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『俺だけが知っているこの世界の「あらすじ」~モブ志望の俺は、神(作者)の死亡フラグをへし折る~』  作者:
魔法という名の、生活家電

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アイスクリームと、『自動撹拌機(オートマティック・ミキサー)』

世界初の魔法式冷蔵庫、『永久氷室(パーマネ-ント・アイスボックス)』の誕生は、ポプラ村の食文化に、文字通り、歴史的な革命をもたらした。

夏の暑い日でも、新鮮な肉や魚が食べられる。収穫したての野菜の瑞々しさを、何日も保つことができる。そして何より、いつでも『冷たい飲み物』が飲めるという、この上ない贅沢。

俺は、村の広場に、共同で使える、大型の永久氷室を設置した。村人たちは、その魔法の箱に、畏敬の念と、満面の笑みで、自分たちの収穫物を、持ち込んでいた。

村の子供たちは、永久氷室から取り出した、冷たい果物を頬張るのが、何よりの楽しみになっていた。

そんな、平和な夏の日々。

俺は、新たな『野望』に、燃えていた。

氷が、作れる。

新鮮なミルクも、卵も、手に入る。

甘い果物も、豊富にある。

材料は、揃っている。

ならば、作るべきものは、一つしかない。

前世において、夏という季節の、王様として君臨していた、あの、甘くて、冷たい、至高のデザート。

「―――アイスクリームだ」

俺が、自室で、そう呟くと、そばで刺繍をしていたアンナが、不思議そうに、顔を上げた。

「あいす……くりーむ? なんですか、それ?」

「ふっふっふ。それはな、アンナ。この世の、あらゆるデザートを、過去にする、究極の、冷たいお菓子だよ」

俺は、自信満々に、そう言ってのけた。

だが、その製造は、想像以上に、困難を極めた。

アイスクリーム作りの基本は、単純だ。

ミルク、卵、砂糖(この村では、甘い樹液を煮詰めたシロップで代用する)、そして、風味付けの果物。それらを、よく混ぜ合わせ、そして、『冷やしながら、混ぜ続ける』。

この、『冷やしながら混ぜる』という工程が、滑らかな口溶けを生み出す、最も重要なポイントなのだ。これを怠ると、ただの、味付きの、ガチガチの氷になってしまう。

俺は、まず、手作業で、挑戦してみた。

永久氷室で、キンキンに冷やした、金属製のボウルに、材料を入れる。そして、そのボウルを、さらに、氷を敷き詰めた、大きな桶の中に入れる。

そして、ひたすら、泡立て器で、混ぜる、混ぜる、混ぜる。

「……うおおおおおっ!」

腕が、ちぎれそうだ。

材料は、冷やされて、どんどん、重くなっていく。腕は、疲労と、冷たさで、感覚がなくなりかけていた。

数十分、格闘した末、ようやく、完成した、試作品第一号。

それは、確かに、アイスクリームと呼べるものだった。

だが、所々、シャリシャリとした氷の粒が残り、完璧な、滑らかさには、程遠い。

「……美味しい……! 美味しいですけど……ミナセさん、腕が、真っ赤ですよ!?」

アンナが、心配そうに、俺の腕を、さする。

これでは、ダメだ。こんな重労働、毎日、やっていられるか。スローライフの信条に、反する。

もっと、楽に、そして、完璧に。

そうだ。面倒なことは、全て、『魔法』に、やらせればいい。

俺は、再び、工房に籠った。

そして、新たな『生活家電(魔法)』の開発に、着手した。

俺が、設計したのは、『自動撹拌機オートマティック・ミキサー』。

永久氷室の、冷却システムを応用した、小型の冷却槽。

その中央に、一本の、金属製の、羽根ブレードを取り付ける。

そして、その羽根に、新たな魔法を、付与する。

それは、一定の速度と、力で、円運動を、半永久的に、繰り返す、『反復回転リピート・スピン』の魔法。

これは、水車や、風車の、回転運動の理を、魔法で、再現したものだ。

完成した、魔法の自動撹拌機。

俺は、その冷却槽に、アイスクリームの材料を、流し込む。

そして、スイッチとなる、魔石に、軽く、魔力を、流し込んだ。

ウィィィィィン……と、静かな駆動音と共に、中央の羽根が、ゆっくりと、回転を始める。

材料は、冷却されながら、常に、均一に、撹拌されていく。

俺は、その光景を、腕を組みながら、満足げに、眺めていた。

もはや、俺が、汗水流して、腕を痛める必要は、ない。

あとは、この、賢い機械(魔法)が、全て、やってくれる。

一時間後。

機械の蓋を開けると、そこには、完璧な、クリーム状の、理想的なアイスクリームが、完成していた。

色は、村で採れた、木苺を使った、鮮やかな、ピンク色。

俺は、スプーンで、それを、一口、すくって、食べた。

「…………っ!!」

言葉を、失った。

冷たく、滑らかな舌触り。口の中に入れた瞬間、ふわりと、溶けていく、絶妙な食感。

ミルクの、濃厚なコクと、木苺の、甘酸っぱい香りが、口いっぱいに、広がる。

完璧だ。

これこそ、俺が求めていた、究極のアイスクリーム。

その日の午後、俺は、村の子供たち、全員を集めた。

そして、完成したばかりの、木苺のアイスクリームを、振る舞った。

初めて、その、冷たくて、甘い、奇跡のお菓子を口にした、子供たちの反応は、凄まかった。

目を、キラキラと輝かせ、「美味しい!」と、歓声を上げ、夢中で、頬張っている。

その、幸せそうな笑顔を見て、俺は、心から、作ってよかった、と思った。

アンナもまた、その味に、感動していた。

「……こんな、美味しいもの、食べたことありません……。ミナセさん、あなたは、本当に、魔法使いですね」

その言葉に、俺は、少し、照れながら、答えた。

「いや、俺は、魔法使いじゃない。ただの、スローライフを、極めたいだけの、モブだよ」

アイスクリームの誕生により、ポプラ村の夏は、さらに、楽しく、美味しいものになった。

俺の『生活家電(魔法)』開発計画は、村人たちの、笑顔と、胃袋を、確実に、掴んでいっている。

さて、次は、何を作ろうか。

洗濯機か? 掃除機か?

それとも、そろそろ、テレビでも、作ってみるか?

俺の、発明家としての、暴走は、もはや、誰にも、止められそうになかった。

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