「崖の上のヒーロー」の巻
「あたしって、なんですかーー!」
自己崩壊を起こした美女が叫んでいた。
「美しいって、罪ですかーー!」
その自覚は残っていた。
「お前が犯人だっ!」
ドラマのロケも行われた事があった。
その崖の上に来ては、毎日誰かが叫んでいた。
「毎日毎日、うるさいんだよーー!」
崖の上にポニョッとある一軒家を買った男も叫んだ。
「静かな所だからと言う売り文句はなんだったんだよーー!」
嘘だった。商売のための嘘である。
「わーー、わーー、わーー!」
ここだったら、いくら声を出しても怒られないと思って喚き、一軒家の男に叱られる少年もいた。
「春の小川はサラサラいくよ」
歌の練習に来る少女もいた。一軒家の男は、
「まあ、歌の練習なら」
と我慢した。
年齢に関わらず、女性には弱い男だった。
大きな口を開けて腕を振り回すが、声を出さない者もいた。
スーパーヒーロー「黙りマン」だった。
ヒーローだって、何かを叫びたい時があるのだ。
「何か叫べよ! 冷やかしかよ!」
黙りマンが帰った後、一軒家の男は崖に立ち、叫んだ。
「明日も誰か叫びに来いよおーー!」
男は叫び声依存症に陥っていた。
(黙りマンだ) だんまりまんだ!!
(大声はエゴおお) おおごえは、えご!! おお!
お読みくださった方、ありがとうございます。
ギャンブル依存症よりはマシな話を書きました。
明日も「続・のほほん」を投稿します。
同じ、回文オチ形式のショートショート「魔人ビキラ」は、
117話くらいで完結しています。
よかったら読んでみて下さい。
ほなまた明日、続・のほほん、で。




