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スライム転生物語  作者: 黒頭白尾@書籍化作業中
第三部 ギルド編

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幕間 チャットの呑気な追走劇

 拍子抜けするほど簡単にゲオルギウスとかいう犬のような敵の横をすり抜けられた。何らかの妨害があるかと身構えていたのに。


(でも、その方が好都合よね)


 相手にどんな考えがあるのかはわからないが、今はそんなことを考えている余裕はない。それに私がいくら考えたってそんなことわかるとも思えないし、悩むだけ無駄。なので、気にしないことにした。


 そうして通路に出ると、そこは避難する人々で大混雑といった様相だった。私は空中を移動出来るから問題ないけど、これじゃあ避難も中々進みそうもない。


「チャット嬢、魔法か何かで姿を変えた方がよろしいかと」

「あ、そうだった」


 羽を生やしているのを人に見られたらダメだとオズにも言われてたっけ。怒られたくないし、そうしなければ。


「こんな感じでいいかしら」


 性別を誤魔化すのが一番だと思うので、適当な男の姿に見えるように魔法を使う。この騒ぎだし、通り過ぎるのは一瞬。見破れる人はいないはず。


「うん、大丈夫よね」

「チャット嬢、別館はそこを右ですよ」

「え!?」


 ギリギリのところで方向転換する。危うく通り過ぎるところだった。


「私、ここの道がまったくわからないから、もう少しだけ早めに道案内してもらえない?」

「承りました。その為に白骨はあなたに付いてきているのですから遠慮なさらないでください」

「ありがと」


 現在、私は肉屋の手を連れて飛んでいる。一緒に飛ぶためにはこうするのが一番なのだから仕方ないとはいえ、


「あーもう! 初めて手を繋いで空を飛ぶ異性はオズって決めてたのに!」


 秘めていた夢が一つ砕かれてしまったのは本当に悲しかった。


「こんな白骨で申し訳ありません」

「あなたに怒ってるわけじゃなくて、あのゲオルギウスとかいう犬に怒ってるの! 絶対、許さないんだから!」


 名付きだかなんだか知らないが、乙女の敵は滅ぶべきだ。お母様も言っていたし、私もそう思う。


「しかし、意外でしたね。チャット嬢が奴隷を助けるために動くとは」

「それって私がその真逆に見られてるって事かしら?」


 人を見捨てることが当然の奴というような目で。


「いえ、そういうわけではありません。ただ、あの場でオズ殿の傍を離れるのが予想外だったので、そう言ったのですよ」

「確かにあんな状況だったし出来ればオズの傍にいたかったけど、その奴隷って人が死んだらオズは悲しむでしょ?」


 実際、それがこうしている一番大きな理由だった。というかそう思った時には既に体が動いていたといった方が正しい。


 それを察知した彼がこうして付いて来てくれて助かった。じゃないとその奴隷の人達がどこに隠れているかわからないのをすっかり忘れていたのだ。モンスターの後を追えばいいかと思ってたら、見失ったし。


「……なるほど、良くも悪くも単純な方ということですか。実際チャット嬢があの場で敵を追掛けるのに最も適していましたし、これが最善の手でしょうね……そこを左で階段を上ってください」

「はーい」


 指示される通りに飛んでいくとモンスターの咆哮が聞こえてきた。どうやら近くまできているらしい。


「それにしてもチャット嬢は本当にオズ殿の事が好きですね」

「ええ、大好きよ」


 だって、とても優しいし、戦ってる姿はカッコよくて、その上命の恩人だ。好きにならない理由がない。


 でも、私が一番彼を好きになった理由は他にある。


「やっぱりオズって、なんかこうカッコいいけど母性本能をくすぐられるって言えばいいのかしら。どこか可愛いらしいのよね。どこって言われると私も具体的には言えないんだけど」

「いやはや、ミラ嬢もチャット嬢のようにもう少し素直になれればいいのですが」

「そうだけど、あの子は変なところで真面目だから何かキッカケが必要かもしれないわね」


 しっかりと自分の思いを自覚する何かが。


 階段を使う事のなく目的の階へと到着した時、モンスターが角を曲がる姿が見えた。


「あそこを曲がって三番目の部屋に隠れています。間に合うか微妙なところです」

「楽しい話はここまでってことね」


 これでも飛ぶ速さには自信があったのに追いつけなかったのは驚きだった。思った以上に素早いのは注意しておかないと。


 全力で飛び、角を曲がるとモンスターが扉に体当たりを繰り返していた。止めるために接近して魔法の射程範囲内に入る。


「マジックシール」


 ド、と魔法を発動して扉を守ろうとした瞬間、モンスターは体当たりの勢いのまま部屋の中に転がり込んでしまった。


「チャット嬢!」

「わかってるわ!」


 勢いを緩めることなくカーブを描くようにして、部屋の中に入ったら、


「きゃあ!?」


 目の前に急に何かが飛んできた。鉢合わせによる激突を防ぐため、咄嗟に上昇することでその何かは躱したけど、勢い余って天井に顔から激突してしまう。


「いったーい! 何なのよ、もう!」


 痛む額を抑えながら振り返ってみると、視界に入ったのは追っていた二体のモンスター。虎の方が部屋の外で倒れているところを見ると、どうやらそいつが吹き飛ばされて、ぶつかりそうになったようだった。


 その理由は一目瞭然。


「あなたたちが奴隷の人達?」


 猫耳の少女と犬の頭部を持つ人型の二人の人物が戦う構えを取ってそこにいたからだ。

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