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洗脳するもの、されるもの


 チハルのおかげで悩むことなく、エルードの街中に入れたうちが一番最初にやらないといけないと思ったことは、この街の入場制限の解除である。


 前に、父の紹介でこの街のお偉いさんの令嬢に勉強を教えて欲しいとか言われた時に、独裁制と民主主義制の利点と欠点について話をした上で、今の国王制は将来的には淘汰される政治体形だとかいう話をしたら、反社会的だと追い出されてしまったんだよ。

 実際に、異世界から来た転生者の話をまとめた本を読んでみると、異世界では国王制を取っている国は殆どないみたいなんだよねっ。

 だから、この世界でもその内そうなる可能性が高いんじゃないかなぁと思ったんだけど、ここの公爵様には認めて貰えなかったんだ。

 まぁ領民を奴隷と同一視してるような人だから、そういう国民皆平等みたいな考えは受け入れずらかったのかもしれないね。

 そんな訳で、邪教を娘に教えて洗脳しようとしたとかで処刑されそうになっちゃったんだよ。

 仕方がないから当主を人質にとって脱出したら、この街で指名手配を受けてしまったんだ。

 本当に【洗脳】するんなら、そんな手間暇かけてやらないで魔法を使うって言うのにねっ。

 失礼しちゃうよ。

 そんな過去の出来事のせいで、何もしなくても捕まる可能性が非常に高いから、公爵家に乗り込んでとっとと【洗脳】して、手配を解除したかったんだ。


 それなのに、チナツの奴が大広場でコンサートとか謎な楽しそうな事をしているから……。

 思わず積極的なコールをしていたら、周りにいる衛兵に見つかって捕まっちゃったよ。

 それにしてもチナツが恥ずかしそうにしながら、歌って踊ってたのは面白かったなっ。

 カメラで録画もしたし、後で兄様にも見せてあげないと。

 チナツも何だかんだで真冬には甘いから、真冬を使って唆せば、今度はヒラヒラの服を着て踊ってくれるはずだ。

 何であんな所でコンサートをしていたのかは分からないけど、良いものを見せて貰ったよねっ。

 今後の楽しみが増えたよ。


 それにしても、この街も牢屋の作りは変わらないんだねっ。

 王都やイーストウッドと一緒だ。

 布団とトイレがついている以外は何もない。

 こんな可愛い女の子を牢屋にぶち込んでいるのに、看守は男だしね。

 流石にうちも兄様以外の男の前で粗相をする気にはならないんだよっ。


「ねぇ看守さん。最近、この街で何か面白い事はなかったのかなっ?」

「犯罪者が無駄口を叩くんじゃない」


 暇潰しに看守を弄ろうと思ったのに、にべなく断られてしまったよ。

 つまんないの。

 正直、こんなくだらない所であんまり時間潰したくないんだよね。

 チハルは多分兄様の所に向かっただろうし、チナツだって真冬と合流したって事は兄様とも合流できるって事だろうし。

 つまり、現状うちだけで遅れてるんだよっ。

 まぁ真打は美味しい所で出て来るって自分を慰めることも出来るけど、なんかそれは悲しい気持ちになるしね。


「……本当に面倒臭いんだよ」


 さて脱獄するのは簡単なんだけど、このまま捕まっているとここの当主に会うことが出来そうな気もするんだよね。

 当主と会えるんなら、このままここにいた方が後々楽が出来ると思うんだよ。

 そんな事を考えていたら、何か騒がしい空気がしてくる。


「おい、領主様がお呼びだ。出ろ」


 これは予想よりも早い対応だねっ。

 まぁ都合良いし丁度良いや。

 腕に付けられた魔封じの腕枷の具合を見ながら、牢屋の外に出る。

 そう言えば、門の外にドワイト達置いてきちゃったなっ。

 一応ここはあれのホームだから結構役に立つんだよね。

 まぁ後で考えれば良いか。


 そんな事を考えながら、うちは取り敢えずは大人しく看守の後をついて行った。



 そして、連れてこられたのは公爵家の面会室である。

 面会室には当主のロクサス、その妻イレーナ、次男のマキシムと今エルードにいる公爵家の面々が一通り揃っていた。


「貴様、この忙しい時に何しに戻ってきた」


 ロクサスは非常に苛立たし気に話を始める。

 まぁナタリアが攫われて三日位経っているのに、ナタリアを取り戻す目途が立っていないことを考えれば当然かもしれない。


「何でも魔王軍が現れたって聞いたから討伐しに来たんだよっ」


 うちはそんな空気も気にしないで、にこやかにそう答える。

 本当の事を言って兄様に迷惑を掛ける訳にはいかないしねっ。

 一応、そういう名目でこの街に来たのも事実である。


「父さん、この女は妹の家庭教師をしている時から感じていましたが胡散臭すぎます」


 マキシムがうちが嘘をついたと決めつけんばかりにそう主張する。

 失礼な奴である。

 嘘をついているのは否定しないが、うちはそこまで胡散臭くはない筈だ。


「そうだな。この女はナタリアを邪教に引きずり込んだ様な大罪人だ。しかし、貴様が優秀な魔術師であるのも事実だ。貴様はナタリアが攫われたのを知っているな?」

「まぁ新聞にもなってたからねっ。魔王軍が連れ去ったって聞いているよ」

「ナタリアを無事ここまで連れ戻さたら、貴様の罪をなかったことにしてやろう」


 また、面倒くさい事を……。


「つまり、うちを一回解放してくれるって言うのかなっ?」


 でも、一回自由になるのならそれもアリだと思う。

 兄様にも会えるし、相談もできる。


「貴様をそこまで自由にする訳がないだろう。貴様はここで【洗脳】させて貰う」


 ロクサスから不穏な魔力を感じる。

 これは、いつも自分で使っているから分かる。

 【洗脳魔法】の魔力だ……。


「まさか、うちを【洗脳】するつもり? 一応【洗脳】は違法の筈なんだけど」

「ふん、ここでは私が法律だ」


 流石封建国家である。


「下らないお喋りもここまでだ。ここからは大人しく私の言う事に従う事だ」


 そうしてロクサスは【洗脳魔法】を使ってきた。

 ああ、やっちゃったな。

 最後にそんな事を思い、うちの意識は――――。


何だかんだで今回の話で100話に到達しました。

連載当初はここまで続くとは思ってなかったので、自分でも驚いている次第です。

今まで読んでくださり有難うございます。

ブクマ評価を入れて頂いた皆さんには特に感謝しております。

引き続き頑張ってまいりますので応援よろしくお願いします。

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