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秋 その六

 長い、長いトンネルだ。まあ高速道路にも長いトンネルはあるが。国道でこんな長いトンネルは珍しい。それだけオレの住む地域は山深いということだ。

 しばらく走って、やっと隣県側の出口になり。少し走って隣県側の登り口が見えて。そこにミライースを滑り込ませ、上りのくねくね道をSレンジでとことこと走る。

 木々や草花がよく生い茂り、季節柄紅葉もよく見える。

 枝葉が陽光をさえぎり、道は薄暗い。

 しばらく走って、トンネルが現れる。上の方の県境トンネルだ。

 下の長いトンネルができるまで、このくねくね道を通っていかなければいけなかったのだ。世の中便利になったものだった。

 が、世の中にはわざわざ不便な道を選んで走る変わり者もいる。目的地へ行くために仕方なくではない、手段のはずの道を目的として走るのだ。だから変わり者と言われても仕方がない。

 トンネルを抜けると、公衆トイレと駐車場のあるところにでる。駐車場のむこうに道が続いている。駐車場にはおでん屋さんがあり、駐車場に車を停め、たまごとこんにゃくのおでんを、美味しくいただいた。

 ドライブでの食はどうしていつもより美味しく感じるんだろうか。

 などと思いながら、ミライースを発進させた。

 この道は岩槌山へと続く県道で、険道状態ではあるんだが。観光地でもあるので、平日でも車をちらほら見かける。

 標高も1000メートルを超え、背の高い気も少なく。岩盤剥き出しのところも多い。

 オレは崖側の車線をとことこと走る。

 やや霧がかかっている。いやこの高さだと、霧というより雲そのものだった。

 雲の白い塊が山の斜面にへばりつくようにしていた。

 道からの眺めもいい。眼下に波打つ山々を眺めることも出来る。これより低いところに人が住む街があるなんて、ここにいて波打つ山々を眺めるとにわかに信じられない錯覚も覚えたりする。

 道はほぼ尾根に沿ってつくられて、ぽっこりと突き出た区間もあり。ハイキング客が上っていたりする。

 ところどころ、短めのトンネルもある。少し古めのコンクリート造りのデザインで趣も感じさせる。

 この道の特徴は、全体的に見晴らしがいいところだ。

 だから、眺めを楽しむため、ところどころで車が止められていたり。人が歩いていたりするから。注意をしないといけない。

 ただ気持ちはわかる。こんなところは何度もそうそう行けるものでもない。次いついけるかわからないから、目に焼き付けていたいだろうし、出来るだけ写真も撮って記録も残したくなる。

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