↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/40

アフターストーリー

 「yui-yui先生完成しましたよ!」

 

 茹だるような暑さが落ち着き、なんとなく秋の始まりを感じ始めているが、私の目の前ではまだまだ全盛期の夏のような熱狂に包まれていた。

 

 「思ってた以上に早くできたんですね」


 そう言葉にしながら、目の前のディスプレイに映る両手を真横に伸ばしているキャラクターを見ていた。

 肩まで伸びた光り輝く銀色の髪に垂れた目は素直に言えば可愛らしいと言った感じか。

 その割には着ているのが肩を露出したオフショルダー系の服装にジーンズ系のパンツと一瞬、見た目とのギャップを感じるが、それが良いとも言える。

 だが、一番気になるのは……

 

 「……いくら何でも盛りすぎじゃないです?」


 私はディスプレイに映るキャラクターの胸元を指差す。

 先ほどの見た目に釣り合わない、大きな双丘がそびえていた。

 漫画やゲーム、アニメではこういうキャラはウケがいいので問題はないのだが、このキャラクターはそう言った類のものではない。


 ——そもそもこのキャラクターは私の分身とも言えるものだからだ。


 「これぐらい普通ですよyui-yui先生! Vtuberは盛れば盛るだけ人気が出るんですから!」


 半ば興奮気味に語るのは知り合いのLive2Dモデラー。

 紆余曲折あり、動画配信サイトで配信者をやろうと決め、知り合いの伝手で必要な分身とも言えるキャラクターの作成をお願いしていた。

 そして最終確認で、モデラーのスタジオに来ている。


 「いやあ、できるならもっと大きくしてもよかったんですけどね!」

 

 そういえばこの人が作ったキャラクターは全て大きいキャラだったことを思い出す。

 この人はそういう性壁の持ち主なんだろう。

 

 「それはイラストや漫画でもそうですけどね……」


 私もイラストレーターとしてや漫画を描いていた際にいろんなキャラを作ってきた。

 描いてる時は胸の大きいキャラは楽しく感じる。

 ただ、その反面……こんな重いものをぶら下げてたら肩が凝るだろうなと女特有の考えがよぎってしまう。

 

 Vtuberが活動するのは仮想空間なので、そこら辺は気にする必要はないのだが、このキャラが自分ってことになるとそういった内面的なことも考えてしまう。

 活動していくうちに消えていくものなんだろうか……。


 「あ、そうだ! 先生のご希望通り、タバコをくわえることもできます!」

 

 そう言いながらモデラーが勢いよく画面をクリックしていくとキャラクターの口元にタバコが表示される。

 もちろんこれは私の希望したものだ。

 以前、アオバとリオの配信にお邪魔した時、喫煙者であることは公言しているから大丈夫だろう。

 

 「こんな可愛い巨乳キャラが喫煙者ってなんかそそるものがありますね! なんか新しいものが目覚めそうな気もします!」

 

 うひひと不気味な声を出すモデラー。

 うん、新しい扉を開くことはいいことだからな……たぶん。


 「問題なさそうなので、こちらで受領いたします。 制作費用はこの前聞いた口座へ振り込むようにしますので」

 「あ、お願いします! 何か不具合とかあれば対応しますので、いつでも連絡ください!」


 これ以上ここにいると、私も変なものに目覚めそうな気もするし、これ以上彼の新たな性壁を開花しかねないので早々に話を切り上げて帰ることにした。

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 「あれ、大崎さん?」

 

 モデラーの家から住んでいるマンションに戻ると、既に夜になっていた。

 夕飯の前に一服しようとベランダに出た直後、隣から声をかけられた。

 声がした方を見るとアオバの中身……大塚少年だった。


 「少年か、もしかして私が出てくるのを待ってたのか? まったくしょうがないやつだな、シャワーでも浴びて——」

 「——誰もそんなこと言ってないですよね!?」

 「まったく冗談が通じないな、まあ私は真面目に受け取ってもらっても一向に構わないけどな」


 タバコに火をつけながら伝えると隣から大きなため息が聞こえてきた。


 「そう言えば、呟きったー見ましたよ、配信者デビューするみたいじゃないですか」

 

 大塚少年は嬉しそうな顔でこちらを見ていた。

 SNSでつぶやいたのは昨日の夜なんだけどな……しかも軽く酔っていたから内容もうろ覚えだっていうのに。


 「情報をキャッチするのが早いんだな……さては少年、隠れ私のファンか? ファン第1号だから特別なファンサービスを——」

 「——結構です」


 話の途中で遮られてしまった。

 最近もアオバとリオの新衣装を仕立てたんだから、お礼に相手をしてくれてもいいんじゃないか?


 「たしか個人勢としてデビューですよね?」

 「まあな、事務所とかだと色々と制限がありそうでめんどくさそうだしな」


 私の場合アオバやリオと違って、本業はイラストレーターなので、配信業はその片手間で本業に支障をきたさない程度にやろうと思っている。

 そうなると何にも縛られない個人勢が性に合ってると知り合いの配信者から聞いていた。

 

 ——もちろん、個人勢も大変なことがわんさかとあるようだが。


 「以前みたいに俺やリオさんと3人でコラボしたいですね」

 「そう言えば、あのコラボから1年近く経つんだな……」


 私が配信者として活動をしようと思ったのはリオのチャンネルでやったあのコラボがきっかけだ。


 「今度はリオと一緒にアオバきゅんをprprするか、その前にこっちきて軽く味見を——」


 大塚少年はまるで汚いものを見るかのような目で私を見ていた。

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 「なんでこんなに緊張するんだ……」


 Live2Dモデルが完成してから数日が経った。

 何度もモデルの動作テストや他の配信者の初回配信を見ながら何度もイメージトレーニングをしていったので準備に関しては問題はないはずだ。


 「準備はしたんだし、やるだけやるしかないか……」


 

 最後にベランダでタバコを吸って緊張をほぐそうとも思ったが、時間が迫っていたので、椅子に座って大きく深呼吸をした。


 そして……私の初回配信の幕が開けた。


 「は、はじめまして〜イラストレーターのyui-yuiでぇすっ」


 緊張しながらも腹の奥底から第一声を上げる。


 :wwwwww

 :ズコー


 リスナーの反応は私が想像していたものは全く違っていた。


 私の配信活動はここから始まっていく。

近いうちに、yui-yui先生の話を書いていこうと思いますので

楽しみにしていただけると幸いです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。