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召喚された少女は何もしたくない。  作者: シルクティー


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魔法

時が流れるのは早いもので、異世界に召喚されてからはや1週間が経った。


この1週間は、とにかくこっちの世界になれるように行動していた。


わけでもなく。


図書室に入り浸ってました。はい。

召喚特典は素晴らしいもので、日本語じゃない言語で見たこともない言語なはずなのに、なぜかしっかり理解できる。とてもありがたい。


本を読んでいるときは余計なことを考えずに済むから好きだ。物語は内容に没頭しすぎて気づいたら陽が登っていたなんてこともこの1週間で何度かあった。

知らないことを知るのは楽しいし、何より、ここは日本とはかけ離れた世界で、知らないことしかない。そんな環境が、眠っていた私の探究心を呼び覚ましてしまった。


1日目は、まず世界のことを知ろうと、新聞や歴史書を読み漁り、2日目にはこの世界の動植物に目を向け、図鑑を読み漁った。

そんなことを毎日続けて、5日目にようやく伝承を元にした童話を手に取った。


聖女の物語は皇帝陛下から聞いていたものとあまり大差がなく、次に手に取ったのは妖精についての童話だった。

妖精は本来見ることのできない存在ではあるが、例外があり、妖精の祝福を受けた愛し子だけは妖精を認識し、意思の疎通が図れるらしい。

だが、妖精は祝福する人間のところに現れるわけではなく、人間が妖精の森に行って、妖精に気に入られて、初めて祝福を受けることができるらしい。


基本妖精は妖精の森から出ないらしいが、人間に祝福を与えた妖精は、人間のそばを離れないため、人に祝福を与えて初めて森の外の世界を知るとも書かれていた。


そんな妖精にも、いくつかの属性と位があるらしい。

属性は全部で5つ。地の妖精、風の妖精、水の妖精、光の妖精、闇の妖精の5属性だ。

そして、それぞれの妖精は、高位妖精と下位妖精に分けられる。高位妖精はそれぞれの属性で一体しか存在せず、見た目は人に近いそう。そして、それ以外の妖精は全て下位妖精に分類され、見た目は手のひらサイズの小さな人型妖精らしい。

さらに、全てを統べる存在として、妖精王がいると御伽噺には書かれていた。だが、きっと情報がないのだろう。踏み込んだ詳しいことは書かれておらず、本当に御伽噺として童話は終わっていた。





そして、ついに今日から魔法の勉強が本格的に開始する。


私たちが集まったのは、図書室の横に設置されている応接室。

初めて入ったそこには、白いローブを身につけた女性が3人と、黒いローブの男性が1人、すでにいた。

私たちの入室を確認すると、黒いローブの男が一歩前に出て、挨拶を始める。


「お待ちしておりました、聖女様がた。初めまして、私は魔法師団長のレイフォード・グレイクと申します。本日より、皆様の魔法授業を受け持つことになりました。」


ああ、この人がメイリの言っていた変態か。

礼儀正しく、誠実そうに見えるが、人は見かけによらないな。


ここに来る前に、少しメイリと話していた。


「本日から始まる、魔法授業を担当するのは魔法師団長様だとお聞きしました。ちなみに、師団長様は、腕は確かなのですが、いかんせん魔法のことになると我を忘れて何をしでかすかわからない変態でもあるので、十分にお気をつけくださいね。」


これがメイリから言われたことだった。

どこでこの人の表面の化けの皮がはがれるのか、正直少し楽しみでもある。


それからは、一通り自己紹介を済まして、早速授業に移った。


団長さん以外の白いローブの女性たちは、補佐として、私たち一人ひとりにつくことになるらしい。


「まずは、魔法の基本についてです。」


団長さんの授業は、思ったよりもわかりやすく、すんなり頭に入ってきた。


この世界の人間は基本的に魔力を持って生まれてくるため、魔法は世界で共通のものらしい。

魔法は生活魔法、攻撃魔法、防御魔法に分類される。中でも、生活魔法は誰でも使うことができ、属性は存在せず、無属性という属性分類。そして、攻撃魔法と防御魔法には、明確な属性が存在し、炎、水、風、地、雷が大多数らしいが、希少属性として、氷、雷、光、闇がある。持つ属性が一つの特化型もいれば、複数の属性が使える汎用型もおり、これは人によって変わるらしい。


魔法の強さは魔力量によって決まり、魔力量が多い方が発動規模や、時間が大きくなる。

魔力量は生まれた段階である程度決まっており、変異体質でない限りは、大きく変わることはないらしい。


「それではまず、皆様は自身の魔力の流れを感じるところから始めてみましょうか」


やり方は至って簡単。魔法師と向かい合い、手を重ねて魔法師が私たちに魔力を流す。私たちはそれを感じて、自分の中を巡る魔力を認識すればいいだけ。


魔力の流れを感じることは、魔法を使う上でとても大事なことで、ここを怠ってしまうと魔力の使用量がわからず、大きな事故につながってしまう。


「それでは、魔力を流してください。」


団長の声を合図に、魔法師が魔力を流し始める。


バチっっ


「え・・・」


静電気が起きたように、私の体が何かを反射させた。


「どうしましたか?」

「魔力が弾かれてしまいました。」

「魔力が弾かれた?ハルカ様、もう一度、試してみてもよろしいでしょうか。」

「あ、はい。」


今度は女性の魔法師ではなく、団長さんが私に魔力を流す。


しかし、さっきと同じように私の手に届く時に反射してしまう。


「なんで・・・」

「もしかしたら、ハルカ様には魔力がないのかもしれませんね。」


団長さん曰く、魔力を持たないものに魔力を流そうとすると拒否反応が起き、反射してしまうとのこと。


召喚で迎えた聖女が魔力を使えなかった前例はない。

団長さんも、どうすればいいのかよくわかっておらず、顎に手を当てて考え込んでしまっていた。


(なに、なんなの?私は、聖女でもないのにここに呼ばれたってわけ?)


壁に当たるとネガティブになってしまう悪い癖が出てしまう。


「前例がないので、正直戸惑っていますが、聖女召喚の儀で召喚されたのであれば、聖女で間違い無いのでしょう。それに、今回の召喚の儀では既に、3人も召喚されてしまうという前例のないことが起こっています。どうか、気を落とさず」


団長さんはなんとかフォローをしてくれてはいるが、正直なところ、ただの邪魔者にしかなれそうにない自分に嫌気がさす。


(なんで、いつもこうなるんだろう)



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