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Rain Drop  作者: 深蔭
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踏み出せないStep

スペックとは、本人がどんなに頑張っても上げることが難しい状況もあれば、本人の知らないところでいつの間にか上がっているものであったりする。

後者に入った場合、そのスペックが気に入らなくても、廃棄するのは極めて困難だ。



目指していた大学には入れた。

しかし、高校と違って、クラスの連帯感のようなものもなく、自分のまわりの環境を選択する自由が与えられた。逆に、自分で友達を作らなければ、一人で居ることに慣れなければならないシビアな環境でもある。それに、勉学に対しての意識が高く、馴れ合いが求められるような今までとは違っていた。


自分を気取らない時間が増えたことはある意味楽だった。さすが難関校ということもあって、課題の量も質もケタ違いで、使える時間をフル活用させて計画的にこなすことに成功した。ただ、何か物足りなかった。


それで、ダンスサークルに入ってコミュニティに入り込もうと思った。

困ったことに、今までの習慣を断ち切ることもできず、ドライな人間としての地位を確立してしまい、孤高の存在として一目(というより距離)を置かれてしまった。


それでも、せっかくできたつながりを断つほどの勇気もなく…1年間が過ぎた。



そんなわけで出来上がった『金森 歩』という人物像は、無自覚に孤高のオーラを放ち、ダンスサークルというキラキラ系集団に属し、苦もなく課題をこなせる計画性だけで文武両道とみなされ、……本人の成しえたかった大学デビューとは程遠い存在になってしまった。




「あれ。金森さんじゃん。」


そいつに構内で鉢合わせするまでは。


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