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呑気な薬師と領主さま  作者: アキノナツ
番外編:エミルの日常
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出られない部屋 (終)


「あの、チュッと…するキス…ですよね?」

分かり切ってる事なのに言葉にして、前を向いたままヴィクトルさまに尋ねてしまった。そっち見れないぃぃ。恥ずかしいよぉ〜。


『そうです!』


文字が変化した。


ほへ? 会話になってる?

えーと、会話出来るのなら…。


「ごめんなさい。ちゃんとしたルートで入り直すから、出して下さい」

お願いしてみた。


『ダメ。ミッションクリアで出れるよ。報酬も用意してあげる。君はついて来ただけだもんね』


偶然じゃなくて会話が成立してる。


「謝罪する。せめて彼だけでもダンジョンの外に」


ヴィクトルさまの言葉に、文字は変化しない。

暫く待っても変化はなかった。


「ヴィクトルさま。ここはダンジョンですし、ダンジョンのルールとかはダンジョンが決めるんでしょ?」


ヴィクトルさまの袖を引っ張りながら、彼の横顔を見上げる。


『その通りッ!』

パッパパーンと軽やかな金管楽器の音と共に文字が変化した。

音に驚いて壁に視線を戻した。


僕とは会話するつもりらしい。

僕が視線を外したから、こっちを向いてって事かな?


「確かに、ダンジョンが決める事だが…」


「あのー、えーと、キ、キス…したら出れるんですね?」


『ちゃんとしてね。出来たら出れるよ。ほっぺとかはダメだよ。ちゃんと(・・・・)お口にしてね』


選択肢は1択という訳です。しかも、直接お口同士じゃないとダメって釘刺された。お口って…。

このダンジョンは、とってもえっちです。


「しましょう。ーーー優しくして下さい」

俯いて服の裾を引っ張った。

恥ずかしいです……。


「いや、こういう行為は二人だけで…」


「僕も見られてるって分かってするのは、嫌ですけど…仕方ないじゃないですか」


これはヴィクトルさま主導なら全然事には及ばない感じです。


以前ダンジョンでキスした事ありましたけど、あれって見られてたって事でしょうか…。

嫌だぁ〜。


『条件を満たせばOKだよ。今回この部屋限定で測定できるようにしましたぁ。暇だったんで』

ポロンと弦楽器のような音がして、見遣ると文字。


「暇って…」


『いつか逆ルートで攻略してくる奴が出ると思ってたんだ。裏ルートです。頑張ってここを出て攻略してね』


「ヴィクトルさま、ズルじゃなくて、裏ルートらしいですよ」


ヴィクトルさまは悩んでらっしゃいます。

視線を下に向けて、顎先に拳を当てて何か考えてる? ダンジョンさんは楽しそうな感じだし? 彼は悩んでるし、僕は何がなんだかです。


「ここに入らなければ別ルートがあったって事か…」

ポツリと溢された言葉に、胸がキュッと締め付けられました。


「あ…僕の、所為…? ごめんなさい…」


目が合った瞬間、俯いてしまいました。

ヴィクトルさまが目を瞠っていた。しまったって思った? 驚いた? 僕が悪いって思ってる?


「いや、違う。私がもっと落ち着いて対処してたら、分かった事だったんだ。君は悪くない」


両肩に手を置かれて、覗き込むように言ってくる。必死さに真実だと思った。

肩の手に手を重ねた。


「しましょ? あの…できるだけ…見えない感じで…」


俯いて、両手で顔を覆ってしまった。

もう沸騰して溶けてしまいそう。


つむじに温もりを感じた。


コレはノーカンなんだよね…。


するっと彼に腕を回して抱きつきました。

彼の胸の弾力がとても気持ち良くて、温もりと匂いに身体の強張りが解けてゆきます…。


なんとなくエッチな気分になって来てて、なんとも早やで……泣けてきそうです。


ぐるぐると茹るような考えに、顔が熱くなってきて、恥ずかしい事になってます。ホント泣きたい。


ふと下を向いて、目撃してしまいました…。ヴィクトルさまの変化に……。


え?


思わず見上げてしまいました。


目が合った瞬間、お顔が近づいてきて、視界が、ヴィクトルさまでいっぱいになって、思わず目を閉じてました。

唇が合わさって。キスしてます!

しました!

ミッションクリアです!

終わったよ!

ヴィクトルさま?!

タムタムお胸を叩きますが、止まらない?!


荒々しいキスが始まってしまって!!!!


えー?!となりながら、タムタム頑張って叩いてみますが、びくともしなくて…諦めて、ヴィクトルさまに腕を回して、しっかり抱きついていました。


結果…

くったりするまでキスしてしまった。

軽い酸欠です。


抱っこで胡座をかいて座ったヴィクトルさまに跨るように座らされて…。

くったりとヴィクトルさまに凭れ掛かって、呼吸を整えます。


少し呼吸が落ち着いて来たら、ヴィクトルさまに手足を絡めてしっかり抱きついてました。


我が身の状態に気づいて、お胸に顔を押し付けて隠れます。


恥ずかしいったら!

この状態も十分恥ずかしいんですが…。


「エミル、目を開けて…」

甘い声。


見上げます。

あの赤い目がこちらを見ていません。


ふわりと暖かな空気と爽やかな草の香りの風、草木の緑の香りがします。

彼の視線の先を見遣りました。


ぼやける視界で文字の出ていた壁を見ました。

外です。外が見えます。

草原が広がってます。

森も見えます。


ここはダンジョンですよね…。

白い壁にアーチ状のレリーフの内側がなくなっていました。


白い壁には『報酬です。いい物を見せて貰いました』と光る文字。


人のえっちをいい物って……。えっちなダンジョンだ。

ぷんぷん!

鼻息荒く僕は怒ってます。


彼に抱っこされて壁のアーチを潜ります。


外です。驚きです。

ヴィクトルさまが踏みしめる靴底の音は、土の音です。


空を見上げる。

青空のようにも見えた空は、不思議な色合いで銀色というか金属のような光が満ちて、緩やかに鈍く輝いています。


どうやらダンジョンからは出てないような気がします。


特徴のある甘い香りがします。

絶滅危惧種と言われる植物の花の匂いだと、記憶の奥底から掘り起こされます。



ヴィクトルさまの腕から飛び降ります。


匂いの方へ駆けて行って、確信しました。


群生しています。

絶滅危惧なんてなんのそのッ。

左右を見て、辺りを見回します。


あっちもこっちも伝説や幻だらけです!


金色の万能草は?


キョロキョロ…ウロウロ…


「ヴィクトルさま! ありました。金色じゃないけど、万能草です。本当に存在したんですね」


手を伸ばしかけて、既のところで留めた。


「エミル、採取しないのか?」


「辞めます。これらはここにあるべきです。……スケッチしていいですか?」


「ああ、ダンジョンが追い出すまでいてやろう」


「そんなに時間は要りませんよ」


二人で声をあげて笑った。


僕たちが潜ったアーチは風景の中に不自然に白い部屋をアーチの形にくり抜かれた空間の向こうに存在してました。


どこに行ってもこちらを向いて、帰りはココだよと存在してました。


僕は夢中でスケッチしました。

手を動かしながら、触った感触や香りなど余白に書き込んでいきます。

ある程度書いたら、少し行った先にある植物も描きたくなって…。


「あー、あれもスケッチしたいですね。実験は…器具がないから無理か…」


横で座り込んでいたヴィクトルさまが暫く考えてるなと思ったら、空に向かって「おーい!」と呼びかけました。何が始まったんでしょう。


不思議な事を始めた彼を放っておいて、あちこち移動です。


ん?


スケッチしまくってると、突然頭の中に声が届きました。この感覚は覚えがあります。


『同胞の匂いがする。人の子、お前は愛し子か?』


『「ヌシさまのお友達ですか? 愛し子ではないですけど、仲良しさんでしたよ』」


ヴィクトルさまが近づいて来ました。


「私も話せないだろうか?」

手を差し出しました。彼は黙って握ってくれます。


彼の体液が自分の中にまだ残ってます。コレを媒体に共通魔法を発動させます。


「ここを管理しているのは、貴方ですか? この箱庭に通える許可が欲しい」

ヴィクトルさまの言葉をヌシさまの同胞さんに伝えます。僕は驚きと共に彼を見つめてました。そんな大それた事を!


『人の子と話すのは楽しい。いつでもいらっしゃい。ワシの事は、そうじゃなぁ〜…()(ぬし)とでも名乗ろうかの』


『「守りさまとお呼びしますね。ここに来れるのは嬉しいですが、あの部屋を通らないといけないのは…』」


『ふむふむ……分かったぞ。ちょっと話してくるかの…』


気配が希薄になった。なんだか頭の中を見られた気がする。

はうっ! きゃぁぁあぁあああ……!


あわあわしながら、ヴィクトルさまを見つめた。

ニッコリ笑って、答えてくれた。僕まだ質問してないのに。あー、こっちも繋がってた?


「コレだけの規模だ。管理者がいると思って呼び掛けてみたんだ。ダンジョンと話すのも有りかとも思ってもいたよ」


「ヴィクトルさますごい! 大好き! ありがとうございます!」


『ここへ来た部屋に魔法陣を設置してゲートを開けれるようにしておくと言っておる。二人でおいで』

守りさまの気配が近くなったと思ったら、優しい声が頭に広がる。


『「「ありがとうございます!』」」


ヴィクトルさまに抱きついていた。

嬉しいッ!


ふぉっ、ふぉっ、ふぉ〜

と守りさまが笑っておられます。


守りさまと語らいながら、スケッチをします。

同胞のヌシさまのお話も。

いつか会えるかもしれませんね。


楽しい時間はあっという間です。

お腹も空いてきたので、さよならして、アーチを潜り白い部屋に戻りました。


通路へ続く扉が開きました。

後ろではアーチが閉じてます。


トンデモナイお部屋でしたが、思わね出会いが沢山で、んー、良かったのか? 良くないような…。


ま、いいかッ。


ヴィクトルさまと手を繋いで帰路につきました。

指が絡んで、すりすり摩ってきます。

見上げると甘い赤い目と会いました。

僕も目を細めて、応じます。

照れ臭くて、指を絡めて握ります。

恋人繋ぎを深くして、身体を寄せました。




こういった感じのは如何ですかね?


グラントリーのお話じゃなくてごめんです( ̄▽ ̄;)


また何か思いついたらね。


あ、金色の万能草の話の回収忘れてた。

えーと、後日、書きますねσ(^_^;)


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ちょこっとメモ》


エミルは知識と意識は歳を重ねたおっさん。こちらに帰還して、身体が作り変わった事で、(燃えたので更に縮んだ。この辺はっきり書いてなかった^^;と思ってたが書いてたよ。)仕草や普段の思考が幼くなって来てる……気がすると密かに本人は悩んでるが、悩みはするが、すぐ忘れる。


ヴィクトルは、自分がエミルと出会ったエミルの年を超えて、完全に外見は逆転してしまった。

エミルは相変わらず、のほほーんとしてる上に更に可愛らしくなっていってて、愛おしくなって困ってる。


なーんてのが今の感じかな?(; ̄ェ ̄)


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