学問への登り道は青春の一欠片
宮島政哉はのんびりと歩きながら学校へ向かっていた。友人と合流する為にも、少し早く出て来るのが週間づいていた。そして、いつも通りの交差点で会うことが出来ていた。計算通りだ。
「政哉、おはよぅ!」
「おはよ、雄輝」
こいつは佐野雄輝。俺にとって数少ない友人。腐れ縁とでも言うべきか、彼とは一年生でも同じクラスだった。何故こいつと知り合ったかは簡単。最初のクラスでスタートダッシュに失敗した者同士がいつの間にか仲良くなっていた。
「政哉はいっつも時間合わせてくるよな。今日こそはお前を待たせるかお前が待つかにしてやろうと思ってたのにさ」
「そこまで含めて何となく分かってた。それに、それをして何になるんだよ」
「お前の歯車の中にいる気がして居心地が悪い!」
嘘なんだか本当なんだかよく分からないことを言うのはいつものことだ。だから、わざとこう返してやる。
「ならもうわざと合わせないでやるよ」
「えっ、嘘嘘冗談に決まってるじゃないか〜ハハ」
そう言って肩をポンポン叩いて来る雄輝。この軽さは正直苦手なタイプなのだが、こいつしか友と呼べるような人間がいないのだから仕方ない。こいつが余り物だったのは自己責任だが、俺が余り物だったのは信頼に足るだけの人物がいなかったからだ。どうにも自分の中で線引きをしてしまうようになっていたらしい。間違いなく誰かのせいだ。
「…政哉、またなんか怖い顔してるぞ」
雄輝の声で戻ってくる。心配しているような全くしていないような視線に居心地の悪さを覚えながら、適当に話を流して学校へ向かうことにした。それ以降は他愛もない話ばかりだった。
☆
佐野雄輝は宮島政哉に何かあるのではと薄々思い始めていた。ただそれが何なのかは分からないし、もしそれを知った時に政哉が自分と友達でいてくれるのかは分からない。だから政哉自身から話さない限りは触れないことにしている。雄輝自身にも抱え持つ課題があると言うのに、他人のことを一方的に知るのは不公平だろう。まして、親友に値する人間なら。
学校まで行く途中、他愛もない話を続けながらも政哉の様子をよく見て彼が怖い顔を見せかければすぐ別の話題に振るようにしていた。友人相手にこんなことをしている時点で、自分が嫌でも両親の血を継いでいることを思い知らされる。政哉はこれと似たようなことなのかもしれない。
お互いがお互いを探り合う中、少しずつ校舎が見えてきていた。その門を潜るのは、同時に変革の開始であった。それは、せいぜい12年しか生きていない彼らには余りに重たい変革であったが、同時に彼らを成長させる変革なのかもしれない。
チャイムが響く。何かを知らせるかのように。




