22:行き着く先のなんたら、みたいな諺あった気がする
長い間更新できずすみません。
小説を閲覧等してくださっている方毎度ありがとうございますm(_ _)m
今回書ききるのに時間が掛かったのもあり文章の書き方等違和感あるかもしれませんのですみません。
事件の捜査結果については俺達が一応関係者と言う事を考慮され、師匠立ち会いの元で警備隊の人から一通り説明が成された。
あの後師匠の通報で辿り着いた警備隊により、事件の経緯もあって屋敷内は十分な警戒体制で調べられた。
俺達が破壊した二階含めた二、三部屋ほどは一応残骸も含めて調べたらしく、またその他の部屋や地下室についても調べたらしいが、結局の所 骸骨男に繋がるものは何一つ残されていなかった。
あるとすれば俺達が捕まえた実行犯三人組が生活していたであろう跡のみであり、そこは本当にその男が存在していたのか不思議なくらい、その形跡が見当たらなかったらしい。
三人組の自供の方はと言えば、三人は元々セントラルの一角に存在する貧困地出身で、住むところも働き手も無く彷徨っていた所を主犯格である骸骨男に誘われ、あの屋敷と仕事を持ち掛けられ住むことになったらしい。
最初は仕事内容を知らされず誘われ、後に『子供を誘拐する』という事を聞き実行に抵抗はあったが、満足な生活も食料もありつけていない彼等が生きていく為にはそうするしかなかったとの事だった。
そして彼らは攫ってきた子供達が何の目的に攫われていたかは知らないとの事だった。
『一度ボスに聞いたんだがな…何で子供が要るんだって…その瞬間の思ったよ、聞けば殺されるって。』
三人組のリーダーの様な男は真っ青な顔で大量の汗を流しそう告げており、それには他二人も同意していたそうだ。
奴が子供達に手を上げていたのも三人組は知っていたし、流石にと一旦は口で止めたとの事だが、その時振り返った骸骨男の仮面から見えない筈の瞳に言い表せない恐ろしさを感じ取り、結局止めることは出来なかったらしい。
そして屋敷の持ち主に関しても調べたらしいが元々老齢の男性が住んでいた事、そしてその男性は数年前に亡くなっておりその後は屋敷に後継者も居らず完全なる空き家となっていた事しか分からなかった。
その元屋敷の持ち主から何か繋がればと調べたそうだが、元々交友関係が狭く引きこもりがちな主人だったらしく関わりあるのはほぼ使用人ばかりで、その全員がすでに遠方に別の働き手を見つけており動機も無く犯行も不可能との事だった。
つまり結局は犯人の目的も足取りも、そしてその正体すらも何も分からなかったのだった。
それから警備隊もこれ以上捜査に進展が見られないとの事で今回の『誘拐事件』としての捜査は実行犯が一応捕まっているという事もあり一旦打ち切られる事となったそうだ。
引き続き『骸骨男』の捜査は行われるとの事だが、俺は恐らく奴からの動きが無い限り期待は出来ないだろうと警備隊の人の後ろ姿を見送りながら考えていた。
そして攫われた子供達に関してだが、あの後すぐに病院に運ばれ全員命に別状は無かった。
しかしどの子もしばらくの間 骸骨男の事を思い出し、恐怖から昼夜問わず泣きだしてしまう様子だったらしい。
そして子供達の内三人は家族が見つかったので回復次第引き取られていったが、残りの三人は身寄りがない子だったらしく、それぞれ親等の家族が居なくなって間もなくの頃、親戚を名乗っていた骸骨男に引き取られたらしい。
その時の姿は骸骨姿では無かったらしいが、老齢の男性の姿や女性の姿だったりと姿が代わっていた為奴の正体には繋がりそうも無かった。
そしてその子達は結果として、オルコット家が管理する孤児院に引き取られる事となった。
流石公爵家だ、孤児院まで経営していたとは。
その話を聞いた時に『これからは跡取りとしてギルにも付いてきて貰うからね』とさり気なく父さんに言われてしまった。
…まぁ子供達の事は気になるから面会には行きたいんだけどさ。
父さんから完全に「仕事モード」の気配が感じられたから少し気が重い。
そしてその家族が居た三人の内の一人だが、どうやら俺達が聞いた最初に救いを求めて声を発していたあの娘だったそうだ。
話によると、どうやら俺の誕生日会に参加していた女の子達の同級生だったらしい。
あの時彼女たちが言い淀んでいたのは、どうやら彼女の事を話そうとして止めたからだったらしい。
どうやら話題にする事で、自分達の子供まで攫われるのではないかと心配した親達に口止めをされていたからだと後に女の子達が話してくれた。
そして後日、誕生会に来ていた女の子達に連れられ、攫われた女の子もわざわざ我が家にまでお礼に来てくれた。
その娘は『リル』というらしく、綺麗な白いワンピースを着たその娘は、一見してその時の娘だったと気付けない程見違えていた。
あの時は薄暗かったのもあるが、顔色の悪く見えた肌は今は少し痩けているが血色の良い白さとなり、泥や埃等で汚れてボサボサだったその髪は、赤茶色でフワフワのウェーブのかかったショートボブとなっていた。
垂れ気味で薄い桜色をした綺麗な瞳は、この国では見れない日本の桜を思い出してしまい少し懐かしさを感じた。
そして俺達は屋敷の中だと緊張するというその娘に合わせて、庭でお茶をしながら話す事になった。
「ご貴族様だったんですね…あの時は無礼な態度をとってしまい申し訳ありませんでした。」
リルちゃんが申し訳なさそうに頭を下げてきたが、俺は慌てて大きく横に首を振った。
「いやいや、あんな状況だし気にしないでよ。それよりも、体はもう大丈夫なの?」
「はい、ご飯もしっかり食べれてます。…ただ、やっぱり夜寝る時はまだ怖いです…」
リルちゃんは青い顔をしながら肩を抱きブルリと震わせた。
それを横にいる女の子の友人達が気遣い抱き締めながら宥めている。
「…そうだろうね。俺だってあんな状況になれば、怖くて仕方ないし、耐えられないと思う。」
「義兄さんをそんな状況になんて僕達がさせないよ。」
「そうですわ。義兄さまは私達が守りますもの!」
力強く宣言してくれるクリス達に俺は笑顔で返事する。
「ありがとな、二人共…」
「…仲がよろしいんですね。」
元気は無いようだがふふ、と笑顔で笑うリルちゃんに俺は思わず照れから頬を掻く。
「そう見える?」
「えぇ、とっても。」
「はは、ありがとう。…ねぇ、リルちゃん。」
「?なんでしょう?」
「まさか今日来てくれるとは思わなかったからこんな形で申し訳ないんだけど…良ければこれ受け取ってくれないかな?」
俺は懐から小さな箱を取り出すと、中からペンダントを手にとってリルちゃんに手渡した。
「これは…?」
「実はあれから友達の専ぞ…知り合いの魔術師さんに協力してもらって作って貰ったんだけど…これは『トラウマを和らげる』魔道具なんだ。」
これは俺が子供達をどうにか出来ないかと皆に相談した所、ランスから『魔術師ならそういうのをどうにかする魔道具を作れるかもしれない。』と提案され、俺へのプレゼントを作るのを手伝ってくれたあの魔術師さんに依頼してくれたのだ。
流石王族専属の魔術師なだけあり、二日と経たない内に希望の魔道具が届けられた。王族専属魔術師マジ半端ねえ。
恐れ多いなと俺が零すと、ランスは『身寄りのない被害者はもう水の国の民なんだ。ボクだって王子としてどうにかしたいんだよ。』と笑顔で答えてくれた。
やはりランスは将来良い国王となりそうだと思えた。
そんな経緯があり出来上がったそれは、箱の中で金のネックレスチェーンに青色の妖精石が装飾されたシンプルなデザインのものだった。
「え!?そ、そんな凄そうなもの…私買えません…」
「え?いや、あげるって言ったんだけど…」
「……へ?」
リルちゃんはキョトンとした表情を浮かべ、隣にいる友達も似たような表情を浮かべていた。
確かに金の部分は置いておくとして、これに使われている青色の妖精石の純度は3であり、一般的に使用される白(純度1)や黄色(純度2)よりは純度が高めだ。
もし一般家庭の人間が買い取るとしたらかなりの額となるだろう。
「今回攫われた皆に配るつもりなんだ。試作品だしね。実験って訳じゃ無いんだけど…まずはリルちゃんに使ってみて欲しいんだ。」
「そ、そんな…助けて頂いた上にここまでして頂くなんて…」
「いいんだよ、君の友達には俺の社交界デビューの練習を手伝って貰ったし、そのお礼みたいなものだよ。まぁこれに関しては俺が作った訳じゃ無いから、その魔術師さんのお陰だけどさ。」
「でも…」
尚も受け取る事を悩むリルちゃんに俺はどう言えば受け取ってくれるか考える。
これに関しては王子であるランスの名は、国民への公平性を重視する為に制作依頼者としては伏せてあるので王子の名前で押し付けるようなマネは出来ない。
ちなみにこれら全てを無償で提供という訳にもいかないので、オルコット家の買い取りという名目で一応これらは『購入』した事になっている。
一応“友達割”はして貰った上でだ。
…笑顔で『出世払い。期待しているよ。』と告げた父さんの顔が今でも忘れられない…
とにかくそういう経緯もありその為に作って貰ったので、俺としては受け取ってもらわないと困るのだ。
「うーん…あ、じゃあさ、代わりと言うにはおかしいけど…良かったら俺と友達になってくれないかな?」
「え?」
考えた末の俺の提案に、周りの女の子を含めリルちゃんがキョトンとした表情を浮かべる。
「友達、ですか?」
「うん。あともう少ししたら魔法学園に入るでしょ?リルちゃんも魔力持ちならきっと同級生になるだろうし、良ければ学園入る前に友達が居てくれた方が俺は心強いんだよね。」
正直これは本心だし、前世で学友に恵まれなかった身としては友達が増えるのは単純に嬉しい。
「あ、でもこれじゃ押し付けがましいよな。…友達に関しては無理にとは言わないけど、でもやっぱ同級生が苦しんでるの知ってて見てるだけってのは俺、嫌なんだよね。だからさ、俺の為に受け取って貰えると嬉しいな。」
「ギルバート様…」
俺が笑顔でそう告げると、リルちゃんはポロポロと涙を流し始めた。
それにはその場にいた全員がギョッとし、リルちゃんに注目した。
「え?え?だ、大丈夫?しんどい?」
「っ…ちが、…その、なんだか安心したと言いますか…」
そう言い涙を拭うリルちゃんは、涙を流しているがとても嬉しそうに笑っていた。
そして俺の手からネックレスを受け取ると、自身の胸元でギュッと大事そうに抱きしめた。
「ギルバート様…私のような者にまでお気遣いありがとうございます。…ならこれは一生、私の宝物にさせて頂きます。」
「一生って、大袈裟だなぁ。」
「いえ!大事にします!それから…その…よろしければ、お、お友達から…よろしくお願いします!」
俯き真っ赤な顔をしたリルちゃんが、笑顔を浮かべながら頭を下げてくる。
「本当に?こちらこそよろしくね。君達も、良ければこれから仲良くしてくれる?」
リルちゃんの友達にも声を掛けると、それぞれ顔を見合わせると慌てて頭を下げる。
「「こちらこそ!よろしくお願いします!」」
「あら、義兄さまばっかり…私達もよろしければ仲良くしてくださいね。」
「僕からも、よろしくね。」
「「「は、はい!よろしくお願いします!!」」」
こうして俺達は色々事件はあったが、無事カルロス(王子)達以外の友人を得る事が出来たのだった。
そうして新しい友人が出来た数日後。
俺はもう一組、その事件に関わりのある人物達と再会する事となった。
「離せぇ!!」
家の門前で師匠に縛られ叫んでいる男と、その横で共に縛られている大柄な男と気の強そうな女性。
この三人組は誘拐事件の実行犯達だった。
俺は見かけた瞬間、気がついたら思わず声を掛けていた。
「…あんたら何しに来たの?」
「!!あ、テメっ…!このチビデブ!テメェのせいで俺達は…!」
呆れた風に問い掛ける俺を見た瞬間掴み掛かる勢いで叫んできた男だったが、その男の顔面に何かが勢い良く飛んでいきそれがガツン!といい音を立てて当たった。
「グエアッ!!!??」
「え??」
「…義兄さんに失礼な事を言うな。」
俺が振り向くとそこには、男に手の平を向けたままの状態のクリスが酷く怒ったような表情を向けていた。
一瞬魔力を感じたので、恐らく魔法で小石を作り出し投げたのだろう。
小声かつ早口だったからか、魔法の発現が無詠唱かと思う程の速さだった。
日々成長している優秀な弟に、俺は思わず感心しながらも、人に向けて石を投げた事は叱らねばなるまいと思い至り、俺はクリスの頭をコツリと小突いた。
「こらクリス。いくら悪い事した奴でも人に向けて石を投げちゃ駄目だろ。」
俺のその言葉にボソリと「どの口が言うんだ…」と言う声が三人の方から聞こえた気がしたが気のせいだろう。
「っでもこいつ義兄さんを…」
「俺の為に怒ってくれるのは嬉しいけどさ、人を無闇矢鱈に攻撃したら駄目だろ。」
「むぅ…」
頬を膨らませ口を尖らせるクリスに、俺は可愛らしさから思わず許してしまいそうになる。
が、しかしここで許してしまうと将来のクリスの破滅ルートに繋がってしまう可能性がある。
やはり兄として注意すべきところはしなければ。
「手を上げたらこっちが加害者になっちまうだろ?こういう時は、表向きには分からないように言葉で脅すとかして二度とそんな事出来ないようにしないと…」
「おい!サラッと恐ろしい助言してんじゃねぇぞチb…」
『我に宿りし風の力よ。鋭き刃となり空を駆けよ。』
すると今度は物凄い風が起きて男の頭の両脇を刈り取っていった。
それによりある程度ボリューム感のあったその髪型は、あっという間にモヒカンヘアーとなってしまった。
モヒカンとなってしまったその男は、どうやら余りの衝撃に目を回してひっくり返ってしまっていた。
「…アリス…俺の話聞いてた?」
「あら。私、少しお髪が邪魔そうでしたから切って差し上げたまでですわ。」
上目遣いで可愛くそう答えてくるアリスに俺は思わず手を目元に当て空を見上げた。
親バカならぬ義兄バカかもしれない。
師匠から「本気で末恐ろしい娘だな…」と聞こえた気がするがきっと耳鳴りを聞き間違えたんだろう。
「…あのさ。」
そんな俺達に対し、恐る恐る声を上げたモヒカンの仲間の女性にその場に居る全員が注目する。
女性は一瞬ビクリと体を震わせるが、女性はそれに構わず言葉を続けた。
「悪かったよ、降参するから話を聞いてくれないかい?ジョーイも降参でいいね?」
「う、うん…オラ、抵抗しない。メリッサに従うべ…」
メリッサと呼ばれた女性の言葉にジョーイと呼ばれた大柄な男がコクコクと頷き同意する。
そしてメリッサが改めて俺達に顔を向けた。
「まずは詫びを入れさせてくれないか。このバカはバリー。一応はアタシ達のリーダー貼ってる奴なんだが、まぁただの単純バカだよ。」
メリッサはモヒカンとなり伸び切っているバリーを足で小突く。
「正直に話すし降参するから怒んないで聞いてくれよ…アタシ達が今日ここに来たのはアンタに復讐する為さ。」
「俺?」
俺が自分の方を指差しながら問いかけるとメリッサはコクリと頷いた。
「アタシ達がしてた事は確かに良い事じゃない。それでもアタシ達は大事な職をアンタのせいで奪われたんだ。アタシ達はもうどこにも居場所が無いし金もない。…もうどうにでもなれって気持ちになって、なら最後はアンタに復讐してやろうって話になったのさ。」
そう告げるメリッサの言葉に、ジョーイは悲しそうな表情を浮かべる。
「ま、結局そこのオッサンに止められちまったけどさ。ここはバケモンばっかかよ。」
「今時公爵家に真正面から鉄パイプ持って乗り込んでくるアホがいるとは思わなかったぞ。」
師匠は三人が持ってきたらしい、もうすでに野球ボールのようになってしまった鉄パイプ“だったもの”を片手でジャグリングしながら呆れた様子で呟く。
…うん、そうだね。この人は確実に『バケモン』だわ。
「オ、オラは止めたんだよぉ。でもバリーもメリッサも止まらなかったんだぁ。」
「は?何アンタだけ責任逃れしようとしてんのさ?」
「ち、違う、オラも参加した。オラも同罪だぁ。だってオラ、二人の側以外居場所無いんだぁ。」
そう言いながら泣くジョーイにメリッサはチッと舌打ちしていたが、それでもそれ以上攻めようとはしなかった。
「そっか…俺のせいでそんな事になってたのか…」
確かにやってた事は決して良い事ではなかったし、今回のせいで怪我やトラウマを受けた子供達も居る。
けれど彼らも生きる為に必死だったのだと思うと、どうしても俺が一方的に彼等を攻める事は出来そうもない気がした。
俺は少し考えると、一つ案を思いつく。
そして師匠に近寄り耳打ちし案を告げると、かなり怪訝そうな顔を向けられた。
「お前…正気か?」
「駄目?」
「駄目というかな…いや私の一存じゃ決められんしな…」
師匠はボリボリと頭を掻くと、一つ大きな溜息をつく。
そしてそのまま三人組に近寄るとその側にしゃがみこむ。
同じタイミングでバリーが目を覚ましたようで頭をブンブン横に振っている。
「あー…一応聞いてみるんだがな…お前等ここで働く気はあるか?」
「「「…………は?」」」
3人は何言ってんだこいつ、と言わんばかりの表情を師匠に向けた。
そんな師匠は芋虫を噛みつぶしたような表情で頭を掻く。
「私だって頭おかしいとは思う話なんだがな。うちの坊っちゃんがそれを望んでいるんだそうだ。」
師匠の言葉に、三人は今度は俺に視線を移動させた。
「何考えてやがる…」
バリーが俺を睨みつけながら聞いてくる。
「お前等がした事を俺は許せないし、絶対良いことじゃないのは分かってるよ。俺の友達は今もそのせいで苦しんでるんだ。」
その言葉に三人はそれぞれ決まり悪そうな顔をし俯いた。
「…分かってんだよ…んな事。それでも、俺達は生きる為にそうするしかなかったんだ。」
「うん、それも何となく分かるよ。俺は恵まれた環境で産まれ育つ事が出来たからしなくてすんだけど、俺だってそんな状況ならどうしてたか分からない。…それに、俺もお前等の仕事潰したってのは確かにそうだなって思うし、だからせめて俺から働ける環境を提供してやれないかなって思って…」
「…俺達が裏切るとは、思わねぇのかよ。」
俺の言葉にバリーが視線を反らしながら聞いてくる。
「お前等は確かに攫いはしたけど手は上げなかったって聞いた。そういう状況に完全に流される奴って、大概自分も混ざって殴ったりする奴も居るらしいし、それをしなかったってのは相手を傷つける事そのものは嫌ってるって事じゃないか?」
俺の言葉に三人は目を見開き固まっていた。
実は俺には、何となくこいつ等が根っからの悪人には見えなかったのだ。
骸骨男を恐れた事や、こいつ等は攫って暴れるガイに怒鳴りはしていたが手を上げる事は無かった。
確かに傷つければ骸骨男が許さないという事もあったろうが、目的以外の部位を傷つける事やナイフで脅すなど何かしら傷つける可能性だってあった筈だ。
「…殴るのは…好かねぇ…」
バリーはそう吐き捨てるように告げた。
「…アタシ達が育ったスラムの大人は皆、アタシ達を何かあればすぐ殴ってた。ボス…アイツが子供達に暴力振るうたびに体が震えてたくらいなんだ。手なんか上げられないよ。」
メリッサの言葉にジョーイは真っ青な顔でコクコクと頷いていた。
どうやら三人は暴力に関してかなりトラウマのようなものがあるらしい。
「…あ、でもあの時ラヴィを殴ろうとしてたな。それは許せん。」
「あ?誰だそれ。」
俺の言葉にバリーが首を傾げる。
「大きくなれる梟だよ。覚えてねぇの?」
「…あ!あの鳥もお前の仕業かよ!!そりゃいきなり訳わかんねぇもん来たら誰だってあんな反応するわ!!」
まぁそれもそうか。
人なら会話が通じるだろうけど一応動物だからな。
ラヴィが賢すぎてなんか感覚麻痺してんのかも。
まぁとりあえず置いておくとして、三人にそんな背景があるなら確かに骸骨男から逃げるという発想にも至らないかもしれない。
「…お前等も色々大変だったんだな。」
「同情なんか要らねぇよ。するくらいなら金よこせ。」
「だったら尚更ウチで働けって、ウチの人達は皆優しいぜ?」
「チッ…どうだかな。」
バリーの言葉に一瞬とある女優が過ってしまったが、言ってもネタが分からないのは理解してるので構わず勧誘の言葉をかけてみた。
「それに、お前等がここに居てくれれば、骸骨男に特に接触してたからもしまた遭遇した時何か情報が得られるかもしれないしな。」
「そっちが目的かよ…」
バリーが悩む仕草をしててその場に蹲る。
そんなバリーに近寄ると俺はその頭をポンポンと叩いた。
「まぁまぁ、とにかく俺はさ。お前等がただの悪人とは思えないから、お前等にやる気があるならウチ来ないかって言いたい訳だよ。」
「「「………」」」
俺のその言葉に三人は俺を見つめたまま固まっていた。
そしてバリーはハッとして俺の手を 頭を振って払い除けると、しばらく三人で悩んでいる様だったが、互いに視線だけでやり取りするとバリーが改めて俺に顔を向けた。
「どうせ行く所もねぇんだ。そこまで言うならやってやるよ。…ってぇ!!」
返事するバリーの尻をメリッサが思い切り蹴った。
細く綺麗な足にしてはかなり良い勢いだった。
「違うだろ!!こう言う時は頭下げてよろしくお願いしますっつうんだよこのバカ!!」
蹴られたバリーは痛みによりそのままその場に蹲り、メリッサは隣に居るジョーイの脇を小突いて頭を下げるように促した。
それにジョーイは慌てて頭を下げる。
「こんなアホ共ですが…よろしくお願いします!!」
必死に頭を下げる三人に、俺を含めた全員が驚き見つめた。
「…まぁ私達に言った所でリチャード…コイツの親父さんから許可が出にゃ意味ないんだがな。」
「「「それを先に言えよ!!」」」
という事で後に父さんにも確認した結果、三人は数ヶ月の試用期間を得た上でその働きぶりをみて本当に使用人とするか決めるという事になった。
確かに前科がある三人には妥当な判断だと思う。
だが父さんは三人に対してよりも、その話を持ってきた俺に対し師匠のように芋虫を噛みつぶしたような顔をして俺を見ていた。
「…ギルバート、私は出来る限りお前の希望を聞いてやりたいとは思っている。思ってはいるが…やはり限度というものはある。…今回は特例とするが、頼むからあまり危険な事をしないでくれ。」
両肩に手を置かれ真剣な表情で訴えてくる父さんに俺はとりあえず頷いておいた。
三人を誘ったのは俺の方が強いというのも理由にあったのだが、父さんはそう思えなかったらしい。
確かに油断は禁物だ、これからは気をつけることにしよう。
こうして無事(?)試用期間を終えた元実行犯三人組は、我が家の使用人としてウチに仲間入りする事となったのだった。
そうして今回の当事者達は、真犯人以外はあるところに収まる形となったのだった。
長らく更新出来ずもし待っててくださった方居られたら申し訳ございませんm(_ _)m
言い訳となりますが携帯の文字を打つ不具合やスランプ?(書くことは頭にありますがなかなか進められない状態)が重なり「こりゃいかん」と一旦小説から離れてました。
なんで間が空いてるので文章に違和感があるかもしれません。
今後もそんなに早い更新は望めませんが、作者は書きたい気持ちが消えてないので今後も書き続けていくつもりです。
なので続きを楽しみにしてくださる方には本当に申し訳ありませんが鈍亀更新が続くと思います。
でも読んでくださり本当にありがとうございます。
正直見返してて古傷が疼く(書き直したい)思いがかなり湧いてきましたがとりあえずの目標はギルたちの学園入学まで書きたいと思います。
という事で今年もよろしくお願いします。




