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神様と使徒の異世界白書  作者: 麿独活
第一章 【魔物という存在】
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第一章7  『神様と魔物』

 フェルビナさんの訓練の際、講義において聞かされた話だが、魔物の原形となった神の使い魔は、世界の創造後に発生してしまうマナやオドの澱みを見つけ、吸収して流れを正常に戻すための小間使いだったらしい。

 様々な地に行かなければならなかった為に、動物から魚類まで色々な形態が生み出されており、その中にはヒト型も存在したそうだ。

 しかし、長年澱んだマナやオドを吸収した影響で核が異常を起こして突然変異を起こした……それが魔物の原形となったそうだ。

 突然変異した使い魔たちは、本来なら主である神からオドを供給されなければ、使徒と同じように消滅するはずだったのだが、突然変異により澱みを解消する為の吸収能力を肥大化させて、自給自足出来るようになり、完全に野生化してしまったらしい。

 変異した使い魔たちは、澱んだオドやマナの影響か性格は凶暴で残忍、他の生物を見るや否や見境なしに襲い掛かり、時には喰らい、時には犯したりとやりたい放題に暴れまわったそうだ。

 すぐさま、神たちは暴走した使い魔達を葬り去ろうとしたが、そこに異議を唱えた神がいた。その神の名はロキウス――魔物の原型である使い魔を生み出し、利用する方法を考案した張本人だった。


 彼の主張は、突然変異とはいえ、彼らは一つの存在として独立を果たした者達であり、それを失敗作と位置付け処分するのは、神の傲慢だと訴えたらしい。

 自分のミスでこのような問題に発展したのに、なにを都合のいいことを言っていると批判が殺到したそうだが、彼の主張に同調する他の神も現れ、神界は真っ二つに割れる事態に発展した。

 そうこうしている内に、使い魔たちはさらに厄介な進化を遂げる。なんと遺伝子を獲得してしまったそうだ。様々な事例が報告されており、他の生物を犯した際に、犯された生物が子を宿していた場合、その子が使い魔の性質を強く受け継いで変異した種もあれば、他の生物と同化することによって得たり、時には捕食によって遺伝子を自らの物にした種もいたそうだ。これが魔物という存在の始まりとなった。

 余談だが、それを聞いた処分反対派の中には、感動で涙を流した者もいたらしい……。


 遺伝子を手に入れて、変異や増殖に歯止めが利かなくなった上、その頃の人間はまだ知能も低く、戦い方も原始的で魔物と戦うにはあまりにもひ弱な存在だった。結果、様々な異世界で多くの被害が出始めて問題は悪化していった。

 このままでは、魔物によって人間が淘汰されることになると、中立を保っていた神(実はこの神が、アースディア様らしい)が妥協案を提示した。魔物を一生物として認めるなら、同じく一生物として生きている人間に対しても、慈悲を与えるべきだ、と。

 魔物は使い魔が原型になっているため、人間より明らかに強い力を持っている。これでは不公平だ。だから、魔物に抵抗出来る力を人間に与え、同じ生物として拮抗出来るよう、パワーバランスを調整すべきだと。

 流石にロキウス側もその意見には異を唱えられず、魔物への対抗手段が人間に与えられ、人間たちはその力を持って魔物と戦い、一方的な淘汰は避けられたそうだ。

 その後、魔物たちは遺伝交配を繰り返していたが、遺伝子を手に入れた影響で、種として縛られるようになり、異種交配も次第に出来なくなって、種としての形がそれぞれ定まっていったらしい。

 最初の頃の、見境の無い凶暴さも何代にも渡る遺伝交配により、知性や理性も生まれ始め、種としての本能を持ち始めて生物として安定した。


 そして、魔物の存在は思わぬ副次効果をもたらした。それがさっきの魔核の存在だ。使い魔の核は、魔物となった後は失われた物と思われていたが、オドやマナを吸収する特性が引き継がれたことにより、魔物にも存在していた。これが後に魔核と呼ばれ、その魔核が人間たちに恩恵をもたらした。

 魔核は、澱んだ不純物交じりのマナやオドを吸収して精製された物だったが、言わば凝縮された力の結晶であり、様々な利用価値があった。その利用方法の一部を人間たちに伝えることにより、人間は魔物を利用して新たな文化形態を構築することに成功した。

 結果、魔物という存在は、人間世界に活用される存在に落ち着くことになった。先ほど使った特殊能力『源魂回帰』も、魔核を取り出しやすくするために元使い魔という性質を利用して、考案された術式らしい。よって魔物がいる世界では、必ずこの特殊能力も人間に伝えることが義務付けられているそうだ。


 他にも魔物は、人間同士が争う状況を緩和する存在にもなった。人間は力を付けると、その力に溺れ、同族に向けて奮う野蛮な性質を持ち合わせていたが、魔物という自らを脅かす存在が身近にいると、同族よりそちらに向けることで、その性質を緩和することが出来たそうだ。

 実際、魔物がいる世界といない世界では、人間同士で殺しあって失われる命の数は劇的に違うらしい……もちろん、魔物によって失われる命も数多くあるが、人間同士で殺し合いが起こって失われる数に比べれば、明らかに桁が違う。よって、人間同士の争いの抑止力にも魔物は活用されるようになった。

 だが、魔物にも問題がない訳ではなく、突然変異などで予測不能な進化をすることがあり、特に特異個体(ユニーク)と呼ばれる存在が生まれる危険性があった。

 それらは天災規模の破壊を生み出すことがあり、中には世界そのものを滅ぼしてしまう魔物も生まれたらしい。それらが生まれるきっかけや、原因、どういう性質、能力を持つかを調査、検証するために作られたのが、俺たちが今いる魔物の異界という訳だ。

 そんな魔物の成り立ちを思い出していると、シオンが少し大きめの魔核を持ってそばに来る。


「トウマ、ゴブリンリーダーの魔核あったよ」


「ああ……やっぱり特異個体(ユニーク)の魔核は少し大きいな」


「だね……といっても所詮ゴブリンだから色はいまいちだけど……」


 そう言いながら、シオンは魔核を手のひらでポンポンと弄ぶ。これらの魔核は、後に研究材料として利用されるらしいので管理している神に提出することになっている。そろそろ用意した袋に一杯になってきたので、一度提出したほうが良いかも知れない。


「どうする? そろそろ管理している神様に提出しに行くか?」


「ウッ!? ……そうだね~……気は進まないけど……」


「まあな……気持ちはよく分かる……」


 この異界を管理している神、ガーディウスのことを思い出し、出発前にあった一悶着が脳裏に浮かび上がって、二人揃って溜息を付いた。

 二人して、何故こんなに気分が落ち込むのかというと、話はこの異界に出発する三日前に遡る……。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



フェルビナさんの地獄のような戦闘訓練開始から、三ヶ月後……なんとか厳しい訓練を乗り越えたある日、戦闘訓練の総仕上げとして、アースディア様の指示で、俺たちにとって初の任務が言い渡された。

 内容は、レベルEの異界での魔物の調整討伐の任務。特に重要と説明されたのが、魔物の異常繁殖によって起こる、繁殖(ブリード)暴走(スタンピード)を未然に防ぐこと。

 繁殖(ブリード)暴走(スタンピード)とは、魔物の群れの中に特異個体(ユニーク)と呼ばれる存在が現れることによって発生する現象で、急激に個体数が増え、周りの魔物などを駆逐して爆発的に勢力を拡大してしまう現象らしい。

 放って置くと辺り一帯の魔物を全て駆逐するほど勢力を拡大させ、特異個体(ユニーク)もドンドン強くなって進化してしまう為、手が付けられなくなる前に特異個体(ユニーク)が存在する群れは定期的に討伐する必要があるそうだ。

 なにやら初っ端からおっかない任務だが、初めての任務となって浮足立つ俺たち。そんな俺たちに少し不安そうな表情をしながら、フェルビナさんは任務先となる異界の管理区域へと、俺たちを案内していた。


「トウマと任務~♪ 二人で任務~♪」


 任務が決まってからというもの、ご機嫌のシオン。俺の手を握ってウッキウキで任務先の管理区域に通じる通路を歩いていた。因みに、これから高位の神に会うことになる為、二人とも普段着から正装へと着がえさせられた。

 俺は、白の長袖のシャツに長ズボン、その上に黒のロングコートを着ている。金の糸で所々に刺繍が施されていてちょっと豪華だ。男の使徒が着る正装らしく、フェルビナさんに以前に何着か用意して貰ったものを着ている。

 シオンは、俺と出会った時に着ていた服装である。あれが正装らしい。


「シオン、はしゃぐ気持ちは分かりますが、遊びではなく任務だということを忘れては駄目ですよ!」


「分かってる~♪」


 俺の少し前を歩いているフェルビナさんが少し振り向きながら注意されるが、シオンの返した返事はお気楽な物だった。あれは絶対に分かってない返事だな……まあ、気持ちは分からないでもない。実を言うと、俺もワクワクしていた。

 いきなり初任務が魔物の討伐と聞いた時は、え!? と思ったが、未知の世界にやっと行けると思うと気持ちが昂る。


「フェルビナさん、異界ってどんな所なんでしょうか?」


 これから行く場所の最低限の事前情報は入れておいたほうが良いと思い、フェルビナさんに質問をする。


「そうですね……簡単に言ってしまえば人間のいない魔物達の世界です。訓練の最中に、魔物に関して講義させていただきましたが、魔物は不安定な存在です。いつ、特異個体(ユニーク)が生まれるとも限りません。そのきっかけや、魔物の生態を観察、調査するために作られた世界になりますね」


「なるほど……なぜ異世界じゃなく、異界って言うんですか?」


「制限や規模による差です。あくまでも魔物を観察、調査する為の世界ですから、管理者であっても大きく調整が行えない制限があるんです。それに、それほど大きくもありません。あるのは大陸一つで……そうですね、地球基準でいうと、オーストラリアほどしかないでしょう」


 オーストラリアほどしかないって、それでもかなり巨大だな……そこに魔物がわんさかいる訳か……危険はないんだろうか、と少し不安に思う……そんな俺の顔を見ていたフェルビナさんが、不安を取り除くように言う。


「魔物の世界と言っても、今回行く異界は最低ランクのレベルEです。今のあなた達なら、問題にならない魔物しかいませんから大丈夫ですよ」


「……そうですか」


「大丈夫だよ、トウマ! いざとなったら、ボクが守ってあげるから!」


「それはそれで、大人としてのプライドがだな……」


「ウゥ~……また子ども扱いして!」


 そう怒りながら、繋いでない右手でボディーブローを打ってくるシオン。ボスッという、少し強めに良い感じで鳩尾に決まったので、思わずオフッと噴き出して腹を抱え、その場にうずくまる。


「ナ、ナイスパンチ……」


「フンだ!」


 そう言ってそっぽを向くシオン。最近、この手のじゃれあいに遠慮がなくなってきた。どうも見た目や仕草が幼いので、つい子ども扱いしてしまう。

 そんな俺たちの様子を少し呆れながら見ていたフェルビナさんが、少し溜め息を付きつつ話しかけてくる。


「二人共、じゃれあうのはそこまでにして下さい。今回の任務、魔物はそれほど問題ないですが、管理者の神は用心しなければならない相手ですからね」


「管理者の神?」


 腹を抑えて、立ち上がりながらフェルビナさんに聞き返す。


「これから行くレベルEの異界の管理を担っている上級神です。名をガーディウス様と言います」


 中級神ではなく、上級神……アースディア様と同じ高位の神様なのか。確かに失礼が無いように気を抜かない方が良さそうだが、フェルビナさんの用心という言葉が引っ掛かる。

 それに、先ほどから口調がやや固い……礼儀に厳しいフェルビナさんにしては、言葉に少し棘がある雰囲気だ。


「なにかあるんですか? その神様」


 そう聞くと、少し険しい顔をしてフェルビナさんは説明し始めた。


「……ガーディウス様は、神界でも厄介者扱いされている神です。過去に酷い問題を起こして、その後始末を私が行いました。そして制裁として神の権限の多くを奪い、低レベルの異界の管理という神としては底辺とも言える役職に強制的に就かせ、これから行く区域に軟禁しているんです」


 なにやらとんでもない神様みたいだな……いったいなにをやらかしたのか気になるが、聞くのを躊躇う雰囲気がフェルビナさんから発せられている。

 なんだろう……案内してくれている時から感じていたが、少しイラついてないかフェルビナさん。

 ふと先ほどの言葉に、『後始末を私が行いました』という言葉があったのを思い出し、ある質問を投げかけてみる。


「あの……フェルビナさん。もしかして、そのガーディウス様って神様のこと、嫌っていますか?」


 少しの沈黙の後、フェルビナさんはニッコリ笑って答えた。


「ええ、大っ嫌いです」


 コワッ!? すこぶる笑顔だったが、いつもの温かみのある笑顔ではなく、凍てつくような微笑みだった。心底嫌っているという気持ちがその言葉からも感じられる。どうやら図星だったみたいだ。

 本当になにをしでかしたんだ、そのガーディウス様とやらは……フェルビナさんに、ここまで言わせるということは相当だと思う。

 好奇心に駆られるが先ほどの笑顔を思い出し、触らぬ神に祟りなしと思って聞くのを止める……くわばらくわばらと心の中で呟いていると、そんな俺の思いを知ってか知らずか、シオンが遠慮なしに突っ込む。


「そんなにフェルビナに嫌われるなんて、いったいなにをしたの?」


 こういう時、子どもは遠慮がない……こっちがその話題は避けたというのに、平気で踏み込んでいく。……しまった、また子ども扱いしてしまっている。

 しかし、正直なところ気にはなる。あのフェルビナさんがここまで嫌悪感をあらわにするなんて、初めて見るからだ。

 フェルビナさんは、俺を見て少し逡巡するも話してくれた。


「ガーディウス様は、神々の中でもかなりの古株で、アースディア様とも肩を並べるほどの優秀な神でした。しかし、魔物の誕生時にその魅力に取り憑かれ、異常とも言える魔物に対する偏愛振りで、数々の問題を引き起こした方でもあるんです」


 魔物好きの神様? そらまた随分と特殊な趣味をお持ちだな……この前の魔物の講義にも出て来たロキウスだったか、その神様の同類ってところか。フェルビナさんの話は続く。


「特に酷かったのが、人間を魔物の糧に利用した、特異個体(ユニーク)の意図的な発生実験でした」


「に、人間を糧にですか?」


 突然の発言に驚き、聞き返す。


「ええ……あの神は、人間は魔物を育てる為の餌程度にしか考えていないんです。まだ神々の領域が不可侵というのが暗黙のルールだった時に、あの神は自分が生み出した世界でその実験を繰り返し、それによって得られた研究成果を提供する代わりに、他の神々の世界にもその実験で生み出した魔物を放って成果の検証実験を行ったんです。……結果、それで滅びた世界もあります」


 な、なんつう神様だ……流石に元人間として怒りが込み上げる。そして同時に、人間をそんなぞんざいに扱う神もいると知って、少なからずショックを受けた。そんな俺を見て、少し暗い顔をするフェルビナさん。


「……トウマ様にとっては、あまり気持ちのいい話ではないでしょうね。でも、残念ながら神にとって人間は、必ずしも第一に考えるものではないのも事実なんです。ガーディウス様も、そのお一人です」


 ……だからさっき少し俺を見て、話すのを躊躇(ためら)ったのか……しかし、シオンの話から、人間を道具のように扱う神がいることは分かっていたが、まさか魔物の餌に使うというのは、想像していなかった。

 つくづく自分の元居た世界の神様が、アースディア様で良かったと実感する。


「なぜ人間を餌に使ったの? 人間を食べれば、魔物から特異個体(ユニーク)が発生するなんて初耳だけど……」


 シオンが疑問に思ったのか、そう質問する。言われてみれば確かにそうだ。


特異個体(ユニーク)が生まれるきっかけは、魔核の異常発達によるものと考えられています。そして、その異常発達をもたらすのが、大量の変質したマナやオドを取り込むことと言われているのですが、それに人間が適していたんです」


「どういうことです?」


「人間は、強い感情を持つが故にオドが変質しやすいんです。……マナやオドがその者の性質によって、色を変えることは知っていますよね?」


「はい」


 それは初期の訓練中に実際に見た。マナやオドは、宿す者の性質によって色を変える。純粋なマナは、白い色をしているが、シオンに取り込まれたマナは黄色に変わっていた。オドも同じく、送った相手が取り込んだ時点で色が変わる。俺は緑、フェルビナさんは薄紅色だった。


「それは、マナやオドが宿す者の魂や精神の影響を色濃く受ける為です。本来は、色が変わる程度で特に大きく変化はしませんが、一つだけ明確にマナやオドが大きく変異してしまう条件があるのです」


「大きく変異してしまう条件?」


「負の感情です。怒りや憎しみ、恐怖……そう言った負の感情に強く晒されたマナやオドは、大きく変異してしまうんです。そして人間は、負の感情に流されやすい……」


 それを聞いて、シオンは納得したような顔をする。


「……なるほど。そういう面があるから、人間は変質したオドを魔物に与える都合のいい餌になる……人間は繁殖能力も高いから、得られるオドが微量でもそれで賄えるって訳だね」


「ということは、その神は人間の負の感情をワザと煽る真似をしてから、魔物の餌にしていたってことですか?」


 フェルビナさんが心苦しい顔をして、そうですという感じで頷く。……胸糞悪い話だ。これから、そんな神が管理する異界に行かなければならないのか。


「……」


 少し俯き沈黙してしまった俺を見て、シオンとフェルビナさんが心配そうに声を掛ける。


「ごめんね、トウマ。ボクが余計なことを聞いちゃったから……」


「私も申し訳ありませんでした。出発を前にしてこんな話をお聞かせしてしまって……」


 その言葉を聞いて、俺は顔を上げて、幾分、表情を引き締めて答える。


「いえ……むしろ聞いておいて良かったです。なにも知らないまま行くより全然違いますし、お陰で気が引き締まりました。それと、浮かれていて申し訳ありませんでした」


 そう言ってフェルビナさんに頭を下げる。フェルビナさんがイラついていたのは、そんな相手のところに、俺たちを送り込むことに不安を覚えていたのもあるのだろう。

 そんな時にこちらは浮かれてばかりいたので、フェルビナさんに申し訳なく思い、頭を下げる。それを見ていたシオンも同意する。


「そうだね、ボクも浮かれ過ぎてた。ごめんね、フェルビナ」


 そして、シオンも俺に倣い、二人並んで頭を下げた。


「いえ、分かってくれて嬉しいです。とにかく気を許してはならない相手ですから、十分気を付けて下さいね」


『はい!』


 顔を上げ、二人一緒に声を合わせて返事をする。フェルビナさんは、そんな俺たちを見て微笑み、目的地への案内を再開させた。



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