#1話 ~目覚め~
『さて、起きなくちゃ』
『真実が待ってる』
『全てを終わらせないと、全てを知らないと』
「ねぇ、コヨリ。いつまで寝てるの?起きなよ」
「・・・、・・・。」
「おはよう、コヨリ。よく寝れた?」
「・・・。おかげさまでね。走馬灯なのかな?懐かしい過去の記憶も見れたよ」
「そっか。良かったら教えてくれない?どんな夢だったのか」
「別に、なんてことない日常の光景。小さい頃の誕生日だったり、魔法を教えて貰ってた時だったり、この旅の始まりとかかな。ついでに、忘れていた記憶も思い出せたわ」
「そっか。ボクにはそんな日常無かったぁ。毎日が辛かった、今も辛いけどね」
「アナタは、アイツの言いなりでいいの?自分の今を変えようって気はないの?」
「それは綺麗事だよコヨリ。そのセリフは明日がある者にしか吐けない絵空事だ」
「いえ、違うわ。アナタは自分の未来を変えられないと初めから諦めていた。どんなに明日が辛くても、少しでも良い方へ歩む努力はできたはず。アナタはそれをしなかった」
「いいね、コヨリ。育ちの良さが出てるよ」
「・・・。」
「でもね、もう遅いんだ。ボクの命はこの『呪い』に助けられている。5年分って短い時間だったけど、それでもボクはアイツから人生を与えられたんだ」
「その恩義に報いたいと?」
「まさか。何度だってアイツを殺そうとしたし、何度だって自分を殺そうとしたさ」
「なら何故、アナタは私に刃を向ける!」
「この世界のため」
「世界のため?」
「そう、ボクはある日この世界が立たされている状況と行く末をアイツに聞いた。それは悲惨なモノだったよ」
「この世界の未来?それを変えるためにアナタは自らの命を削ると言うのね」
「そう、それがボクの正義であり大義だ」
「その世界を救うのに私は邪魔?手は取り合えないの?」
「いや、キミの力は強大だ。是非とも協力をお願いしたいね」
「なら・・・」
「問題はキミじゃない。キミのご両親さ、仮のね。あの人たちはこの世界の【敵】に対抗している。キミはその戦力の一部。ここまで大きな力になるなんて想像もしてなかっただろうけど」
「私の、両親・・・?」
「なんだ、何も聞いてないの?あの『奇術』のこと」
「『奇術』。【ワタリの秘術】のこと?ある程度は聞いているわ」
「【敵】に対抗しているのはボクたちも同じなんだけど、手段が違くてね。キミのご両親はあちらに渡って元を断つ気でいる。とても危険な賭けだ。失敗したら被害は尋常ではないだろうね」
「い、一体何を言っているの?」
「なに、別に知らなくてもいい。ボクもキミもここで死ぬ。どうせ結末は見届けられないさ」
「勝手を言わないで。私はアナタを止めてアイツに全てを聞きに行く」
「無理だね。キミにボクが殺せるかな?」
「・・・。殺さない、殺させない。きっと止めてみせる」
「キミのその拳が何のためにあるのか、ボクに感じさせてくれ」
「・・・!」
「ボクを殺す、その行為がボクの助けになるんだ。頼むよ?失望させないでね」
『大いなる力をその身に宿し者よ、呪いを前に力の糧となれ。我が身に残る数多の傷は、明日を捨て去った覚悟の証明。今、解き放つ。』
「此の命、持ってゆけ。今更要らぬ。此処で余生尽きようとも、死こそが救い也。」
「なんて力!本当に、本当にここで死ぬつもりなの!?アナタの命は、そんな軽いものなの!?ねぇ、【ツムグ】!」
(ツムグ・・・?誰?)
「ええ、わかったわ。アナタの覚悟、真正面から受け止める!ただし、絶対に死なせない!」
『悲しき宿命を背負いし者よ、その呪いを前に改めよ。此の身に流れる力の意味を、正義を、其の身を以て知るがいい!今、解き放つ!』
「なんとなく真似しちゃった、キミの詠唱。最後になんて、させないから!」
「行くぜ、コヨリ」
「行くよ、ツムグ」
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ー残り5日ー




