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29 説明しようよ……


「こちらがチグリの御領主、ウィンスリット公爵です」



 チグリ中央にある小さな砦のような館内。

 広い客間に案内すると、セバスはそう言って豪華なソファに座る病弱そうな男を紹介し、自らは男の後方に控えた。

 

 俺たちは言われるまま向かい合うソファに腰を下ろした。

 


 ええ、そうですね。来ちゃいましたね。

 

 ぶっちゃけ来たくはなかったんだが、セバスしつこいんだもん。



『いや、無理』



 って最初はキッパリ言ったんだよ。

 けどさ、この人「お願い致します」の一点張りでずっと土下座してるんだもん。

 しかもさ、公爵って言ったら偉い人で、その人の使いに対して実力行使とか普通出来ないでしょ。

 なのに十回ぐらい断っても動かなかったらユフィーさん、



『ノゾミは断ってるのよ。いい加減しつこいわ! これはもう排除ね』



 って、剣抜いてぶった斬ろうとするんだもん。

 なんだろう。やっぱり俺のことになると急に見境なくなったのか? 過激だ。

 


 そして過激と言えばこの人。



『殺すなら拷問させてね。まずは手足の爪を全部剥いで傷口に塩を塗り込もう! それから、蛇でいっぱいにした樽の中に押し込もうかな。ウフフ。ああ、なんか想像してたら……。あ~ん』

 


 ……変態だなニーリス。



 ダークエルフのフリしてたから、拷問好きもフリなのかと思ってたけど、どうやらニーリスは単純にサイコみたいだ。

 

 うん、ちょっと怖いわ。 

 


 結局、そのままだとセバスがタイボンの末首ちょんぱになりそうだったから、話だけは聞いてから考えることにした訳だ。

 それで、内容は主が直接話すというから着いてきて今に至る。

 勿論、今後の行動に関わるから四人(三人と一匹ではない)全員参加。 



「突然呼びつけてしまい、無理を言って済まなかった」



 全員の視線が集まると、公爵が口を開く。

 見た目以上に具合が悪いのか、言葉に覇気はなく、時折ゴホゴホ言ってる。



「街で聖獣殿の噂をセバスが小耳に挟み、あのパオパプの聖獣殿ならもしかしたら出来るのではと思ったのだ」



「なにを、です?」



「救って欲しいのだ。この街を」



「そっち!?」



 てっきり、病気だから喰わせてって言われるのかと思った。

 そういえば、パオパプの聖獣っていろんな噂あるから決めつけはよくないな。



「そっちとは?」



「いや、そっちはこっちの話です。で、街を救うってなんです?」



「実はな、出てしまったのじゃ。【デロデロ】が」



「でろでろ? なんです? それ」



「デロデロですって!」



「まさかっ!?」



「本当なのですか!?」



 え? なに。俺以外の三人めっちゃ反応してんだけど。でろでろってなあに?



「すでに被害者は三十人を超えておる。家畜はその三倍。このままでは街全体がデロデロに侵されるのも時間の問題なのだ」



「あのさ、でろでろって──」



「それは一大事ですわ」



「でも、どうすればいいの」



「無理だよ。デロデロを退けた話なんて聞いたことない。逃げるしかないよ」



「だが、この街の住民は一万を超えておる。逃げると言ってもそんな人数を受け入れてくれる街はないのだよ。仮に幾つかに分けて逃げるとしてもそれには時間が必要だ。そんな猶予も最早ないのだ」



「そんな……」



「だから、なんだよ! でろでろって! 名前気持ち悪いなこのやろー!」  



「ノゾミン、知らないの? 冗談?」



「デロデロですわよ」



 ニーリスとアナスタシアが驚いた顔してるけど、知る訳がない。

 俺がこの世界に来て何日だと思ってんだ。何年とかじゃないんだからな。



「ノゾミ、デロデロっていうのはね。みんなをでろでろさせちゃう例のあれよ」



「いや、それで分かるやついる?」



 ユフィーの話も的を射ない……。



「これを見てくれたまえ」



 俺たちがざわついてたら公爵が手を上げる。

 

 と、それが合図なのかセバスが心得たとばかりに後ろにあった扉へと一旦消えてすぐに戻ってくる。

 

 戻った時には、使用人なのか、メイド服を着た若い女性を抱えて。

 

 女性はぐったりとしていて、支えられないと歩くこともままならないようだ。

 かと言って肌艶もいいし、具合が悪いようには見えない。



「ああ……、だるい……。歩くのだるいわ。めんどくせっ」



「……」



 単にやる気ないだけなのか? 

 目も若干死んでる気がするし、セバスがソファに座らせると、主の前とか気にしないで寝そべりだすし。

 

 

「もう、起きてんのもめんどくさい。フウアアア」



 そして大欠伸。ついでに尻まで掻いてる。人前で若い女の子がすることではない。


 ……。これはやる気ないを通り越してますな。



「……これって、なに?」



「デロデロに浸食されてしまったのです」



 セバスが即答する。が、まったくわからん。そのでろでろなるものに何かやられて、やる気ないでろでろ状態?



 そもそも【デロデロ】って生き物なのか? だとしたら生物型ニート量産機なの?

 


「という訳なのだ。聖獣殿。どうかこの街を救ってはくれまいか。もちろん報酬も出す」



「だ・か・ら! でろでろの説明をしろよーーーーっ!」




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