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『俺だけが知っているこの世界の「あらすじ」~モブ志望の俺は、神(作者)の死亡フラグをへし折る~』  作者:
外伝第1章:辺境の村と、一ヘクタールの畑

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青い『資源』と、モブの商才

俺の「スライムを資源に」という提案は、ポプラ村の村人たちに、熱狂的に受け入れられた。

畑を荒らす厄介者がいじゅうが、一転して、富を生み出す『宝の山』になったのだ。村の活気は、収穫祭の時とは、また違った、熱を帯び始めていた。

俺たちは、村の広場に、臨時の『スライム加工場』を設置した。

気絶したスライムを、大量に集め、綺麗な川の水で、丁寧に洗浄する。そして、俺の指示のもと、様々な製品へと、加工していく。

『ひんやりクール枕』は、予想通り、大ヒット商品となった。通気性の良い麻袋に、洗浄したスライムを詰めるだけ、という単純な構造ながら、その心地よい冷たさと、頭の形にフィットする絶妙な弾力は、一度使うと、手放せないほどの快適さだった。

『ぷるぷるウィンドウ』と名付けた窓材も、画期的な発明だった。スライムを薄く引き伸ばし、特殊な薬草でなめして乾燥させると、ガラスのような透明度を持ちながら、軽くて、絶対に割れない、夢のような窓材が完成したのだ。高価なガラスを買えない、ポプラ村のような辺境の村にとって、これは、革命的な出来事だった。

子供たち向けの、粘土のようなおもちゃ『ぷにぷにスライムくん』も、安全で、創造力をかき立てる玩具として、親たちから、絶大な支持を得た。

ポプラ村は、あっという間に、『スライム製品』の一大生産拠点へと、変貌を遂げた。

村人たちは、もはや、スライムを、恐れるどころか、畑の周りで気絶しているのを見つけると、「おお、今日の『仕入れ』だ!」と、喜んで、回収するようになっていた。

俺は、この新しい産業の、発案者として、そして、事実上の、技術指導者として、村人たちから、絶大な信頼を寄せられていた。

だが、俺の野心――いや、モブとしての、安定した生活への探究心は、まだ、ここで、終わりはしなかった。

(……この製品を、村の中だけで、消費するのは、もったいない)

俺の目は、村の外、もっと大きな『市場』へと、向けられていた。

そう、王都へと続く街道沿いにある、中継都市。そこには、多くの冒険者や商人が集まる、『冒険者ギルド』が存在する。

ある日のこと。俺は、一つの、試作品を、手にしていた。

それは、木製の、丸い盾。

だが、その表面には、何層にも、薄く引き伸ばされ、特殊な加工を施された、スライムの膜が、コーティングされていた。

俺は、その盾を、木の杭に立てかけると、少し離れた場所から、石を、思い切り、投げつけた。

ガンッ!という、鈍い音。

石は、盾の表面で、弾かれた。盾には、傷一つ、ついていない。

スライムの、驚異的な『衝撃吸収能力』。

これが、俺の、次なるビジネスの、切り札だった。

俺は、村で一番、腕の立つ、木工職人の老人に、頭を下げ、スライムをコーティングした、盾や、胸当てといった、軽量な『防具』を、いくつか、作ってもらった。

見た目は、ただの木の防具。だが、その性能は、下手な鉄の防具を、遥かに凌駕するはずだ。

俺は、それらの試作品と、ひんやりクール枕などの日用品を、オンボロの荷馬車に、満載にした。

そして、アンナに、村の留守を頼むと、一人、ギルドのある、中継都市へと、向かった。

片道、三日の、キャラバンの旅だ。

ギルドの、騒がしい酒場。

俺は、カウンターの隅で、エールを飲みながら、一人の、屈強な冒険者に、声をかけた。

「……旦那。あんたの、その盾、ずいぶんと、年季が入ってるじゃないか」

「ああん? なんだ、兄ちゃん。喧嘩売ってんのか?」

男は、ギロリと、俺を睨みつけた。

俺は、慌てて、首を横に振る。

「いやいや、とんでもない。ただ、もっと、良くて、安くて、何より、軽い盾に、興味はないか、と思ってね」

俺は、持参した、スライムシールドを、カウンターの上に、置いた。

「……なんだ、こりゃ。木の盾か? こんなもん、ゴブリンの一撃で、真っ二つだぜ」

男は、鼻で、笑った。

「まあ、そう言わずに。一つ、試してみてくれよ」

俺は、ニヤリと笑うと、近くのテーブルにいた、別の冒険者グループに、声をかけた。

「よう、そこのハンマー使いの旦那! ちょっと、頼みがあるんだが、この盾を、アンタの自慢のハンマーで、思いっきり、ぶん殴ってみてくれねえか?」

その、突拍子もない提案に、酒場中の視線が、俺たちに、集中した。

ハンマー使いの男は、面白そうに、笑う。

「へっ、いいぜ! 粉々になっても、知らねえぞ!」

男は、巨大なウォーハンマーを、振り上げた。

そして、俺の、スライムシールド目掛けて、渾身の一撃を、振り下ろした!

ゴンッ!!!!

酒場中に、腹に響くような、鈍い音が、響き渡る。

誰もが、盾が、木っ端微塵になるのを、想像した。

だが、

盾は、無傷だった。

それどころか、ウォーハンマーを振り下ろした男の方が、「ぐっ……!?」と、手首を押さえて、呻いている。

スライムの膜が、衝撃のほとんどを、吸収し、跳ね返したのだ。

その、信じられない光景に、酒場は、水を打ったように、静まり返った。

そして、次の瞬間。

「「「「おおおおおおおおっ!!」」」」

割れんばかりの、歓声と、どよめきが、巻き起こった。

「な、なんだ、今の盾は!?」

「兄ちゃん、それを、俺に売ってくれ!」

「いくらだ! 金なら、あるぞ!」

冒険者たちが、一斉に、俺の元へと、殺到した。

俺の、もくろみは、大成功だった。

こうして、辺境の小さな村で生まれた、『スライム防具』は、その圧倒的な性能で、冒険者たちの間に、瞬く間に、口コミで、広がっていくことになる。

ポプラ村は、もはや、ただの農村ではない。

一大産業を抱える、注目の『生産拠点』へと、その姿を、変えようとしていた。

俺のスローライフは、もはや、俺一人の、小さな世界では、収まらなくなっていた。

だが、まあ、いいか。

村が豊かになり、仲間たちが、笑顔でいてくれるなら、それもまた、俺が望んだ、スローライフの、一つの形、なのだろう。

俺は、冒険者たちに、ふっかけられるだけの、高い値段を提示しながら、心の中で、そんなことを、考えていた。

商売は、楽しまなくちゃ、損だからな。

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