ワンス・アポン・ア・タイム

” once upon a time”
(ワンス・アポン・ア・タイム)

大抵の御伽噺はその言葉から物語に誘うと思う。

私は昔々ってわけではなく、まさかの見知らぬ世界から物語が始まってしまった。
良くある異世界トリップの物語らしい出来事を一通り経験した私は、案の定、物語のハッピーエンドに相応しい結末を迎えることが出来た。
『 容姿端麗なプリンスとその異世界から来た女は、いつまでも幸せに暮らしましたとさ 』
恋人同士になった私達は、そのエピローグのように仲睦まじく過ごして行く筈だった。
まさしく” Ever After( エバーアフター ) ”
そう締めくくって物語は幕を閉じる筈だったのに、………筈だったのに！

小さな頃夢に出て来たあの彼と恋人になったなんて、信じられない夢物語だと思ったのに。 恋人になったその途端、豹変してしまったそのプリンスとはもうこの先やって行く自信がなくなったので、さようならをすることに決めました。


無意識に人を掌で翻弄するプリンスと、旅の中で出会った男達。
ハッピーエンドで終わった筈の物語から始まる新しい物語の中で、話はどう転がっていくのでしょう。