0 気がつけば核シェルター
※はじめに
この作品は、ゲームを題材にしたファンタジーとなります。ただしVRMMOもののようなSF的な物ではなく、どちらかといえば異世界転生に近い雰囲気です。
ただし、舞台は世紀末だヒャッハァァァァァァッ!
大まかな筋立てはありますが、即興で書いておりますので、脱線する可能性があります。結末というか、第一部完、の所までは、毎日2~4編の割合でアップしていこうと思います。
話数区切りはだいたい二万字目安、一話の内容は30分アニメ一本分と思ってください。
作者は一人称文体を練習中です。おかしな点の指摘、アドバイスなどは大歓迎です。
それでは本編、始まります。
気がつけば、俺はそいつを殴っていた。
「うっせーよバカ女! 俺たちに指図してんじゃねーよ!」
それが俺が意識を取り戻して、最初に発した言葉だ。
頭が痛い。どれくらい痛いかっていうと、まだガキの頃に道ばたに落ちてた空き缶を蹴ろうとして逆にカンにつまずき、アスファルトに後頭部ダイブしたときより痛い。
はっきり言って目の玉が飛び出て、耳から脳汁出そうなほどに痛い。
痛いはずなんだが、どうしたわけか俺は余裕の笑みで、ボクシングのファイティングポーズなんかとっちゃったりして、そいつを余裕しゃくしゃくで威嚇なんかしちゃってるわけだ。
どうなってんの、俺の身体?
気がつけば妙に身長低いし、買った覚えのない革ジャン着てるし、声までなんか、声変わり前に戻ったみたいだ。っていうか、思いっきり別人の声だ。
「…………」
殴られたそいつ、俺好みの美少女で、銀髪で、紫色のネコみたいな瞳のそいつは、不気味な無表情で俺のことを見ている。
何だか見覚えのある顔だ。といって、俺の好みにどストライクな美少女に知り合いなんているはずもない。
俺は人外美少女が好みなんだよ。
銀髪で猫目で色白で、ついでにちょっとツン気味のきつい顔ならたまらない。そんな奴、現実にいるわけねぇだろ? だからさっきだって、ゲームのキャラメイクでそんな顔を作ったばっかりだっていうのに……
あれ? さっきって、いつだ?
「……うわ、この選択肢だと殴ってくるんかい……まぁいいや、格の違いって奴を見せてやろーじゃん。脇役くん♪」
そいつが、口も動かさずにそう言った。
そして突然。
予備動作もなく放たれた烈火のごとき右ストレートが、俺の顔面に突き刺さった。
防御する暇なんてありはしない。
頭痛の痛さが百なら、この一撃の痛さはさしずめ百万といったところだ。俺はあえなく吹っ飛ばされ、金属製の壁に懐かしくも後頭部ダイブし、そのまま床に伸びた。
何だか知らんが、革ジャン着たガキが二人、俺のことを気まずそうに見下ろしてやがる。いや、俺は黒人にも白人にも知り合いいねーから。そんな顔で見下ろされても困るって!
俺を殴り倒した美少女に、何かが駆けよって抱きつく。
「ありがとうヌコちゃん! こいつらしつこくて困ってたの!」
俺が何かと表現したのは、それがおおよそ人間に見えなかったからだ。
確かに頭一つに腕二本、脚二本の人型こそしているが、俺はそれを人間と呼びたくない。
肌は干からびてボロボロ、ギョロッとした眼は異様に落ちくぼんでいて、全身は枯れ木のように細い。おまけに何やら緑色の妖しい光を、まぶしいくらいに放射してやがる。
ひと言で言えば、光るゾンビだ。
そんな物体に抱きつかれても、美少女は顔色一つ変えない。相変わらず口を動かさないまま、ぼそぼそとしゃべっている。
「……うわ、ヌコちゃんって何、キモッ。あとでネームエディットできるのかな……まったく兄貴のやつ、妄想丸出しでキャラエディするのやめてほしいわー」
床に伸びたまま、何やら急に眠くなってきた俺だったが、その美少女の言葉に記憶が鮮明になっていく。
そうか、この部屋、どこかで見たことがあると思っていたが……あの核シェルターじゃねぇの。
それにこの展開、前に何度も何度もやったことあるわ、殴る側で。そう、あの美少女だって、俺がエディットした主人公じゃん。
ズゥーン……というBGMが、どこからともなく流れて来る。ああ、オープニングムービーの始まりだ。
ダブルの傷みに意識が飛ぶ瞬間、俺は決定的な二つのことを思い出した。
俺の名前は今井淵臣。十七歳の高校二年生。
そしてこの世界は、ゲームだ。




