も知らなかった。
そもそも〝陰陽師〝というジョブも詳しく知らない。
鬼童丸達から話を聞く限り、陰陽師=テイマーとサマナーが合わさった様なジョブ。
式=従魔や召喚獣の様な使い魔。
魔王はこのように考えた。
ファストの街に関しては、少なくとも自分たちがいる中央大陸には存在しないという事しか分からなかった。
他の大陸の地図には、国の名前以外は大きな都市や首都くらいしか載っていない。他は大きな山や森等の名前くらいだ。
これらの事から魔王達は「紫耀は別の大陸から来た、或いは誘拐されて来た。そして何者かに理不尽な事をされた。」と結論付けた。
どちらにせよ、犯人は複数存在し、全員ロクデナシだろうと考えられている。
そんな事は全く知らされていない紫耀は、鬼童丸と一反木綿と一緒にベッドへ入り眠りについたのだった。
魔王の魔眼では「名前、種族、ジョブ、レベル、性別」の五つしか見れないし、それらの詳しい説明は見れないので、陰陽師がどういうジョブかは分からなかった感じです。




