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王国勇者は試練の洞窟へ

「はははは!魔物がまるでバターのように切れる!」


平原でのゴブリンを真っ二つに切り裂く。俺の勇者としての才能と、聖剣の力。それを合わせれば勝てない敵などいない。


「さすが勇者様。強すぎる」

「流石アル!向かうところ敵なしね!」


そう言って左右から抱きついてくる美女の2人。うむ。苦しゅうない。


「試し斬りも終わったし、次は聖なる鎧だ!これで無敵の防御力を得られる。2人とも…付いてきてくれるか?」


「「もちろん!」」


試しの祠の次は試練の洞窟。国からの許可を得て、そこに向かっている途中だった。

聖剣を手に入れたことで無敵の攻撃力を手に入れ、尚且つ国から莫大な資金が提供された。

近くの街に着いたら豪華な宿でしっぽりと一泊して、英気を養ってダンジョンに向かおう。


そうして俺達勇者パーティはダンジョン近くの町へと向かった。








朝起きると可愛いエリーと美人のアンジュから熱烈なおはようのキス。しばし裸で2人と抱き合い、俺の気が済んだところで着替えて宿を出る。


馬車で少し走ると、白い石柱が見える。

勇者専用装備のあるダンジョンは特別だ。普通のダンジョンと違い、神々しい入口で神聖なる雰囲気を感じる。

その建物を見て気を引き締め、俺達はダンジョン内へと入って行った。



前回の祠が全10階層だった。だからこのダンジョンもそのくらいだろう。

1階層に足を踏み入れた途端に狼のような真っ黒い魔物が現れる。祠と同じ魔物だった。


「なんだ。拍子抜けだな。あのゴミ野郎が容易く一刀で殺してた魔物かよ」


俺は剣を抜き、後ろの2人も戦闘体制に入る。

魔物もこちらを認識したようで、グッと屈み、こちらに飛びかかる。


「オオオォォォン!!」

「なんだ!?遠吠え?うるせぇぞ雑魚!!」


オオカミに向かって真っ直ぐに走る。


聖剣を上段に構え、オオカミに向かって振り下ろす!


「ふん・・・雑魚め・・・?」


振り下ろした先に狼はおらず、目の前から消えていた。

ダンジョンに吸収された?


「勇者様!上!ファイヤアロー!!」


エリーの魔法が俺の真上に飛んでいく。そこに張り付くように佇んでいた魔物は、即座に飛んできた魔法を避ける。


「雑魚のくせにすばしっこいやつだ!」


再び狼のような魔物に突撃し、剣を振るうが当たらない。


「エリーバインドだ!」

「分かった。サンダーバインド!!」


広範囲で当たれば麻痺するサンダー系の魔法さすがに避けれまい!動けなくなったあいつを切り飛ばして終わりだ!!


そう思っていた。


「嘘・・・あれも避けるの?」


魔物は嗅覚にて魔力を感知しているのか、エリーの魔法を完璧に避けて見せた。


「不味いわ!!アル!奥から大量の魔物の反応が!!」

「なんだと!?最初の遠吠えは仲間を・・・」

「どうする勇者様?大魔法を使えば一網打尽にできるかもだけど・・・」

「1階層では引き下がれない・・・エリー頼む」


大魔法を使えばエリーはこの先当分何も出来ない。魔力切れを起こすからだ。


こいつとは相性が悪かっただけ。この先は聖剣のパワーで行けるはずだ!


「大地の神よ 我らを見守りし地母神よ 我に仇なす敵を穿て グランドギガランス!!」


洞窟内の至る所に大きなトゲがドドドドンッと生えていく。

避けるすべはない。避けられるはずがない。




そう思っていた。





「嘘・・・数匹逃した・・・」

「なっ!?」


トゲの間をくぐり抜け、数匹がこちらに向かってくる。


「くっ!撤退する!」

「分かったわ!」


アンジュがエリーを方に担ぎ、一目散に走る。


「追いつかれる・・・」


後ろの方で2人が徐々に魔物に追いつかれそうになっていた。


そんなの関係ない。自分は生き延びなければならない。たとえ賢者と聖女を犠牲にしても。

勇者とは唯一無二の存在なのだから。


だから俺は振り返らない。2人が無惨に食い殺されようとも。


「勇者様っ!」

「うるせぇ!お前が魔法で殺せなかったのが悪い!お前たちで何とかしろ!!」


そう言って駆け抜ける。出口まではあと少しだ。


「これでも喰らいなさい!!」


そう言ってアンジュは小さな玉を投げる。地面に当たった瞬間に眩い光を放ち・・・。







命からがら何とか出口までたどり着いた。アンジュとエリーも無事だった。


しかし・・・1階層すらまともに攻略できない事に頭を悩ませた。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~




「タンク役をパーティに入れよう」


俺はそう2人に提案した。今回の敗因は、やはりゴミとはいえ、肉壁が無くなったのが原因だろう。


「そ・・・それがいい」

「私も賛成ね」


昨夜からエリーの様子がおかしい。ベッドに入ってこないし、俺に対して距離があるように感じる。

1階層を攻略できなかった負い目でも感じているのか?


「気にするなよエリー。お前のせいじゃない。足りなかったものがあっただけだ」

「うん・・・そうだ・・よね」

「魔物に襲われそうになって怖かったのね。ほとんどの怪我は私が直せるから安心していいのよ?」

「ありがとう。アンジュ」


(勇者様は私たちをいとも簡単に切り捨てようとした・・・それに・・・あの魔物を瞬殺してたあいつ・・・もしかして私たちは・・・とんでもない過ちを犯したのでは・・・)


「どうしたエリー何が心配事か?」

「なんでもない。勇者様」


(パーティとのコミュニケーションも取れないあいつが・・・そんなまさか・・・だよね)

ざまぁされる側は圧倒的に悪どい方がいいと思ってますが・・・言葉足らずキャラ好きなんだよなぁ・・・どうしましょう・・・

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