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恋するタイムリープ〜歪な恋物語  作者: VANRI


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1/4

すべての始まり

 

 ――思えば、すべてはあの日から始まった。



 小学5年生の理科室。実験の準備中、俺は仲のいい友達と昨夜やった通信対戦ゲームの話をしていた。


「海斗、お前があの時ミスるから俺が撃たれたんだよ〜!」


 いつもつるんでいる黒木が、悔しそうに声を張り上げる。俺は笑いながら言い返した。


「いや、お前、相手のスキン見た!?  あんな変な装備してたら初心者だと思うだろ〜?  あれは仕方ないってー」


「お前が油断しすぎなんだよ!  あの時も、どこから撃たれてるのかちゃんと確認して動くべきだったろ〜」


「あー……それは言えてる。こうやって、あちこちに銃を構えておけば良かったのかな」


 そう言いながら、俺は大げさに銃を構える身振りをしてみせる。


 ――その時だった。


 腕が何かに当たった感覚。

 直後、音もなく熱気が走り、着ていた上着から橙色の炎が立ち上った。鼻をつく焦げ臭い匂いと白い煙。すぐに、そばにあったアルコールランプが倒れたのだとわかった。

 だが、わかったところで突然の事態に思考が追いつくわけもなく、俺はただ恐怖で金縛りになった。


「――っ!」


 その時、すぐ横にいた女の子が動き出した。

水をかけるわけでも、濡れ雑巾を使うわけでもない。彼女は迷いなく素手で、俺の服にくべられた炎を激しく叩き始めたのだ。


「おい、やめろ……熱いぞ!」


 反射的に身を引こうと上着を引っ張るが、彼女はもう片方の手で、小柄な身体からは想像もつかない強い力で服を握りしめ、ひたすら素手で炎を叩き続けた。

やがて炎が消え去った。


 安堵が押し寄せた瞬間、俺は糸が切れたように床へ崩れ落ち、視界が涙で歪んでいった。


 その子は、床に座り込む俺のそばへ急いで膝をついた。


「大丈夫?  やけどしてない……!?」


 火傷の危険も顧みず、自分の手などまるで気にしない様子で俺を覗き込んでくる。


「ありがとう……っ、ありがとう……!」


 涙でボロボロになりながら、何度も頷くのが精一杯だった。

 俺は思わず、火を消すために真っ赤になってしまった彼女の手のひらを、両手でぎゅっと握りしめた。


 彼女はどこかホッとしたように、柔らかい笑顔を浮かべた。


 ――その瞬間。


「二人とも、危ない!!」


 怒鳴り声のような叫びと共に、俺たちは突然、背後からぐんと強い力で抱え上げられた。

 駆けつけた先生たちに抱き抱えられるようにして、強制的に引き離される。


 固く繋がれていた俺たちの手が、ぷつりと離れた。


「あっ――」


 身体が遠ざけられていく中でも、俺は彼女の瞳から目を逸らすことができなかった。彼女もまた、まっすぐ俺を見つめ返していた。



 それが、今井 花音かのん

 それが、すべての始まりだった。



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