クレイジーな豆の木 その4
巨人が来た!
なんてデカさだ! 奴の前では俺なんてゴキブリほどの大きさでしかねえ! 見つかれば握りつぶされちまう!
ドスドスと大きな音を立てて室内を歩きまわる大男。こっちに来るなよ! 絶対来るなよ! 来るなよ! 俺は悪い人間じゃ……まあ悪いことしようとしてるけど、でもあっち行け!
そんな願いが通じたのか、巨人は冷蔵庫から酒の瓶を取り出すと、グビグビ飲んだかと思えば即効で眠りに落ちてしまった。親父そっくりだ。
………………起きないか不安だったが、今のところはスヤスヤ眠っている。これは財宝を探すチャンスだ!
いつ目覚めるかわからない。早く宝を見つけてとんずらだ!
音を立てないように注意して周囲を探していると、一匹のニワトリを発見。大きさは普通サイズ。唐揚げ用に人間界からパクったのか?
そんな下らないことを考えていると、突然ニワトリがケツから金色の卵を出しやがった! 雲の上では金色のクソがでるのか? まさに黄金だな!
卵を手に取るとズッシリ来る。密度から推測するに純金で間違いない。これはいい!
俺はニワトリを抱えると、早足で屋敷を後にした。金はわずか一グラムで五〇〇〇円にもなる。こいつのケツから数十万円が出てくるんだ。ニートとして生きるには十分な額だ。
ああ、ニートになったら何しよう。一日中ボーっとしようか。それとも女を誘って遊ぶか。妄想が止まらない。妄想ビッグバンだ。
俺は楽観的な未来を描きながら、豆の木を地上に向かって下りてゆく。ドーパミンが疲れを吹き飛ばしてくれる。気持ちいい。一気に飛び降りてしまいたい。
でもそんなことすれば死ぬので、俺は落ちないように慎重に地上へと向かっていったのだ。ちゃんちゃん。
「はぁ?! もう一度豆の木を登れって?!」
「そうだよ(便乗)」
金の卵が酔っ払いアル中野郎にバレた。仕方が無いので洗いざらい正直に話すと、金に目が眩んだのかもっと財宝を取ってくるよう俺に要求する。
「ふざけるな! 下手すりゃ巨人に殺されるかもしれないんだぞ! そんなに金が欲しけりゃてめーが行け!」
「父親の俺に口答えか? ずいぶん偉くなったもんだなカスが。舐めた口聞くならこうだ!」
バキッ! 俺は頬を殴られた!
「いってーな!」
「俺に逆らうからこうなるんだ。言っておくが、ニワトリを連れて逃げ出そうなんて考えるなよ。その前にチキンにしてやる」
「人を道具みたいに扱いやがって……」
「文句あるのか! 馬鹿なお前に教えてやるよ! 世の中は金! 暴力! SEX! それが全てなんだよ! 金があれば、暴力を振るえば、SEXで落とせば人間は服従するんだ!」
典型的な毒親思考だ。スーザン・フォワードの著作を読ませてやりたい。読んでも反省しないだろうけど。
「明日また行って来い。こんどはもっと価値のあるものを盗め。さもなければ死ね」
「……分かったよ。やるよ。やりゃいいんだろ」
せっかく人生の転機が訪れたと思ったのに。
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・良かった点
・改善点
金の卵がバレるシーンをしっかり書く