表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転生したもののトカゲでしたが、進化の実を食べて魔王になりました。  作者: トモモト ヨシユキ
2 初めての人間の町と望まれぬ王子
20/121

2ー8 記憶の交換ですか?

 2ー8 記憶の交換ですか?


 オウラは、どぎまぎしている俺に高飛車に微笑みかけると、俺から離れていっていた飛竜のボスの背を撫でながら問いかけた。

 「これは、ワイパーンのリーダーのダルメスだ。気性も荒いし、誰にでもなつくわけではない。それが、どうやらお前を自分達よりも上の身分だと認めて従おうとしている様だ」

 オウラが竜から離れて俺の側へと歩み寄ってきた。

 まだ子供とはいえ、オウラは、歴戦の勇者の風格を持っている。

 長い尻尾と額に残っている銀色の竜の鱗が竜人族の証なのだろう。

 「わたしは、ワイパーンの世話役として青竜族よりこの地に遣わされた者だ」

 オウラが俺の方へと尻尾を伸ばしてくる。

 俺は、無意識の内に自分の尻尾をオウラの尻尾に絡めていた。

 なんだか、暖かいものが流れ込んでくるのを感じて俺は、体を震わせていた。

 それは、竜の要約された歴史のような記憶。

 俺は、今、俺とオウラがお互いの記憶を交換していることを理解した。

 これは、どうやら竜人族の挨拶のようなものらしい。

 しばらくしてオウラが尻尾をひくと、驚愕の表情をして俺を見た。

 「貴様、『渡り人』なのか?」

 「『渡り人』?」

 俺は、まだぼうっとしている頭をぶんぶんっと振った。

 「なんだ?それは」

 「ふん」

 オウラは、面白そうに俺を覗き込んだ。

 「なんだ。何も知らないのか、お前は」

 オウラは、俺に挑戦的な笑みを浮かべて見せると、俺たちに背を向けた。

 「お前は、ライディア殿の客なのだろう?ならば、また、会うこともあるだろう」

 そうなの?

 俺は、背を向けたオウラに声をかけようとした。

 だって、聞きたいことが山ほどあるし!

 しかし、それは、叶わなかった。

 オウラは、後ろも振り返らずにさっさと去っていった。

 「あっ!」

 俺は、オウラの後を追おうとしてオルティスに呼び止められた。

 「こちらへ、クロージャー様」

 一瞬、意識を反らした隙にオウラを見失ってしまった。

 俺は、文句を言おうとしたが、さっさとオルティスが歩きだしたものだから、仕方なくリリウスと共にオルティスの後に続いた。

 オルティスは、俺とリリウスが初めて見る重厚な、ちょっとした要塞といった感じの辺境伯の館へと導いていった。

 赤い絨毯の敷き詰められた廊下を音もなく歩いていくオルティスの後ろを俺たちは、キョロキョロしながらついていく。

 長い廊下の灰色の壁には、何枚もの先祖の肖像画らしき絵が飾られていた。

 その中には、ライディアによく似た金髪の天使のように美しい少女の姿もあった。

 俺が足を止めて少女にみいっていると気がついたオルティスが俺に教えてくれた。

 「それは、ライディア様の母君のラウラ様のご幼少の頃のお姿でございます」

 「へぇー」

 これが、この国の正妃か。

 俺は、少女の姿をじっと見つめていた。

 確かに、美しいけど、なんだか、弱々しいな。

 俺がそう思っていると、オルティスが語り始めた。

 「ラウラ様は、ご病弱でライディア様は、お小さい頃より寂しい思いをされてこられました。その上、この度のお父上様よりのご仕打ち」

 オルティスが涙ぐんでいる?

 俺とリリウスは、オルティスの言葉に耳を傾けていた。

 オルティスは、続けた。

 「ライディア様のこの度の都落ちは、国王陛下のご命令によるものでございます」

 はい?

 俺は、てっきりライディアが自ら王都を離れたのだとばかり思っていたんだがな。

 オルティスは、ごほんと咳払いをするとまた、長い廊下を歩き始めた。

 「こちらでございます、クロージャー様」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ