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スライム転生物語  作者: 黒頭白尾@書籍化作業中
第一部 転生編

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第二十二章 理不尽な脅威

「先程の約束、本気で守られるつもりですか?」


 アリスが襲われたという場所に向かう道中、肉屋が話しかけてくる。


「うん? まあ、約束を守るように努力するってとこだな」


 ヴァイパーを倒したら戻ると約束はしたが、倒してからすぐに戻るとは言ってない。なので、このままあの村には帰らずに北の砂漠に行く気満々だった。


 もちろん世界を放浪してそれでも生きていたら、いずれは会いに行くつもりだがその可能性は低いだろう。屁理屈だが向こうの詰めが甘いのが悪いってことで。


 ミラには悪いが、恐らくもう二度と会うことはないだろう。貴重な会話できる相手だったし、あそこまでスライムであるオレに律儀に接してくれた。まぎれもなく善良な人だ。


 だからこそ一緒にいるべきではない。お礼なんてものでミラを縛るつもりはないし、共に行動すれば迷惑をかけるに決まっている。


 それにミラはお礼がしたくて待っていても他の目的の奴が現れないとも限らない。生憎オレは今回のように仕方ない場合を除いて、無駄に命を危険に晒す自虐趣味はないのである。


「とりあえず、進化するためにもレベルを上げようぜ」


 実は、現在進化できるのは二種類ある。


 村でのちょっとした用事とやらはその新たな進化条件を満たしておく為のものだったのだ。使い勝手がよさそうなので早く進化したい。


 それに加えて、これまでの進化の傾向からしてなんとなくなら進化条件を予想することもできるようになってきている。そういう面では順調だしこのままのペースでいきたいものだ。


 跳ねること少ししてその匂いにオレは気付いた。


「こっちか」


 その方向に進むと、明らかに周囲の様子がおかしい場所に出た。ミラに聞いていた通り、無残にも木々が折れていて見渡す限り地面に至るほとんどが毒に侵されているのかどす黒く変色している。


 地面すら侵食する毒、よくこんなものを浴びてアリスは生き残れたものだ。普通、人間が浴びたら一たまりもないだろうに。


 アリスは毒にわずかながらでも耐性があったのだろうか、そうでもなければあれだけで済むとは思えないのだが。


「まあ、無事なのはいいことか」


 その理由がなんだろうとヴァイパーを倒すことに変わりはない。直接会ったときにわかるかもしれないし、今はそいつを見つけることが先だ。


「周囲を捜索してもみつけられなかったって話だし、ここから離れて場所を移したってことか?」


 何か手がかりになるものはないかと周囲を散策しながら肉屋に話しかける。


「そうかもしれませんし、地中に潜っているのかもしれません。手がかりなしにはわかりませんね」


 肉屋と言えど万能ではない、か。木々をかき分けることしばらく、さっき見た鱗の一部を茂みの陰で発見する。


 よくよく見ないとわからないそれは点々と続いていて、まるで道標のようになっていた。予想通りならこれを追っていけばターゲットに会えるはず。

 そうしてそれを追って慎重に進んでいったはいいものの、道標はある地点を境にぱったりと途切れてしまった。


「ここまでってか?」


 注意深く周囲を見ても、もうそれらしき物はない。他に手がかりになりそうなものはなかったし八方塞がりだった。


 あるいはここで地中に潜ったのかもしれないが、だとしても地中深くに潜られたら手の出しようがない。出てくるのを待つしかないという時点で結論たいしては変わらないではないか。


「肉屋、何か手はないか?」


 ダメ元で聞いてみると、


「まあ、なくはないですね」

「マジか」


 こいつ便利すぎるな。なんだかんだここまで一緒にやってきたが色々使い勝手が良すぎる。もっともオレもこいつに使われているのだけれど。


「匂いでモンスターを引き寄せる肉があるのでそれを使えばあるいは。地中まで匂いが届くかまでは保証はできませんが」

「なんだよ、そんな便利な肉があるならもっと早く使わせてくれればいいじゃないか」


 そこでふと、何かが引っ掛かった。言ってみて思ったがそんな便利なものをこれまで肉屋がなぜ使ってないと言える。むしろ、率先して隠れて使いそうなのだが。


「まさかと思うが一つだけ聞いておく。オレと会ってからその肉を使ったことはないよな?」

「……もちろんですとも」

「その間はなんだ、その間は」


 こいつのことだからこうやってわかるようにするってことは本気で隠すつもりはないのだろう。ふざけてこっちの反応を楽しんでいるに決まっている。本当に性質が悪い。


 エンジェルラビットが偶然あの場にいたんでなくて、こいつがその餌を使って引き寄せたと考えてもなんらおかしくない。むしろその方があり得そうだ。


 真偽のほどは知らないが今はそれを責めるべき時ではない。さっさと用事を済ませてしまおう。


 肉屋がその肉を周囲に設置した後、オレ達はそこから少し離れたところで待機してその時を待つ。その匂いにつられてゴブリンがやってきたりもしたが、その肉に触れる暇も与えず処理すること数回の後についにそいつは現れた。


 地面が不自然にひび割れたかと思うと、そこから一匹の大蛇が飛び出してくる。

 これがヴァイパー、強そうだ。これまでのゴブリン達なんかとは格が違うのが見ただけでもわかる。


 出来ればこれまでの傾向から毒の耐性を強化できるはずのネオポイズンスライムになってから戦うのが望ましかったが、そうも言っていられない。

 ここで逃がして次また会える保証はない。この場で仕留めるしかないのだ。


「行くか」


 肉に気を取られている今は絶好のチャンス、この期を逃すわけもない。


 いつぞやのように触手を最速で伸ばし、背後からその胴体を貫こうとする。こういう相手に突きは当たる面が少ないのでよろしくないだろうが他の攻撃では距離や速度の問題から奇襲にならない可能性が高い。


 それに鱗で固められた体に鞭打ちのような打撃は効果が薄そうだ。それに一応触手の先端には毒と麻痺を生成してある。効くかはわからないが、刺突ならわずかでもかすれば傷からでも体内にそれらを与えることができるし、多少の意味はあるはず。


 だったのだが、ヴァイパーは攻撃が当たる瞬間に器用に体をしならせてすんでのところで回避されてしまう。この避け方は明らかに狙ったものだ、偶然じゃない。


 奇襲のつもりがバレバレだった、この時点でこっちのアドバンテージはなくなった。後は実力で勝つしかない。


 ヴァイパーは振り返ると正確にこちらが隠れている場所に向かって威嚇するように舌を出してくる。このまま隠れていても狭いし身動きがとりづらいだけだと判断し、速やかに茂みから飛び出す。


 お互い距離を置いたところで相対し、睨み合う。


 と思ったらヴァイパーの尻尾が唸りをあげて鞭のように振り下ろされる。顔や上半分にあたる部分はほとんど動いていないのにどうやらこいつの体はオレの触手のように自在に操れるようだ。


 睨み合っていただけにこの攻撃には虚を突かれた。横に跳んで躱そうとするがギリギリ間に合いそうにない。そう判断して、咄嗟に収縮してかする軌道にあった攻撃を何とか回避することに成功した。ただ、攻撃はそこで終わらない。


 続いて横なぎの一撃を着地と同時に限界まで地面にへばりついてほぼ地面と同化することでどうにか躱す。スライムならではの回避法だろう。他の奴にはどうやっても真似できまい。


 それにしてもこの間合いはまずい。向こうのほうが鋭い攻撃を放ってくるし防戦一方だ。


 次の攻撃が来る前に大きく後ろに跳躍する。また睨み合いになるが今度は攻撃してこなかった。


 スライムのような体でもない限り、リーチに一定の限界がある。どうやらこの距離まで離れれば攻撃は届かないようだった。

 このままではこちらに勝機はない。まずはここからでも届く攻撃で流れを変えるとしよう。


「ペッ!」


 素早く生成した毒を吐く。


 ただし、オレだけでなく相手も同じタイミングで。互いに同じような攻撃を放った結果、空中でそれぞれがぶつかり合う。


 結果はこちらの惨敗、吐いた毒は一瞬で蒸発させられて跡形もなく消え去った。どうやら毒の面に関しても負けているらしい。


 この距離じゃその程度の攻撃に当たることはないが、それだけではダメだ。向こうからの攻撃は有効なのに、未だにこちらからはそんな攻撃を出来ていない。そうなればいずれ躱せなくなった時にオレは終わる。


 遠、中距離で敵わないのなら残された手段は近距離、つまり接近戦しかない。けれど、中距離での尻尾の攻撃は躱すだけでも精一杯なのだ。さらに近くなればそれだけ相手も狙いやすくなる、躱すこともできなくなるに違いない。


 一定の間合いを保ちながら思考を加速させる。


(考えろ)


 オレに最初から与えられていた武器はこの思考という考える力だけだ。他の能力はあっても最低レベルでしかなかった。そして、前よりましになったとはいえそれらが劇的に変わったということはない。


 現にこうして明らかに地力が違う相手には為す術がない。同じような攻撃でもあちらの方が威力も速度も桁違いだ。


(考えろ!)


 威力からして一撃でもくらったら終わりだ。それで死ななかったとしてもダメージで動きが鈍れば次の攻撃は避けられないのはわかりきっている。触手で受け止めるのも同じだ。そもそも受け止められるとは思えない。


(くそ、まさかここまで強いとは。アリスが生き残れたし、そこまでじゃないと思ったがとんだ計算違いだっての)


 甘かった見通しの反省はしない。それよりもこいつに勝つための方法を模索するのが先決だ。


(ヴァイパー、こいつの弱点はなんだ?)


 力で敵わないなら相手の弱点を突くしかない。問題はその弱点が何かということだ。


 肉屋に聞けばわかるかもしれないが、この程度のことで頼っているようではこの先、生き残るなんてこと出来やしない。何より肉屋はその程度の相手ならためらわずに見捨てるだろう。


 それではここで勝っても結果的に先はない。それではダメなのだ。


 ここで自分だけの力で勝てば少なくとも地力で劣っていても勝利できる可能性があることを肉屋に示せる。オレの将来性を証明するためにも自分の力だけで勝たなければならない。


(モンスターという先入観は捨てろ。こいつは地中に潜る蛇だとすればどうだ?)


 スキルがあったり、スライムなんてへんてこな生き物がいたりと色々おかしいところがある世界だが、少なくとも物理法則などは前の世界とほとんど変わりないよう思える。例えば生物には水や食料が必要であり、肉体が傷つけば死に至る。


 それはつまり、こいつもそういった原則からは逃れられないということのはず。オレが触手を作るのにスキルが必要だったように、こいつが地中に潜って行動できるのは何らかの種族的な特性かスキルがあるのだ。


 光が差さない地中で行動するということからこいつは目で周囲の様子を察知している可能性は低い。それで蛇のようなとなれば自ずと答えは出てきた。


 タイミングを見計らって毒を躱し、すぐに大きく息を吸い込んだ。


 そして、


「はあ!」


 全力で火炎を吐き出す。あたりが火の海になりかけるが知ったこっちゃない。


 予想が正しければヴァイパーは蛇などが持っているピット器官のようなもので熱を感知しているはずだ。背後からの完全奇襲に気付いたのも熱感知によってこちらの姿をすでに捉えていたからに違いない。


 その想像は当たっていたようだった。それまで正確にオレのことを狙っていたヴァイパーの攻撃が途端に外れ始める。周囲の温度が高いせいでそれらが狂わされたのか、こちらの姿をうまく捉えきれないのだ。


 ただ、ここが森であることからこれ以上の火を吐くことはできない。やりすぎれば山火事になる危険がある。


(ここで決める!)


 炎を使うのには限度がある。後になればなるほど不利だ。


 オレは炎に突っ込むことでヴァイパーの視界から消えて、二本の触手をその頭部めがけて放つ。頭部が潰されればどんな生物も死ぬしかない。

 ただ二本同時攻撃とはいえ、先ほど背後からの奇襲を完全に躱しきったヴァイパーにはそれだけでは通じなかった。


 実にあっけなく、狙い澄ませて振るわれた尻尾によって触手が弾かれる。もちろんそれで諦めるわけもなく、さらに触手を操作し追撃の攻撃を放った。


 ヴァイパーは同じように尻尾振るって攻撃を防いで、炎が収まってきたことでようやく回復してきただろう視界で捉えたオレに毒を吐こうとため込み、


「ガ!?」


 あっけなくその頭蓋を上から貫かれた。


 これで相手の死は確定だが、死に際に何かされてはたまらないので容赦なくそのまま熱生成のスキルを限界まで使用する。


「くたばれ!」


 頭を貫かれその上、直接頭の内を焼かれてはさしものヴァイパーも耐え切れなかったのか、力が抜けて地面に倒れこむ。


『レベルが6に上がりました

規定レベルに達したため「微電撃付与」「微電撃生成」を獲得しました

また、この種族におけるレベル獲得スキルは完了しました

なお、他の進化条件を満たしているため任意のタイミングで進化が可能です』



 なんとか倒しきったようだ。思った以上に苦戦を強いられたが結果的にはレベルも上がって進化できるようになったことを考えれば上出来だろう。


「いやーおみごと!」


 肉屋がまたしても拍手しながら現れるが、今は文句を言う気力も湧かない。正直、疲れ切っていた。


 そうして肉を回収し終えた肉屋が改めてこちらに話しかけてくる。


「それにしても、何故最後の攻撃だけヴァイパーはまともにくらってしまったのでしょう? それまでは完璧に防ぎ切っていたというのに」

「さあな、偶然だろ?」


 説明する気力も湧かないから流したが、もちろんそんなわけがない。ちゃんとした理由がある。


 実は最後の一撃はその直前の同時攻撃とほとんど一緒だったが、一点だけ工夫を加えておいたのだ。


 それは片方の攻撃だけわざと熱生成及び放出を切った、それだけだ。


 片方だけ高温を発している攻撃、熱を感知しているヴァイパーにはそちらに目が行ってしまい、はたから見ている分には丸見えであるもう一つの方の攻撃を完全に見落としたのだ。


 その前の同時攻撃も最後の為の布石だったのだ。二本とも熱を発し、ヴァイパーに感知させて攻撃したことでヴァイパーは無意識に触手の熱は感知できていると思わせるための。


 成功するかは賭けだったがうまくいったので問題ない。今はそれでいいだろう。


「ああ、もう動けん」


 体力的にはまだ余裕があるがそれ以外がもう限界だ。集中力はそう長くは続かないものだし。

 ただ、最低限の進化だけはやっておく。これだけはサボるわけにはいかないからな。


 そうしてアナウンスが流れ始めたがオレは意識してそれをカットしようと試みるとできた。毎回これを聞くのは飽きるしいちいち面倒だし。

 今回クリアした条件は鉄摂取でアイアンスライムという種族になった。これが村でクリアしたという条件である。


 ミラに頼んでアリス達の家で包丁なのかナイフなのかわからないものを一品失敬させてもらったわけだが、薬の代金とすれば安いものということでよしとする。


 得られたスキルは鉄化と鉄生成の二つのみ。しかも驚いたことに進化を実行した後のアナウンスで、アイアンスライムで得られるスキルはすべて獲得したと流れたのだ。レベルを上げなくてもすべてのスキルを獲得できる場合があるらしい。今後の参考にしよう


 というわけで続けて進化だ。


『時間制限スキル「未熟な進化の可能性」が発動しました

ネオポイズンスライムへの進化許可を確認しました

これより進化を開始します……

進化に伴い新しいスキルを獲得しました

スキル――「毒耐性」「猛毒吐き」を獲得しました

上位スキル「毒耐性」を獲得したため下位スキル「微毒耐性」は自動的に上書きされます』


 一気に二段階進化だ。かなり力も手に入ったし上々の成果だろう。


「さてと、問題は片付いたし行くか」


 このまま北に向かってしまおう。短期間でできる限りのことはしたし後はなるようにしかならない。


 そう思って進もうとした時、物音が聞こえてきた。すぐ近く草をかき分ける音、そして


「グオオオオオオオオオオオ!」

「な、なんだ!?」


 オレやゴブリンなんかとは比較にすらならないほどの吠える声。さっきのヴァイパーは見るだけでわかったが、今度の奴は声を聞いただけでわかってしまった。さっきのヴァイパーよりも、そしてオレよりも圧倒的に強いということが。


 そして、固まってしまったこちらをあざ笑うかのようにゆっくりとその声の主は現れた。


 見た目はゴブリンに近いものがある。顔の作りなどにどこかしらそうであったかのような痕跡が見て取れるし、なにより後ろにゴブリンを数匹従えているからその上位種か何かなのだろう。大きさは平均的な大人ぐらいだが横幅はその倍はあるし腹も中年の親父のように出ている。


 ただ、その大きさもさることながら感じる力の密度が桁違いだった。どう見てもゴブリンよりちょっと上なんてレベルじゃない。明らかにこの場において異常ともいえる力の圧を嫌でも感じさせられた。


 見えたそいつの種族は中鬼(ホブゴブリン)、やはりゴブリンの上位種のようだ。


(まずい、負ける)


 戦うまでもない、さっきのような弱点とかの問題でもない。言うならば赤子と大人の勝負だ。どう頑張ったって勝てるわけがない。勝率があるとすればゼロパーセント、小数点をいくら下ってみても同じ数字が続くだけの結果だ。


 オレはこの時自分でも驚くべき速さで行動していた。鉄化のスキルで全身を硬化し防御、跳躍を使って全力でこの場から離れる。


 離れようとしたのだ。


「ガアアアアアア!」


 そう行動する前にホブゴブリンの行ったことは単純で、手に持っていた巨大な棍棒らしきものを地面に叩き付ける、ただそれだけだった。


 そして、その威力はゴブリンとは一線を画す。

 

 当たる位置にいないので当然のことながら地面に激突したその瞬間、周囲の石などが衝撃に巻き込まれるようにして吹き飛んだのだ。それらの内の幾つかが衝撃と同時にオレに殺到して、


「ガッ!!」


 炸裂した。先程のヴァイパーの一撃とまではいかないがそれに近い威力だろう。ただの衝撃波とそれに巻き込まれた小石が当たっただけでこの威力。直撃どころか掠っただけで即死は確定だ。


 唯一、幸いだったのはその衝撃ごとオレも吹き飛ばされたことか。前のゴブリンの一撃での距離なんて比較にならないほど吹っ飛ばされる。ようやく木に当たって止まった時にはかなりの距離を稼げていた。


 もちろんそのせいで全身を強く打ったし激痛が体を走っていて、しかも若干だが体の一部が溶けたかのようになって地面に点々と染みを作り出している。


 どうやら他の奴らも死んだときがそうだったように、スライムは大きなダメージを受けると体を維持できなくなって液体になってしまうようだ。今のオレもそうなりかけ、つまり死に掛けということだ。


 だが、そんなことには構ってはいられない。早く逃げなければ。


 今までにないほどダメージを受けた体は中々思うように動いてくれない。必死に触手も駆使してどうにか移動して気付いた時にはアリス達の村にまで戻ってきていた。


 戻るつもりはなかったのに、こんな形で戻ることになるとは。


 そこで限界を迎えたオレはそこで力尽きそのまま意識を失った。

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