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遣ソマリア独立統合郵便防衛部~アメリカのいちばん長い日、ブラックホーク・オールダウンは序の口~

あとがきで触れますが、この話には色々足したい要素が多いのでいつか書き直したいと思ってます。

 9月21日、JST18時00分(日本)EAT12時00分(ソマリア)EDT7時00分(ワシントンD.C.)

 ソマリア、モガディシュ。


 9月18日の戦闘以来、モガディシュ中央郵便局に身を潜めているアイディードらSNA幹部の身柄を巡って、遣ソマリア独立統合郵便防衛部とアメリカ軍との溝は日々深まっていった。

 そして今日、アメリカ軍は遂に最後通牒を突きつけようと、18日の戦闘で手柄を挙げた第75レンジャー連隊やデルタ・フォースがモガディシュ中央郵便局に向かっていた。


 陸ではハンヴィー9両が、空ではUH-60ブラックホーク8機とMH-6リトルバード8機が、それぞれがモガディシュ中央郵便(戦場)局への道へと進んでいた。


 まさしく、彼らはタイミングが悪かった。


 正午の、昼飯時ならモガディシュ中央郵便局の4階にあるという食堂とやらにSNA幹部が勢揃いしていて身柄確保が容易だろうと、そういった意図で作戦決行時間が策定されていたのであるが、まさしく今、その電報は届いてしまったのだ。


「米は配達完了。米は1730時に107(港区赤坂の郵便番号)号便で配達完了した。大いに米を料理されたし」


 この電報がモガディシュ中央郵便局に届いた瞬間、遣ソマリア独立統合郵便防衛部は解き放たれた。


 そうして号砲は轟いた。


 4階建てのモガディシュ中央郵便局のその屋上、普通郵便局に設置されている中では最も普遍的な火砲である日本製鋼所製ボフォース70口径57mm対空速射砲による、UH-60への対空射撃である。


 それは、余りにも呆気無かった。

 かつてのベトナム戦争で運用したUH-1に少なくない損耗を強いられたのを教訓に、生存性に重きを置いて開発されたとはいえ、その程度の航空機(UH-60)が57mm対空砲弾の直撃に耐えられる筈も無かった。


 たった一基の砲塔による、されど毎秒3.3発もの全力射撃によって浴びせられる57mm対空砲弾の猛射に、UH-60ブラックホークはまともな原形を保って墜落する事すら許されなかったのだ。


「ブラックホーク・ダウン!ブラックホーク・オールダウン!」


 その悲鳴染みた叫びを上げたMH-6リトルバードにも、一切の容赦無く57mm対空砲弾は襲い掛かった。

 そして57mm対空速射砲塔に収まる弾倉の120発が撃ち尽くされた時、空に残るはMH-6リトルバードがたった3機。


 僅か1分にも満たない、後にモガディシュの七面鳥撃ちと呼ばれる虐殺染みた撃墜劇だった。




 さらに地上でも、戦闘が発生しようとしていた。


 モガディシュ中央郵便局へ向かうべくナショナル・ストリートを走るハンヴィーの車列、その先頭車両がウェスト・バカラ・ロードとの交差点に差し掛かった時だった。


 突如としてウェスト・バカラ・ロードから交差点に突っ込んできたのは、一台のトラック。

 赤い運転席にシルバーのボディ、郵政省が誇るいすゞ自動車の810という20t郵便トラックが、ハンヴィーの横腹目掛けて衝突したのだ。


 そのハンヴィーは、たった2.4tしかないその車体は、過積載に過積載を重ねて30t余りの大質量を持つ810郵便トラックに鞠玉の如く跳ね飛ばされた。


 彼らにとって不幸な事にここは世界有数の無法地帯ソマリア、過積載を取り締まる道路交通法など無く、郵便トラックにおいて過積載が常態化、さらに今回に至っては衝突時の威力を増す為更なる過積載を行っていたのだ。


 その結果、ハンヴィーの車内でシェイクされたレンジャー隊員5名は原形も留める事すら叶わず即死した。


 そして後続のハンヴィーも、交差点を塞ぐようにして停車した810に進路を阻まれてしまい、各々が方向転換を図ろうとして混乱してしまった。

 それが、キルゾーンで動きを止めてしまった彼らの運命を決定付けた。


 彼らに襲い掛かって来たのはハンヴィーでは防ぎようの無い20mm対戦車ライフル弾だった。


 交差点からすぐの路地や建物の屋上に身を潜めていた郵便防衛部員ら、彼らは元々、アフリカの凶暴な猛獣に対抗すべく北海道や東北地方から招集された郵便防衛部員だった。

 彼らは郵便の敵たる羆やツキノワグマを好敵手とし、そして七〇式郵便対獣砲や、時にはより扱いなれた三八式歩兵銃で屠ってきた、いわゆる郵便マタギと呼ばれる強者達である。


 ナショナル・ストリートに20mm対戦車ライフル弾の砲声が連発した。

 それらはハンヴィーのエンジンを砕き、乗り込んでいたレンジャー隊員を次々に血飛沫へと変えてゆく。

 レンジャー隊員らも撃ち返すべく12.7mmM2重機関銃の銃座を巡らすが、それも半ばで三八式歩兵銃の6.5mm弾に狙撃されて倒れた。


 動かぬ棺桶(ハンヴィー)に篭っていては勝ち目が無いとレンジャー隊員らが車外に踊り出てみれば、それはほんの僅か一時生き長らえたに過ぎなかった。


 ハンヴィーのボンネット影から、敵を探るべく頭を出したレンジャー隊員。

 その頭を貫通したのは刃渡り40cmもの肉厚な刃、そしてその身体をピクピクと痙攣させた瞬間、砲哮、彼の上半身は霧散した。


 彼ら郵便マタギの真骨頂、七〇式郵便対獣砲による砲剣突撃である。


 もはや恐慌状態も極まったレンジャー部隊はそれを防ぐ術も無く、あるレンジャー隊員らは2人で固まっていた所を砲剣で串刺しにされ、揃って破裂。それでも即死だったから幸運だっただろう。


 七〇式郵便対獣砲はあくまで単発で、28.2kgもの重量を誇る対戦車ライフルであり、近接戦闘中での再装填はまず不可能である。

 そうであるからして、一回の砲剣刺突射撃を行なえば後はもう唯の“鋼鉄製の槍”である。


 肉厚な砲剣で刺されようが、重厚なマズルブレーキで殴打されようが、簡単に人は死ねない。

 つまりは何度も何度も刺され、殴打され、そしてまた刺され、殴打され、死ぬまで刺され、殴打され、それが幾度と無く繰り返されるのだ。


 何度も、何度でも。




 そして物言わぬ躯となったレンジャー隊員の瞳に移るのは、空を翔る幾つもの光条。


 モガディシュ湾沖に展開している海上郵便防衛部第四郵便護衛艦隊の旗艦、仲泊から放たれた8インチ砲弾がアメリカ軍キャンプへと降り注いでいく。


 アメリカ軍にこれを防ぐ術は無かった。

本当に申し訳ありません。


今回はモガディシュ中央郵便局の局舎内での戦闘も書いて、炭酸ガス火災消火設備による窒息攻撃とか、熱帯装備の第10山岳師団(冬季戦が専門)をチルド室に招待して凍結地獄とか、色々考えていたのですけど、どうやってもアメリカ軍がモガディシュ中央郵便局に辿り着けませんでした。

ほら、消火設備が戦闘で誤作動しちゃうのは、どうしようもないでしょう?そもそも兵器ではなく火災消火設備で1925年のジュネーヴ議定書にはまったく問題無し。チルド室に至っては責められる要素が欠片も無いクリーンな処刑室ですよ!


もし出来たらですけど、書き直してアメリカ軍に更なる地獄を見せるようにしたいですね。


アメリカ軍頑張れ!モガディシュ中央郵便局まであと300mだぞ!

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