女神と魔王
最終話です
「レン。この世界の創世記のお話って知ってます?」
「んー・・・詳しくは知らないけど、触りだけなら?確か女神と魔王のお話だよな」
街から街へと移動する道のさなかで、マリーとレンのいつもの何気ない会話。
「詳しく」
とエリーが後ろから顔を出す。
「実際魔王と戦った私たちには聞く義務があるわよね」
マリーの隣からアンジュが会話に参加する。
「少し悲しい物語なんですけどね。作者は不明で、嘘かホントかもわからないおとぎ話です」
かつて世界は平和であった。人々に争いはなく、皆が全てを分かち合い、笑いの絶えないそんな理想の世界だった。
そんな中、一人の少女と一人の少年が恋に落ちる。
二人は愛を育み、幸せに暮らしていた。
しかし・・・少年を愛していたのは、一人だけではなかった。
少年を奪われたと勘違いした女性は、少年を取り戻すために動く。
この世界で初めて、嫉妬という悪感情が生まれた瞬間でもあった。
その女は狡猾であった。時間をかけ、周りに少女の悪い噂をばらました。もちろん嘘だが、疑うということを知らない人々は、その噂を真に受けた。
そしていつしか少女の周りに味方がいなくなり・・・。
少年が少女の為にと遠くへ花をつみに行き、帰ってくると・・・人が生きたまま焼かれている場面に出会う。
その焼かれている人物とは、少年の愛していた人だった。
ニヤリと笑う女が言った。
「可哀想な人。あんな女に騙されるなんて・・・これからは私があなたを愛してあげるわ」
少年は叫んだ。愛する人を失った悲しみからか・・・自らの体に収まりきらない憤怒の感情からか・・・。
少年は目の前にいた女を殺した。次いで周りにいた人々を殺した。
目に映る全ての生物を殺した。
動物も、植物も、小さな虫も、人も、全て全て全て全て全て殺した。
少年はいつしか人ではなくなり、化け物となった。
動くものを全て殺す、憤怒の魔王へと・・・。
そして・・・そんな彼を止める為に、少女は世界に身を砕いた。
無垢で純粋な彼女は、死して神へと至るはずだった。
しかし・・・愛する少年の為に、この世界の礎となる。
その身は剣となり、盾となり、鎧となった。
その血は彼の力を分散する為の石となり、地下に現れた。
その想いは、彼を止めるための力を人に与えた。
そうして・・・女神の想いを宿した三賢者と、女神自身である聖武具。そして各地に散らばるダンジョンが生まれた。
魔王は殺せない。何故ならば、唯一魔王に対抗できる女神の力は、魔王を殺す為のものでは無いから。
幾度となく蘇る魔王と、それを止める人々の戦いを終わらせる為には・・・彼と女神を引き合せることなのかもしれない。
「こんな感じですね」
マリーが語り終わる。
エリーとアンジュは真剣な顔で聞いていた。
「案外今頃イチャついてたりしてな」
「幸せになって欲しいわね・・・」
魔王と女神は今2人だけの世界にいる。ならばもしかしてと、4人は妄想を膨らませる。
「結果が分かるのは・・・1万年後」
「さすがに私達は生きてないですが・・・続きが気になるですね」
「大丈夫だよきっと・・・魔王は世界を壊そうと思うほど、女神を愛してたんだから・・・」
「レンは私のためなら魔王になるです?」
「なるなる。でも・・・そうならない方がいいけどな」
「マリーは純粋無垢には程遠いから大丈夫ね」
「なっ!?」
「レン。私が捕まったら助ける?」
「そりゃ助けるけど・・・」
「嬉しい」
そう言ってエリーはレンの腕に捕まろうとするが・・・。
「ピピーッ!レン様から1m以内に近づかないでくださいねー!」
ドロシーがエリーとレンの間に現れ、距離を離す。
「ナイスですドロシー!全く油断も隙もないです。レン」
マリーが手を差し出す。その手をレンがとり、手を繋いで歩く。
「レンがもし魔王になったら・・・私が助けてあげるから安心するです!」
「ははは。俺はマリーを失わないように頑張るよ」
笑い合う2人はこの先きっと・・・。
お互い支え合いながら、幸せに生きるだろう。
そう確信し、私は筆を置かせてもらうこととしよう。
ここまでお読みいただいた方。お疲れ様でした。
こんな拙い小説を読んでいただきありがとうございました。
小説を書くのは楽しいので、まだまだ続けたいと思います。
機会がありましたら次回作でお会いしましょう。
さようなら(ヾ(´・ω・`)




