蝿の終わりと鳥の始まり
やっとハエ君終わる!!!!
「賛義!左の一体弱ってる!」
「うぉぉぉあ!コイツめっちゃ元気だな!死ぬ死ぬ死ぬ!」
ヤバいな、俺と賛義だけじゃあ持ち堪えれんッ
「賛義!砂の堤防作れるか!」
「はいっ!」
ズザザザと賛義の腕に渦巻いている砂が分離され、目の前に2m程の砂の堤防が建築される。
すると堤防からハエ男の腕がズザァンと飛び出てきた。
「切れろッ!」
その腕に向かってコンバットナイフで切りかかる
『グッオオオオオオシャァァォァ!!!!』
ダメージは入ったようだがトドメになるほどのダメージでは無い。
「賛……」
左を見ると賛義とハエ男が手と手を合わせて力比べのような体勢になっていた。
「ぐぬぬぬぬ!」
『グオッシャァァァ!』
「汚ぇな!顔近ずけんなっ!」
『グォォォッシャシャシャァァァ!』
「コイツッワザと!?」
『グッシャァ!』
何やってだアイツら………。
見ていたら目の前の砂の堤防が崩れ始めた
「ヤバッ!」
『ぐォォォォ!』
砂を掻き分けてハエ男が顔を出してきた。
「こちとらもう弾がねぇんだよっ!」
『グァァッシュュュ!』
渾身の振り下ろしでハエ男の目に切りかかる、すると、目を抑えながら後ろによろけた。
「ふんぬっ!」
その勢いでコンバットナイフをハエ男の心臓部に押し込む
『グッオオオ…………』
ズズゥンとハエ男が後ろに倒れ、動かなくなった。
「はぁはぁはぁ、次!」
コンバットナイフを構え直す。
後どんだけいるんだよ!
コレで2体目だが…………、やはり本体を倒さないと増えるか!
目の前には次と生み出されるハエ男がいた、
後ろで鎮座する本体除けば後4体!
「はぁっ!」
横からブォン!とハエ男が投げ飛ばされた、
砂弾によって。
「隊長!もう砂が枯渇します!」
「そうみたいだな」
賛義の腕を見ると、渦巻く砂の量が最初よりも少ない事が目に見えてわかる。
「コッチも銃は弾切れのナイフはそろそろ使い物にならなくなる」
ハエ男を刺したことによって刃こぼれが酷くなっていた。
「だから俺も【アクセス】を────」
言いかけた時、横から金色の槍の様なものが飛んでいき、そのままハエ男に貫通する。
そのままハエ男が前に倒れたので胸に刺さった槍の様なものがそのままズズズとハエ男を貫通していく。
槍ではなくもしや───
「錫杖?」
横の賛義が心を読んだように言う。
そう、その通り錫杖であった。
「でも誰が───」
ハッ!っと思い後ろを見ると、金色の鳥人がいた。
が、
投げたままの体勢でフリーズしていた、しかも、
口を開けた滑稽な顔で
「え、スゲェ、投げただけなのに、え、え、え?」
しかも自分で驚いていた
「あーー、もしかしなくても春八君?」
「あっ、はい、そです」
迦楼羅……、もとい春八はそう答えた。
博士は後ろで腹を抱えて笑っていた
「と、とりあえず隊長さんと賛義さんは休んでてください」
そう言いながらハエ男に刺さった錫杖をズブズブと抜き取る。
「うぇぇぇ、蝿の体液だぁぁ」
「ちょっ!春八さん!こっちにソレを向けないでっ!うっうわぁ!蝿汁が着いたぁぁ!」
「何遊んでんだお前ら………」
とりあえず、と錫杖を構える
「奥の本体倒せば増えませんよね?」
「ああ、アイツが生み出してるからな」
「分かりましたっ!」
言い終わるが否か、錫杖を大きく振りかぶり────
投げる
ヒュンッという音とともに金の残光が光る
『ゴエッッ!』
ハエ男の顔面に錫杖が突き刺さる。
ソレが倒れる前に───
迦楼羅が追いつきハエ男から錫杖を抜き取る。
その勢いのまま目の前に迫っていたハエ男の首を錫杖の薙ぎ払いで飛ばす。
大きな薙ぎ払いのせいで出来た大きな隙をハエ男が見逃すはずも無く四本の対の腕を合わせ、上から大きく振り下ろす、
が、
それを見越してか、迦楼羅は錫杖をそのまま手放し、バックステップ。
大きく振り下ろされた力いっぱいの技はスカし、今度はハエ男の方が大きな隙を見せる事になった。
それを見て、合わせられた腕を足代にして駆け上がり、脚と脚の間にハエ男の首を挟み、そのままゴキンと首を折った。
そのままスタッと降りる。
「すっ、げぇぇぇぇ!」
身体能力の向上、だけではなくその他の危機察知能力等が凄い。
『もっと、もっと、もっとぉぉぉ!生み出して生み出して生み出して生み出してぇぇぇ!』
本体はもう正常では無かった。
「春八君!ソイツは殺処分許可が出ている!トドメをさしてくれ!」
後ろから隊長の声が聞こえてくる
だが、
俺にだって良心が残っている
だから────
錫杖を左目に投げ、、、
「眠れっ」
ハエ男の腹に渾身の一撃を食らわせた
そして────
そのまま動かなくなったのだった
最初からここまで登場していただいたハエ君に盛大な拍手を!
(にしてもハエ君踏ん張ったなーー)
【アクセス】情報2
稀に本との相性がよく、【IV】が上昇するモノがある。
その結果、本来【下等層】の本が【上等層】に昇格する場合もある。
(【上等層】から【支配者層】に昇華した例は無いが、他の可能性としては他の層から【神話層】に昇華する本もある可能性が高いと研究されている)