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01-01. プロローグ
ついに、極みへ至った。
私の人生、そのすべてを懸けた旅路の果て。
魔導の極致が今、この身の内に完成している。
どれほどの研鑽を積み上げてきたのだろうか。
いかほどの血反吐を飲み込んできたのだろうか。
孤独に打ちひしがれ、己の才能の限界に、何度心が折れかけたか分からない。
だが、それも今となっては誇らしく、良き冥途の土産話になるだろう。
そう、魔導の極致に触れた代償として、私の肉体は既に限界を迎えていた。
指先から少しずつ、肉体の境界が光の塵となって溶けていくのが分かる。
これでいいのだ……もう十分だ。
これ以上望むものなんて、何一つとしてない。
いい人生だった……私は成し遂げたんだ。
最高に、いい人生だった!
……。
…………。
いや、果たして本当にそうなのか?
何か、重要なことを忘れていないだろうか?
そうだ! この魔導を後世に残す必要がある。
せっかく生涯を賭して生み出したのだ。
誰かに、何かに、この竜の力を――。
だめだ。
もう肉体のほとんどが消滅しかけている。
意識が、深い水の底へ沈んでいくように遠のいていく。
視界は闇に溶け、耳を打つ風の音さえ聞こえない。
ああ、待ってくれ、せめて、あと――。




