第二十八章 五文巧みに無尽の宴を設け 愛らしき顔ひとつ、街を食い空にす
討食童は、後漢の世、市井に伝わる童子の妖なり。
その形貌さだかならず。あるいは三、四歳の幼子にして、肌は凝脂の如しと言い、あるいは十余歳の少年にして、眉目整うと言う。ゆえに里人これを見るや、多くは隣家より迷い出でし童と疑い、争いて食を与う。しかるにこの物、ひとたび人界の食を口にすれば、再び口を止むる能わず。一肆の食を尽くせば、また他肆に転じ、永く餍くる時なし。
古老の言い伝えによれば、この物はもと饑年に道端にて餓死せし流民の化するところなりという。臨終の折、腹中空しくして執念散らず、ゆえに童子の相を借りて人心を惑わし、人の憐れみに乗じて、飽くことなく啖らうと。
霊帝の御代、冀州のさる邑にて市の立つ日のこと。
日も暮れんとする頃、餅を売る張三、店を仕舞わんとして、ふと店先に一人の小児の立つを見る。跣足に垂髪、仰ぎて口を開き笑い、怯えたる様子にて炉中の新しき餅を望み見る。
張三、その様を憐れみ、一枚を与う。その童子、礼を言うこともなく、瞬く間に食い尽くし、なお立ち去らず、ただ炉中を見つめるのみ。
張三、また一枚を与う。かくの如きこと再三に及び、一炉の胡餅すべて食い尽くされしも、その童子の腹はなお平たきまま、いささかも膨らむ様子見えず。
張三、胸中に寒気を覚ゆ。その童子、いつの間にか身を翻し、足取り軽やかにして、凡童の如くならず。数歩にして人混みに紛れ、呼べども応えなし。
これより一月余り、邑中の食を商う店、十余軒すべて災いを免れず。
諸店主相集いて語り合うに、初めて言うところの区々たるを知る。張三はこれを三、四歳の白く柔らかき幼子と言い、羹を売る李四は、明らかに十歳ばかりの清らかなる少年なりと言い、脯を売る王五は、まだ長じきらぬ子なりしと覚ゆと言う。年のほど言うところ各々異なり、眉目の形もまた一致するものなし。
邑人、これによりて次第にこれを「討食童」と呼ぶに至る。
初めは商人ら互いに戯れに注意し合うのみなりき。「今日は討食童に店を見つけられぬよう気をつけよ」と。
しかるにこの綽名、日ごと遠くまで伝わり、枝葉を加える者も日に増しぬ。あるいはその童子の食い終わるところを親しく見て、口の端が両耳に至るまで裂けたりと言う者あり。あるいはその後を追いて窺いしに、城郭の外、久しく荒れたる義塚へ入り込み、それより跡形もなくなりしと言う者あり。さらに古老、誓いて言うに、その童子、泥地を歩みても足跡ひとつ残さず、日中を歩みても、いささかの影も地に落とさざりしと。
かくの如き種々の言い伝えを集め合わせ、後世の志怪雑録に記されしところの一語となる――
「討食童、食らいて飽くを知らず、形は長ずるを知らず。来歴も終わるところも知られず、ただ飢えの一念のみ、世を歴ても散ぜず」
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翌日の朝早く、兆雲は顔を洗い清め、髪を撫でつけ、もっとも小綺麗な服を選んで着た。
この数ヶ月、昼夜武を練り、あちこちを駆け回り、風に吹かれ、日に晒されることも少なくなかったが、その顔はなお白玉を彫り上げたように整い、唇は紅く歯は白かった。とりわけ両眼が大きく、人を見上げると、大きな目がぱちぱちと瞬き、誰が見てもこの子は素直で愛らしいとまず感じずにはいられなかった。
兆雲は水面に自分の顔を映してしばらく眺め、ひどく満足すると、身を翻して家を出た。
街角には蒸し餅の屋台があった。
竹の蒸籠が竈の上に積まれ、白い湯気がひっきりなしに立ち昇っていた。店主が蒸籠の蓋を開けると、丸々と膨らんだ蒸し餅が身を寄せ合い、麦の香りが湯気とともに通りの半分にまで漂った。
兆雲はまっすぐそこへ歩いていった。
「おじさん、蒸し餅はいくらだ?」
店主が見下ろすと、声が三分ほど柔らかくなった。
「一文で一つだ。蒸したてだから、火傷に気をつけな」
兆雲は懐から銭を五文取り出し、案の上にきちんと並べた。
「五文払うから、五つ持ち帰るんじゃない。ここで食べて、腹いっぱいになるまでだ。食べ放題ってやつ、どうだ?」
店主は意味を飲み込めなかった。
「腹いっぱいになるまで?」
「うん」
店主は目の前の子供を見やった。
十二、三歳ほどの年頃で、身体つきもまだ育ちきっておらず、顔は色白で、大きな両の目が蒸籠を熱心に見つめていた。これほど可愛らしい子供が、普通の子より一つ二つ多く食べたところで、何ほどのことがあろうか。
店主は笑って銭を受け取った。
「よし。今日はお前さんを腹いっぱいにしてやろう」
兆雲は両手で蒸し餅を受け取り、顔を上げて甘えるように笑った。
「おじさん、本当にいい人だね」
店主はそれを聞いて嬉しくなり、わざわざ一番大きくて柔らかいのを選んでやった。
兆雲は最初こそゆっくりと食べていた。
蒸し餅は出来立てで熱く、持っていられなかった。彼は両手の間で何度か持ち替えながら、そっと吹き冷まし、ようやく端から一口かじった。
店主は時おり目をやっては、子供がよく噛んでゆっくり食べる様子を見て、行儀がいいと安心し、他の客の相手に戻った。
店主が背を向けた隙に、兆雲の両頬がたちまち動き始めた。
手にした蒸し餅を数口で食べ終えると、彼はすぐさま次を取り、噛み、飲み込み、動作には少しの間もなかった。時おり熱さに息を吸うと、蒸し餅を反対の手へ持ち替えて、また口へ運び続けた。
店主が振り返ると、兆雲はまた少しゆっくりになった。
店主が忙しくなると、彼はまた遠慮なく食べ始めた。
蒸し餅は次々と消え、蒸籠の中にはたちまち大きな空きができた。
趙雲は最初、気に留めていなかった。
異変に気づいた時には、兆雲はすでにどれほど食べたか分からないほどだったが、腹の中にはわずかな温かみが加わるだけで、あの心を掻きむしるような空腹感はまるで消えていなかった。
「いつの間にこんなに食べたんだ?」
兆雲は口いっぱいに蒸し餅を頬張ったまま答えず、口の中の物を飲み込んでから、また一つ取った。
彼はもう隠すことをやめ、さらに速く食べ始めた。蒸し餅はまるで腹に落ちていないかのように、一つ手に取ればあっという間に姿を消し、次の一つがすぐ手にあった。
趙雲は見れば見るほど恥ずかしくなったが、腹の中の空腹もまた絶えず急き立てるので、どうしても「もう食べるな」とは言えなかった。
兆雲は彼の心を察した。
「本当に見ていられないなら、目を閉じて運功してろ」
趙雲はしばらく黙り込み、本当に心を静め、内力を経脈に沿って巡らせ始めた。
内力が動くと、腹の中が次第に熱を帯びてきた。食べたばかりの蒸し餅はたちまち消化され、もとから生じかけていたわずかな満腹感もすぐに散っていった。
兆雲は俄然元気づいた。
店主が客を見送り、蒸し餅を取ろうと手を伸ばすと、その手は空を切った。
彼は一瞬呆気にとられ、うつむいて蒸籠を見た。
先ほどまでびっしりと敷き詰められていた一段は、隅のほうに数個残るだけだった。
兆雲はちょうど蒸し餅を両手に持ち、大きな目で無邪気に彼を見つめていた。
店主はまた彼の袖と案の下を見た。
袖は腕にぴったりと沿い、案の下も綺麗なもので、餅くずの一つも落ちていなかった。
「全部お前が食べたのか?」
兆雲は頷いた。
店主は半信半疑のまま、一つ蒸し餅を差し出した。
兆雲は両手で受け取った。
「ありがとう、おじさん」
店主の目の前で、一口で大きく欠け、もう一口で残りの角だけになり、最後に口へ押し込むと、喉が軽く動いて、手のひらはもう空になっていた。
店主の目はどんどん見開かれていった。
兆雲は手を差し出した。
店主はまた一つ差し出した。
目の前には、依然としてあの白玉のような顔の子供がいた。身体つきはまだ細く、腹も少しも膨れておらず、ただ唇だけが熱気で赤みを増していた。
だが蒸し餅は一つまた一つと消えていった。
店主の顔の笑みが次第に強張り、蒸籠がどんどん空になっていくのを目の当たりにして、頬までひくつき始めた。
兆雲は手の中のものを食べ終えると、また顔を上げた。
長い睫毛がわずかに震えた。
「おじさん?」
店主は蒸籠を抱え込んだ。
兆雲は物欲しそうに彼を見つめた。
「まだお腹いっぱいじゃない」
店主はその素直で綺麗な小さな顔を見て、また自分に残りわずかな蒸し餅を見て、惜しさのあまり口元が震え続けた。
彼は堪えに堪えたが、結局堪えきれず、残った幾つかの蒸し餅を兆雲の懐へ押し込んだ。
「もう行け、行け! 今日は運が悪かったと思って諦める! これから二度と来るな!」
兆雲は蒸し餅を抱えて、まだ何か言いたそうだったが、店主はすでに彼の肩を押して、屋台の外へ追い出していた。
「おじさん、ちゃんと約束したじゃないか……」
「行け!」
兆雲は仕方なく蒸し餅を抱えて立ち去った。
しばらく歩いてから、振り返ってみた。
店主はほとんど空になった蒸籠を抱え、胸を痛めた顔で中を覗き込んでいた。それだけの蒸し餅が本当に一人の子供の腹に収まったとは、まだ信じられないようだった。
兆雲は懐の蒸し餅を一口かじり、満足げに目を細めた。
それから数日、彼はまた城内の別の場所へ出かけた。
ある時は湯餅、ある時は胡餅、ある時は粟飯や豆の羹。
数日も経つと、二人の息はますます合っていった。兆雲が外で食物を片端から平らげ、趙雲が体内で黙々と内力を巡らせる。卓の上にどれだけ食物が並んでいようと、すぐに腹へ収める余地ができた。
ただ、高邑の県城は結局のところそう大きくはなかった。
その日、兆雲はまた通りに新しく出た食べ物の屋台を見つけた。
蒸籠の中の蒸し餅は白く大きく、蓋を開けたばかりで、麦の香りが湯気とともに漂ってきた。
兆雲は襟を整え、屋台の前まで歩いて、顔を上げた。
「おじさん、蒸し餅はいくらだ?」
店主がうつむいてその顔をはっきりと見た瞬間、顔色がたちまち変わった。
彼は一言も発せず、身を翻して蒸籠に蓋をした。
兆雲は呆気にとられた。
「まだ何個買うかも言ってないぞ」
店主は蒸籠を抱えたまま去っていった。
近くで粟飯を売っていた女も兆雲を見かけると、慌てて陶盆を抱えて院の中へ引っ込んだ。
胡餅を売る者は竹籠を片付けた。
豆の羹を売る者は桶を提げて走り去った。
少し離れた場所にいた幾つかの店は事情も分からぬまま、皆が次々と屋台を仕舞うのを見て、つられて筵を巻き、火を消した。
先ほどまで食べ物の香りが漂っていた通りの半分は、店は次々と閉まり、売り手は荷を抱えて逃げていった。ただ兆雲だけが通りの真ん中に立ち尽くし、手にはまだ食物を買うための数文銭を握りしめたままだった。
彼は左を見た。
戸は固く閉ざされていた。
右を見た。
窓も閉じられていた。
兆雲は白い歯を見せたまま、しばらく固まっていた。
この数日、腹を満たすことばかりに気を取られて、高邑の県城が、もともとこれほど狭いことを忘れていた。今や城じゅうの食べ物屋がこの顔を見ただけで店を閉めるようになった以上、明日はいったいどこで飯にありつけばいいのか。
兆雲は風の中に立ち、初めて、自分があまりにも有名になりすぎたことに頭を抱えた。
彼はもちろん知らなかった。長い年月を経た後も、高邑の県城にはなお一つの怪談が伝わり続けていることを。




