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10.店主の助言


「おいまじかー……」


 目的のコーヒーショップにたどり着けば、中は観光客でにぎわっている。今年に入ってカフェを併設したのだが、徐々に人が増えているなとは思っていたものの、ここまで人が多いとは……。人込みは嫌いなんだよ……。


 人とぶつからないように店内に入ってカウンターへと向かう途中で「ルイゼ!」と声を掛けられる。ふとカウンター内に目を向ければ、店主のゴードンがニマニマしながら此方を見ていた。


 コーヒー屋の店主とは思えないほど筋肉隆々の腕に口ひげで、熊みたいな体格のいかつい店主は、ドル箱状態の店のおかげで最近目じりが下がってきたように感じる。


「儲かってんなーゴードン」


「おかげさまでな! 何時ものコーヒー豆だろ? 裏周ってちょっと待ってな」


「いいのかよ、他の客いるのに」


「常連の地元民優先に決まってんだろ」


「そりゃありがたい。500gで頼むわー」


 そう伝えれば、ゴードンはウィンクすると豆を計りに店の奥へと向かった。それを見送り店の裏手に回り込めば、小さなカウンターがいつの間にかできており、小さな庭にはベンチにテーブルまで用意されている。おおかた地元民専用ってところだろう。そんな事を思いながらぼーっとしていると


「ほい! お待ちどうさん!」


そう言ってカウンターに豆と、頼んでもいないテイクアウト用のカップが置かれている。


「何これ?」


「ホットのカフェラテだよ、サービスさ」


上機嫌のゴードンにサービス満載で、逆に気味が悪くなる。


「どしたの急に……」


「そんなに警戒するなって、順風満帆で売り上げが急上昇の俺からの、幸せのおすそわけさ」


「あぁ……それは羨ましいこって……」


そう言いながら豆の代金をゴードンに手渡す。


「ルイゼ、お前もなんか観光客向けの商売始めたらどうだ? 今後も観光客はどんどん増えるぞ、今日だって大都市ハーデンの名門高校、ハイゲングライツ高校から学生達が課外学習で来てるしな、王族に貴族、世界トップ企業の御曹司だけが通える名門だ。金がザクザク落ちるぜー」


ウハウハなゴードンに、そいつは景気が良くて何よりだーとやる気なく答える。


「何だよルイゼ、ハイリスクな仕事から足を洗ったんならそれなりに稼ぐ仕事が必要だろ? まぁ女ならどこぞの玉の輿狙うってのもありだがな。お前なら黙ってりゃーそれなりなんだから、狙えるんじゃないか? ナハハハハ!」


「うっせ! 余計なお世話だ!」


そう言い捨てると豆とカフェラテを手にし、さっさとその場を後にした。



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