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男女六人殺人事件  作者: 落川翔太
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「じゅ、銃殺?」

 瞬太郎が恐る恐る訊いた。

「ああ、そうだよ。もしちゃんと見たいなら、もう一回見てくるといい」

 それから、壮介がぶっきらぼうに言った。

「壮介君、それって本当!?」

 その後、香奈がそう訊いた。

「ああ……。」

「銃殺だなんて、可哀想ね……。」

 香奈が小さな声で言った。

「一体誰が殺したんだよ!」

 それから、瞬太郎が大声で言った。

「だから今、それを探しているんでしょ?」

 亜衣が瞬太郎をなだめるように言った。

「でも、銃殺なんでしょ? この中に拳銃を持っている人がいるっていうの?」

 それから、香奈がそう言った。

「その可能性もあるんじゃないかな」

 すぐに壮介が答えた。

「そんな訳あるかよ。オレは持ってないぜ」

 それから、瞬太郎が言った。

「うちもそう」と、亜衣が言った。

「あたしだって」と、香奈が言う。

「僕も持っていないさ」

 貴紀が答えた後、四人の視線が壮介に向かう。

「……俺だって、持ってないよ」

 壮介はそう言うと、「けど、皆はこれで信用できるかい?」と四人に訊いた。

「信用はできないな」

 瞬太郎が答えた。

「うちも」と亜衣が言い、「あたしも」と、香奈も言った。

「俺だってそう。貴紀もそうだろ?」

 壮介はそう言い、「ああ」と、貴紀が頷く。

「分かった。それなら、一度、みんなのカバンの中身を見させてもらった方がよさそうだね」

 壮介はそう言うと、他の四人にカバンを持ってくるように指示した。

 貴紀たち五人は二階へ上がり、自分の部屋から持ってきていた旅行鞄を取りに行き、一階のリビングに戻った。そして、貴紀から順番にカバンの中身を皆で確認した。貴紀のカバンの中には、銃らしきものは入っていなかった。

 その後、亜衣、瞬太郎、香奈とカバンの中身を見たが、三人のカバンにも銃などもちろん入っていなかった。

「最後に、俺ね。さっきも言ったけど、俺のカバンの中にも銃なんてないよ」

 壮介はそう言って、自分の旅行鞄の中身を全部出した。

 案の定、壮介のカバンの中にも銃らしきものは見当たらなかった。

「誰も持っていないじゃないか」

 それから、瞬太郎が言った。

「そうみたいだね」と、貴紀が言った。

「そうか……。」

 その後、壮介が残念そうに言った。「この中に犯人がいると思ったんだけどな。誰も銃を持っていないとなると、誰か他に犯人がいるということになるなあ」

「やっぱり、部外者だろ? あの別荘の管理人が言ってた不審者とかなんじゃないのか?」

 それから、瞬太郎がキッパリと言った。

「不審者が?」

 壮介がそう訊く。

「ああ、絶対そうだって!」

「どうしてそう言えるんだ? なんでそいつはみゆきを殺したんだ! 証拠でもあるのか?」

「いや、証拠という証拠はないよ。ただ誰でもよかったんじゃない?」

 瞬太郎がそう言うと、「そんなはずはないだろ!」と、壮介が大声を上げた。

「誰でも良かったって、何だよ!」

「その不審者って、勝手に人の財布とか携帯とか盗むんだろ? そんな奴が狂っていない訳ないだろ?」

「だからって、そいつはみゆきをなんとなくで殺したのかよ!」

「きっとそういう奴なんだって」

「なわけあるかよ!」

「ねえ」

 その後、香奈が口を開いた。「もしかしてさ、みゆきちゃんはその人物が何かを盗んだのを見てしまったんじゃない?」

「盗むのを見た?」

 瞬太郎が訊き返した。

「多分ね。みゆきちゃんに見られてしまったその不審者は、見られてしまった以上どうすることもできなかった。だから、彼女を殺してしまおうって考えた、とか」

 香奈がそう言うと、「ああ」と、壮介が呟いた。

「それなら、納得がいく」

 壮介がそう言うと、「でしょ?」と、香奈が言った。

「でも、それってひどくない?」と、亜衣は言った。

「うん。まあでも可能性の話であって、実際にそうだったかは分からないけれどね」

 その後、香奈が笑ってそう言った。

「確かに……。」と、貴紀が言った。

「ねえ、それとね。さっきの銃の件だけど」

 それから、再び香奈が口を開いた。「まだ確認していない人が一人いるわ……」

「え?」

 香奈の言葉に他の四人が驚いた顔をした。

「誰だい?」と、壮介が訊いた。

「みゆきちゃんよ」


「ああ……。」

 壮介は思い出して言った。

「……確かに。まだ彼女のカバンを見ていなかったな」

 それから、瞬太郎が言った。

「みゆきが銃を持っているとは思わないけど」

 壮介がキッパリと言った。

「持っていたか持っていないかは、分からないじゃない?」

 香奈がそう言い、「ねえ、壮介君、悪いんだけど、みゆきちゃんの部屋からカバンを取って来てくれない?」と壮介にお願いした。

「……分かった」

 壮介はそう言うと、二階へ上がり、みゆきの部屋に入った。そして、みゆきの持ってきていた旅行鞄を持って、一階へと降りてきた。

「持ってきたよ」

「ありがとう。じゃあ、早速、中身を見てみましょう」

 香奈がそう言って、みゆきのカバンを開けて中身を全部出した。

「これって……。」

 中に入っていたそれを見るなり、一同は驚愕した。

 それは、()()だった。

「うそ……」と、亜衣が声を漏らした。「マジか」と、瞬太郎も驚くように言った。

「銃、だよね?」と、香奈が言った。

「そうだね……」と、貴紀は相槌を打った。

「どうしてみゆきちゃんが、銃なんか持っているんだよ?」

 それから、瞬太郎が全員に訊いた。

「知らないわよ」と、香奈が言った。「でも、これじゃあ、まるでみゆきちゃんが犯人みたいね……。」

「みゆきちゃんが犯人なの?」と、亜衣が訊く。

「みゆきちゃんが犯人な訳ないでしょ?」と、瞬太郎が答えた。「もう死んでるんだし」

「ああ、そっか」と、亜衣は納得したように言った。

「でも、みゆきちゃんが自殺したとも考えられるわ……。」

 その後、香奈がそう言った。

「みゆきが自殺? そんな馬鹿な……。」

 香奈の言葉に、壮介はうろたえるように言った。「みゆきが自殺するとは考えられない!」

「そうかしら?」

「ああ」

「じゃあ、どうして拳銃なんて持っているのかしら?」と、香奈が訊いた。

「ああ、思い出した……」

 少しして、壮介が口を開く。「護身用だよ」

「護身用?」

「そう。俺、前にみゆきから聞いたことがあるんだ。自分の身を守るために銃を持っているって。その時、どうしてって聞いたら、父親が警察官だから怨みある犯人に狙われることがあるかもしれないからだって、みゆき言ってたんだ!」

 壮介は思い出したように言った。

「そう……なんだ」

「うん」

「じゃあ、みゆきちゃんが持っているその銃は、彼女が単に護身用として持っていたという訳ね」

 香奈は納得して言った。

「そうだね」と、壮介は頷く。

「ねえねえ、一つ思ったんだけど」

 それから、ふいに亜衣が口を開いた。

「何?」と、香奈が訊いた。

「みゆきちゃんって、私たちよりも早く起きてさ、どうして一人で外に行ったんだろう?」

「それは……。」

 香奈がそう言いかけて、彼女は考える。

 亜衣のその言葉に、確かにと貴紀は思った。

 どうしてみゆきちゃんは起きてすぐに外へ出たのだろう。貴紀は不思議に思った。

「さっきの話でいけば、みゆきちゃんが不審者を目撃したんだろ? だから、それを追ったんじゃないの?」

 それから、瞬太郎がそう言った。

「それは殺される前の話でしょ? 違くて、みゆきちゃんが殺される前だよ」と、亜衣は言った。

「殺される前?」と、瞬太郎が訊いた。

「殺される前、つまり、みゆきちゃんが起きた後すぐのことよね?」と、香奈が亜衣に訊いた。

「そう」と、亜衣は言った。「朝起きて、みゆきちゃんはどうしてすぐに外に出たのかなの。なんで外に出たんだと思う?」

 亜衣が四人に訊いた。

「誰かに呼ばれていたから」と、香奈が言った。「それか、もしくはただ単に外の空気が吸いたかったからかしら?」

「誰かって、誰だよ」と、瞬太郎が訊いた。

「この中の誰かってことじゃない?」と、香奈が言った。

「オレらの中の誰かが?」

「それ以外にみゆきちゃんを呼ぶ人はいないでしょ」と、香奈が瞬太郎をたしなめるように言った。

「そうか。で、みゆきちゃんを朝っぱらに呼んだのは誰なんだ? 正直に言えよ」

 瞬太郎が全員を睨み付けながら、そう訊いた。

 しかし、誰も返事をする者はいなかった。

「あのさあ……。」

 それから少しして、壮介が口を開いた。

「さっき、みゆきの部屋にカバンを取りに行った時に、みゆきの部屋でこんなもの見つけたんだ」

 壮介はそう言うと、彼女の部屋に落ちていた一枚の紙きれを四人に見せた。

 四人はそれを見て、ビックリしていた。

 どうやらそれは手紙のようであった。その手紙にはこう書かれていた。


『みゆきへ 話したいことがあるから、起きたら外へ来て 壮介』


「ねえ、皆、こう言っちゃ信じてもらえないかもしれないけど、この手紙を書いたの俺じゃないんだ!」

 それから、壮介が恐縮したように言った。

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