「小さな花園」の巻
小さな庭であった。
花は、咲いていなかった。
彼女は、花で庭を埋め尽くしたかった。
庭のない家が多い住宅地街であった。
しかし、庭はなくとも、プランターに花を植え、家を飾っていた。
彼女の家は、狭いとは言え、庭があった。
「庭があるのに花がないのは、イケナイのでは?」
そんな事を、彼女は家を借りた当初から考えていた。
散歩の途中で、黄色く小さな、可愛い花を咲かせている草を見つけた。
「可愛くて、綺麗な花ねえ」
思わずつぶやく彼女。
引っ越したばかりで、なにかと物入りだった彼女は、
「とりあえず、この可愛い花で庭を飾ろう」
と思った。
庭に植え替え、
「頑張って咲いて頂戴ね」
と祈る彼女。
彼女は園芸店で、土を吟味して買っていた。
肥料にも気をつけた。
コモチマンネングサは、次々と小さな花を咲かせた。
庭はガッツリ、花畑になった。
「ちっ。丁寧に育てやがって」
「そんなタマじゃねえんだよ、ワシらは」
「ただの雑草なのよ。国産の雑草だけど」
「しかも、帰化植物みたいに思われてて、人の見る目も冷たいのよね」
「ま、気に入ってくれたなら、いいけど」
コモチマンネングサは、口々にブツクサとつぶやいた。
雑草を植えた彼女は、その花園を見て大変に満足していた。
スマホで調べて、多肉植物でなかなか枯れない事を知り、
「頼もしい。モノグサな私にぴったりの花だわ」
と喜んだ。
スマホを斜め読みした彼女は、
「根絶は難しい」
という箇所を見落としていた。
とりあえずは、黄色く小さな花に満ちて、可愛い庭になった。
コモチマンネングサたちは相変わらず、ツブのような頭を寄せ合い、
「どうなっても知らねえぞ」
とか、ブツクサ言いながら咲いていた。
(ブツクサと咲く粒)
ぶつくさと、さくつぶ!!
お読みくださった方、ありがとうございます。
明日も「続・のほほん」を投稿します。
時間はたぶん、お昼の12時前後になるかと。
数はともかく、毎日途切れずに見られているようで、感謝しています。やる気にもなっています。
ではまた、明日。続・のほほん、で。




