表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/124

最終話 大切な思い出

最終話 大切な思い出


「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 時雨の絶叫がラグナロク山へ木霊(こだま)する。



「生きて……いたのか?……」

 蔵人は驚く。







「この戦争に勝つために、お前たちが最後に倒さなければならぬ存在(もの)


 その存在(もの)の名はTrue Gentle Blue。


 これだけははっきりと真実を伝えたかった」

 Vivid Edged Blackは倒れたままの姿勢で、苦痛に激しく顔をゆがめながら、だが真剣な眼差しで蔵人へ告げる。







「それがビグースの……ラスボス……?


 Vivid Edged Black、いやプレトさん、

そんな最高機密をどうして俺たちへ?……俺たち人類は、プレトさんたちビグースにとって敵対する存在(そんざい)じゃないか?」



「確かに人類は、ビグースにとっては敵対する存在(そんざい)と言い得る。だが、それは僕にとって敵対する存在(そんざい)と同義じゃないだろ?」

 Vivid Edged Blackは蔵人へと微笑む。



「プレトさん……!も、もしかして」

 一瞬で全てを察した蔵人はプレトを見つめる。



「そうだ。さすが隻眼の使徒だ。理解が早いな。


 僕はビグース本部に愛する者たちを人質にとられていた。


 そして僕に下された命令、それは最強ギルド『最前線』への内偵定調査、そして……アメリカ合衆国海軍第7艦隊の停泊していた軍港を周辺都市ごと消滅させることだった。


 僕に選択の余地はなかった。


 だが、軍港を周辺都市ごと消滅させたあの日から僕は、罪の意識に(さいな)まれ続けた。



 だから、あの日以来、僕は願い続けていた。


 蔵人くん、君に人間界での僕を見つけて欲しいと。隻眼(せきがん)使徒(しと)である君に、僕が誰かを見つけて欲しいと。

 そして、君の手で僕の罪をつぐなわせて欲しいと。


 僕の死をもってね……僕の願いは今、かなった」

 Vivid Edged Blackは力弱く微笑む。




「プレトさん、やはりそうだったのか……」

 蔵人は悲痛な面持ちでつぶやく。



「プレトっち、水臭いじゃねえかーっ!どうして俺たちに一言でも相談してくれなかったんだっ!

 俺はプレトっちを追い詰めたビグース本部を絶対に許さねえええええええ」

 真実を知って京介は泣き叫ぶ。



「プレトくんが……そんなヒドい目にあわされて脅され続けてきたなんてウチ全然気づかへんかった。ビグース相手やったら警察にも通報できへんもんな……ウチも家族とか大切な人を人質にされたら同じことやってたかもしれへん。

 プレトくんには罪はないっ!

 プレトくんは、やりたくないのに嫌々ウチらのギルド『最前線』の活動して、そんでアメリカ合衆国海軍第7艦隊の停泊していた軍港を周辺都市ごと消滅させることを強要させられてたんや……」

 月乃は同情から悲しげな顔をする。




「月乃くん、1つ誤解してるよ」

 Vivid Edged Blackはそう言って月乃を見やる。



「え?ウチなんか違うこと言うたん……?」



「ああ、僕の所属していたギルドは最強ギルド『最前線』だよ。 

 世界中のあらゆるギルドの中で最強ギルド『最前線』こそが原点にして頂点。

 常に新しいマップに1番乗りして、1番に新マップを開拓して新ボスを1番に討伐するのは、僕たちばかりだったろう。


 そんな最強ギルド『最前線』での活動が嫌々なわけないだろ。


 いつもノリノリだったよ。ギルド『最前線』での活動は最高に楽しくて最高に気持ちよかったよ」

 Vivid Edged Blackは月乃へ優しく微笑む。



「プレトくん……」

 月乃は涙ぐむ。


「プレトっち!」


「プレトくんっ!」


「プレトさん!」


 ギルド最前線のメンバーたちも、涙ぐみながら次々と声をかける。




「そんな最高のギルドだからこそ、僕の最後のままを聞いて欲しい。僕は自らがギルド『最前線』のNo4であることに誇りを持って死んでいく。だが、いや、だからこそ、このNo4を永久欠番とはしないで欲しいんだ。このNo4を継承するに相応ふさわしい者を見つけ、その者へと受け継がせて欲しい」

Vivid Edged Blackは月乃を見つめる。



「ギルド『最前線』のNo4を継承するに相応ふさわしい者……って……そんな人見つけるの難儀なんぎやで……はっ!いる!1人だけいる!

 エリチや!




 二神の守護者(ガーディアン)ビビアン・エリーチカ・ベネセツカヤや!




 エリチは時雨ちゃんがサンダース大佐の特殊()能力(キル)『Unlimited Knife Phenomenon』に襲われたとき、2mの大盾を顕現させて、その大盾に気(KI)を集中させることで大盾を強化して、時雨ちゃんに覆い被さったんや。自分の体を張って、自分を犠牲にして時雨ちゃんを無限のナイフから守ろうとしたんや。



 せやからエリチこそが能力的にも人格的にもギルド『最前線』のNo4を継承するに相応ふさわしい者って言える!」

 月乃はそう言って真摯にVivid Edged Blackを見る。




「エリチはVivid Edged Blackのサーヴァント・シェーシャの妹だ。幼名はマナサー。あなたの後継者としてまさに適任だ」

 蔵人はVivid Edged Blackの耳元でささやく。




「そうか。頼もしい新メンバーだね。ビビアン・エリーチカ・ベネセツカヤか……僕は良き後継者を得た」

 Vivid Edged Blackは心から安心した顔でギルド『最前線』 のメンバーたちを見る。






「君たちなら、君たち最強ギルド『最前線』の9人なら、このビグースとの戦争に勝てるかもしれないな。君たちの健闘を祈っているよ」

 Vivid Edged Blackはギルド『最前線』のメンバーたちを見つめながら優しく微笑む。




「待ってくれプレトさん。さっき、あなたたは、この戦争に勝つために、俺たちが最後に倒さなければならぬ存在(もの)の名はTrue Gentle Blueと言った。



 True Gentle Blue。


 

 その存在ものこそがビグースの将軍、いやビグースの王と考えていいんだな……」

 蔵人は真剣な眼差しでVivid Edged Blackを見つめる。




「それくらい自分で考えろ」

 Vivid Edged Blackはニベも無い返事をする。



 蔵人は沈黙する。



 Vivid Edged Blackは再び口を開く。

「だがな、蔵人くん。これだけは知っておいて欲しい。


 ビグースといっても、決して1枚岩じゃないということを。


 Darker Than Crimson RedやPure Sublimity Whiteは穏健派と呼ばれるグループに所属していた。そして、Vivid Edged Blackである僕は中間派というグループだ。

 穏健派や中間派は、人類との友好な関係を築けないか模索しているんだ。


 だけど、ビグース全体の意思は、最高機関であるビグース本部のみにより決定される。僕らは彼らの命令に決して逆らえない。


 そして、現在、そのビグース本部を支配しているものこそが、強硬派。


 つまり人類を滅亡させ、この地球ほしべようとする存在ものたちなんだ。



 そして、僕が敗れたことで、遅からずきっと、強硬派自らが、君たちの前に表れるだろう。

 やつらは余りに凶暴で極悪だ。



 強硬派には気をつけろっ!!



 そして、蔵人くん、君が人類をビグースから守ると僕と約束して欲しい」

 Vivid Edged Blackは、そう言って蔵人を見つめる。



「ああ。

 約束しよう。俺が人類を守ると」

 蔵人も力強く頷く。




「安心したよ。


 だって、この地球ほしを守れるのは君、そして君たちギルド『最前線』だけなんだからね。



 おかしいな、なんでだろ?みんなの顔が見えなくなってきたな……うん、ちょっと寒いよね……」




「プレトっち!」


「プレトくんっ!」


「プレトさん!」


 Vivid Edged Blackの死期を察したギルド『最前線』のみんなは、涙ぐみながらプレトを囲み、円陣を組む。



 ギルド『最前線』の創始者、つまりギルド『最前線』のNo1である矢沢月乃が、プレトの手に自らの手を乗せて泣きながら叫ぶ。

「1っ!」



 月乃に誘われてギルド『最前線』に2番目に合流したNo2の二神雫が、その月乃の手に自らの手を重ねて泣きながら叫ぶ。

「2っ!」



 メンバーたちは次々、手を重ねていく。 

 


 姉の二神雫に誘われ3番目に合流したNo3の時雨が涙声で叫ぶ。

「3っ!」



 そしてNo4のプレト・ルシフェルことVivid Edged Blackが最期の力を振り絞って泣きながら叫ぶ。

「4っ!」



 ネルソン・セレーゾ神父が涙声で叫ぶ。

「5っ!」



 アルトくんが号泣しながら叫ぶ。

「6っ!」



 ロックコ・ビンセントとが泣きながら叫ぶ。

「7っ!」



 号泣した京介が嗚咽しながら叫ぶ

「8っ!」



 蔵人が叫ぶ。

「9っ!」






 その時、アルトくんが東の空から昇る大きくて(まばゆ)い朝日を指さす。



「みんな、あの朝日を見てっ!お正月イベントで僕たちが苦労に苦労を重ねたバジリスク討伐の直後、みんなで見たあの時の初日の出にそっくりだよ。

 大切な思い出の時と同じだね。とっても、きれいだよ」



 最強ギルド『最前線』。その9人は、それぞれの思いを胸に、涙を浮かべながら、いつまでも、いつまでも、その朝日を見ていた。




 Vivid Edged Black編 完






 これにてハイパーキューブ《HYPER CUBE》のうちのVivid Edged Black編は完結です。

 最後までお読み下さったことに、謹んで感謝申し上げます。


 もっとも、 ハイパーキューブ《HYPER CUBE》において、Vivid Edged Black編までというものは、ラブライブ!でいうと1期にすぎません。つまりA-RISEという名のラスボスと戦う1つ手前の段階にすぎません。

 すなわち、ハイパーキューブ《HYPER CUBE》での、人類とビグースとの互いの命運を賭けた最後の戦いは、次編であるTrue Gentle Blue編で描かれます。こちらも、これまで同様、本稿にて再開し更新されます。


 次編であるTrue Gentle Blue編の開始は未定ですが必ず行われます。詳細は西木野樹生Tのマイページの活動報告(2015年年8月26日付、同年3月18日付、同年10月6日付あたり)をご覧下さいませ。


【追記】True Gentle Blue編は2016年2月or3月から連載開始いたします。詳細は西木野樹生Tのマイページの活動報告2015年11月7日付、同月5日付、同月2日付あたりに記載致しました。

【再追記】思っていたより早く準備できたことから、True Gentle Blue編の連載再開時期を早め、2016年1月中旬からと致します。


 また皆様と《HYPER CUBE》世界でお会いできるのを、楽しみにしております!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ