表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2050~ステータス1の廃人  作者: 烈火
第二章『厄災軍師と駄美男子』
20/47

〇サブストーリー 「黒幕」

サブストーリーはメインストーリーに関係するお話となっています。


今回はメインストーリー2-1直前の話になります。

~現実世界・教室


「ふんふふー」


ありきたりな鼻歌を無意識に歌っている担任の教師烏丸先生。

レイブンの中の人な私だが珍しくとにかく機嫌がいい。

何も無い荒れた人生という荒野に一輪の花が咲いたような感覚だった。

生きがいになる物を見つけた期待感であろう。

仮想空間とはここまで私の胸を踊らせるのか。

殴り合いが許され、本来の自分をさらけ出す事が許され、立場も違うであろう奴らとタメで話し合って。

あのパンダみたいな野郎なんかすごい動きで私の拳骨を交わして、あんなの現実のステゴロじゃ体験出来ねぇよ。


「せ……せ……んせ」


何か聞こえた気がしたが頭に浮かぶ色がついた期待を拭いきれない。


そうだ、仮想空間での喧嘩だからこそ現実では不可能な事でもなんでも出来るんじゃねぇのか?

やべえ、やべえよ。

ほんとやべえ。

ガキの頃以上の興奮が味わえるのか!

その為ならこんな色のないクソみたいな現実での時間なんて耐えられる。

それどころか今日はどんな事が待っているのか、それを考えることすら快い!


昂ってきた調子の私に鋭い声がきた。


「先生!」


「はい!」


「いつもの終礼の挨拶をして下さい!」


「あわわわ!

ごめんなさいね

野郎をど突く妄想してたわ」


「え」


「皆さん、最近仮想空間での時間が増えている人が多いそうです。

あちらの空間での活動は有意義なものです。

ですが現実での自己の研鑽も行っては学生失格になっちゃいます!

上手く両立させていきましょうね!

先生も頑張ります!

では今日も一日お疲れ様でした!」


なんかまた周りが引くような雰囲気を一瞬感じたがいつもの事だしもはやいちいち反応しない。

私はいつも通り適当に言葉を並べ生徒たちを送り廊下に出ると委員長の腕章を着けた生徒が話しかけてきた。


「先生。

今日も一日お疲れ様です」


「あら、お疲れ様。

いつも私を気にかけてくれて嬉しいわ」


私は愛想笑いを彼に向ける。

色黒で赤い眼鏡。

クラスで1番背が高くガタイの良い生徒、天歳(てんさい) 秀人(ひでと)だ。

文武両道、芸術以外なら何でもそつなくこなせる優秀な生徒である。

そんなに現実が充実しているこいつは仮想空間とは縁がないんだろうなぁ。

私は酩酊時に自身をギルドにけしかけさせたあの白い服を着た男を思い出す。

似てる気はするがこの正義感と純粋さと童貞臭さの塊の男があんな非情な事をするとは全く思えない。

すると天歳はメガネをクイッと上げて話しかけてくる。


「熱等ごさいますか?

客観的にですが時折ぼーっとされてはそわそわされるのを繰り返されているように見えます」


「え、そうかしら。

まぁでもつい最近すごくわくわくするような出来事があったの!」


「なるほど仮想空間で、ですね」


「そうなの!……え?」


声のトーンを落とした天歳に私は急に背筋が冷えるのを感じた。


私がどうして仮想空間に入った事を知っているんだろう?


すると天歳はニコッと笑った。


「ははは、先生が仮想空間について挨拶で触れるのは初めてじゃないですか。

だから仮想空間で何かあった、もしくは仮想空間に新規でログインされたのか。

そういった事かなって感じただけです。

でも現実と仮想。

これは個人のスタンスですがそれぞれ別の人間が行ってるものと考えています」


「そ、そうよね。

そういうのは個人情報だから。

まぁ私もあなたに似た人に心当たりはあるのだけれど」


「おっと、言いましたが私は先生があっちではどんな人間であろうと知りませんよ。

だって私たちには関係ありません。

別人が行ってるのですから。

話が長くなりすみません、私はここで失礼させて頂きます。

くれぐれも両立させている生徒の邪魔をされないようにお願いしますね」


夕日が射し反射するメガネを見ながら私は心の中でこの善良な生徒に対して感じた。

確かにギルド襲撃事件の実行犯は私だ。

しかしその黒幕は外面は優しさに包まれたそして極めて冷徹な内面を持ったこの男である。

彼は本質的な所は何も変わらないのだ。

私がこの情報を漏らした所で私自身の身も危うくなるし彼を担任している私の責任を放棄する事にもなる。

そもそも仮想空間での彼の見た目はそのままだ、時が来れば公になるだろう。

仕方ない。

あのパンダ達に付いて行ってやるべき時にケジメつけてやるしかねぇ。


昂った感情は冷たくなり静かな闘志を去っていく彼の後ろ姿に向けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ